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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第2章 おともらちが増えたのら

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123ーマズイな

 そこへ遠慮気味に顔を出したのが、小さなピンク色の雛だ。コッコちゃん達の柵から、お顔だけ遠慮気味に出してこっちを見ている。


「ピピ」


 羨ましそうだ。なんだか、不憫なのだ。この子は大人しいし、将来的に回復魔法を覚えるのだろう?

 一羽だけピンク色なのだ。なのに、存在感が薄い。だって、フォーちゃん達3羽の存在感が強すぎるのだ。


「あー、ロロ。あの雛も付けてあげたら?」


 そうなるよな。そりゃそうだ。でも、この子は簡単に思いついたのだ。


「ちろがあたためたから、ちーちゃん」


 俺がそう言うと、ピンク色した雛がペカーッと光った。よしよし、いい子だぞぅ。


「ピヨ」

「アハハハ、ちーちゃんかぁ。うん、可愛いね」


 もういないよな? もう俺は無理だぞ。

 それから、ディさんとマリーと一緒にお昼を食べてお昼寝をした。今日は早朝出勤だったからか、ディさんも一緒にお昼寝していたのだ。

 ディさんは一緒にお昼寝する時、いつも自分の腕の中に囲うようにふんわりと、でもぴったりと俺の体を抱き寄せる。その時に、ディさんの鼓動が聞こえるのだ。規則的で力強い鼓動が。

 それがとても心地よくて安心するのだ。まるで……父さまみたいだ……と、思ってしまうのだ。


 今、俺とディさんは一緒に冒険者ギルドへ向かっているのだ。よく寝たから元気なのだ。

 今日はディさんと2人なのだ。ポシェットにはチロが眠っているけど。

 爽やかな風が少しだけ俺のほっぺを撫でていく。良い気候だね。前世だと湿気が多かったり、春は花粉や黄砂に悩まされたり。今はそんな事、全然ないのだ。空気が違うのだ。

 家を出て、畑の中の小道を行き街道に出て街に向かうのだ。

 ディさんと手を繋いで歩く。大きな手だ。でも、スベッスベなのだ。この手で剣を持つのか。そんな風には思えないのだ。


「でぃしゃんは剣もちゅよいね」

「ああ、この前リアの稽古をしていた時の事かな?」

「うん、ちゅよかった」

「剣よりは弓の方が得意だけどね。僕は森人のエルフだから」

「えるふってしゅごいなぁ~」

「そうかい?」

「うん。きれーらし、ちゅよいし、やさしい」

「アハハハ、有難う」


 そんな話をしながら歩いていたのだ。お天気も良くて、ご機嫌だったのだ。ちょっと俺の得意技、スキップでも披露しようかと思っていた時なのだ。


「おや? ロロ、ちょっと待って」


 ディさんが道端に生えていた草に、目を留めたのだ。瑞々しいお野菜の葉っぱのようにも見える。とっても綺麗でピカピカしているのだ。明らかに他の雑草とは違って見える。

 でも葉っぱの下に、白いぷっくりとした根が少しだけ見えている。まるで大根みたいなのだ。

 まだ畑の近くなのだ。そんなに家から離れていない。種が飛んできたのかな?


「どうしてこれが、こんな場所に生えているんだ?」


 その瑞々しい葉っぱ。とっても緑が綺麗なのだ。

 どう? 美味しそうでしょう? 抜いてみない? なんて、言われていそうな気がするのだ。

 俺が思わず手を出しそうになった時だ。

 ディさんがその葉っぱの根本を狙って、思い切りバシコーンと殴ったかと思ったら、葉っぱを掴みズボッと引き抜いたのだ。

 葉っぱの先には、白くでっぷりとした大根の様なお野菜なのか? 蕪に見えなくもない。

 その美味しそうにでっぷりと太った体には、翁の様なお顔がある。体の先っぽは二股に別れていて、クネリと交差されたセクシーポーズをとっている。しかもムッチリとした御み足だ。

 お顔や足があるのだ。普通のお野菜ではないのだろう。

 ディさんが殴ったから、気絶しているのだろうか。目を閉じてダラリと口を開けている。え? お野菜なのか? 植物なのか? お顔があるのだ。『いやぁ~ん!』と体をくねらせて喋り出しそうなのだ。

 ディさんはいきなり、そのでっぷりとした体をナイフでぶっ刺した。ザクッと躊躇なく突き刺したのだ。

 俺はそれを、訳も分からず見ていた。ちょっぴり驚いたのだ。

 セクシーポーズは置いといて、このでっぷり加減のつるりとした感じは、煮込んだら美味しそうなのだとか思っていたところだったのだ。

 その時だ。どこからか叫び声が聞こえてきたのだ。


 ――ギョァァァーーーッ!!


 なんだこの叫び声は!? 遠くから今迄聞いた事もない、脳が揺さぶられる様な(おぞ)ましい叫び声が聞こえてきた。空気が震え、気を抜けば気絶してしまいそうな叫び声だ。

 俺は思わず、両手で耳を塞いだのだ。


「ふぇ……」

「これは……マズイな」


 ディさんが真顔になった。深刻そうなのだ。


「でぃしゃん?」

「この叫び声はマズイ。ロロ、早くギルドに行こう」


 そう言ったかと思ったら、ディさんは俺をヒョイと抱き上げ走り出したのだ。

 一体何が起こっていて、どうマズイのか?

 俺はディさんにしがみ付いていた。理由を聞きたいけど、ディさんの走りが早くて喋れなかったのだ。こんなに慌てたディさんは珍しい。お顔がいつもと違うのだ。

 攫われた俺を助けに来てくれた時だって、こんなに慌てていなかったのだ。いや、あの時は俺を心配して泣きそうなお顔になっていたのだ。いつも冷静なディさんなのに。

 あっという間に冒険者ギルドに到着した。ギルドは蜂の巣を突いた様な騒ぎになっていた。

 冒険者だろう人達が何人もいて、ギルドのお姉さん達が、総出で運ばれてくる人達の整理をしていたり、ポーションを用意していたりするのだ。

 きっと、さっきディさんが『マズイ』と話していた叫び声が原因なのだろう。


お読みいただき有難うございます!

叫び声が超危険なお野菜の魔物と言えば!?

ダメダメ、ネタバレは駄目ですよ〜

応援して下さる方は是非とも評価やブクマをして頂けると嬉しいです!本当に嬉しいでっす!

宜しくお願いします。(๑˃̵ᴗ˂̵)/

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― 新着の感想 ―
[一言] ピンクの子はおとなしくて可愛いのら(*´▽`)お名前もらってよかったね
[一言] 大根は料理に使います。 魔物なので、もっとおいしそうですね。笑
[一言] 根菜の先に更に何かいたり……
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