121ーロロに出来る事
コッコちゃんは、俺に訴えるのだ。レオ兄の魔力なら、きっとみんなを統率できる雛が生まれてくる筈だというのだ。
何故ならレオ兄も魔力が多いし何より性格がそうだから。
なら、オレンジ色した雛達は俺の性格が反映されているとでも言うのか? そんな事はないだろう。俺は決して肉体派ではないし、イケイケでもないのだ。
でも、コッコちゃんなりに色々と考えているのだね。親心とでも言うのだろうか。
コッコちゃん達が言っている事をレオ兄に話したのだ。
「コッコちゃん、僕は昼間家にはいないんだ。姉上と一緒に冒険者として活動しているからね。だから温めるのは無理だよ」
「コケッ!?」
「クック!?」
コッコちゃん達は、なんだって!? 知らなかった! と、驚いている。道理で毎日昼間はいない筈だと。
そりゃ知らないだろう。だってコッコちゃんなのだから。
「コケッコッコ」
「クックック」
「えー、しょう?」
「コッコ」
「クク」
「ロロ、コッコちゃんは何て言っているの?」
俺はレオ兄に説明したのだ。卵はそんなに簡単に割れたりはしない。だから布を巻いてバッグにでも入れて、持って行ってくれたら大丈夫だと。
そこまでしても、レオ兄に温めて欲しいのか?
俺はちょびっとショックなのだよ。俺が一番コッコちゃんと一緒にいるのに。
卵が、いくらそう簡単には割れないと言っても、レオ兄は冒険者なのだ。
ずっと卵を入れたバッグを持っているというのも無理があるのではないか? コッコちゃんの卵は大きいし、邪魔だろう?
「本当に割れないのかな?」
「クック」
「らいじょぶらって」
「んー、でもなぁ……じゃあこうしよう。朝と夜は僕が温める。昼間だけロロが温める。それじゃ駄目かな?」
え? そんなに簡単に決めてもいいのか? レオ兄、俺が参加しちゃってもいいのか?
「それでも良いなら温めるよ」
「コッコ」
「クック」
「れおにい、しょれれいいって」
「そう? ならそうしよう」
なんだか納得できないのだ。俺が温めると、確かにオレンジ色の超元気な雛達が生まれちゃうけど。
コッコちゃん、仕方ないって感じじゃないか?
「クク」
「コケ」
「ほんと?」
「コッコ」
「クック」
「じゃあいいのら」
コッコちゃんは、進化させてくれたのだから感謝していると言ってくれたのだ。それに身体能力も必要だと。
ふふふん、ならいいや。俺は、元気過ぎる雛達が生まれて、迷惑を掛けているのかと思っちゃったのだ。
「ロロ、コッコちゃんは何て言ってるんだい?」
「でぃしゃん、こっこちゃんを進化しゃしぇてくれたから、かんしゃしてるって」
「そうだよね。今迄ずっと進化できなかったんだから」
そうそう。弱いから。
「コケコ」
「クク」
「わかってるのら」
コッコちゃん達は、進化する前に食べられちゃうから仕方ないと言っていたのだ。
それはそれで、可哀想なのだ。森の生存競争は過酷なのだね。
それにしても、レオ兄と俺だよ。統率力もあって元気な雛が孵りそうなのだ。最強じゃないか?
リア姉とレオ兄は、ギルドに行くといって出掛けて行ったのだ。午後から、なんとかディアを狩りたいからと、今日はピカも一緒に行ったのだ。
「でぃしゃん、なんとかでぃあ」
「ホーンディアだね」
「しょう、しょれ。ちゅよいの?」
「魔獣だからね。立派な角が左右に2本ずつあるんだ。コッコちゃんみたいに弱くはないよ」
「しょっか」
「遠距離でも、雷の魔法を使ってくるんだ。だから強いよ。それに走るのが速いんだ」
魔法を使うし、逃げ足も速いのか。コッコちゃんも逃げ足は速かったのだ。
「崖みたいに足場が悪かったとしても、ヒョイヒョイ走って逃げるんだ」
「あー、ちゅかまえられる?」
「レオの弓次第じゃないかな?」
なんだ。今日こそは仕留めるとかリア姉が言っていたけど、レオ兄の弓頼りなのか。なるほど、なるほど。
「レオが話していた木があるだろう? あれも良い枝を狙って伐採してくるんじゃないかな? 高く売れるからね」
「ひょぉ〜」
「ピカを連れて行ったから、ホーンディアが駄目でも何か狩ってくるだろうね」
そうなのだ。ピカは収納してくれるのだ。きっと、沢山狩ってくるつもりなのだろう。良い稼ぎになる。
俺達は、暫くお肉を食べられる。一石二鳥なのだ。
「ぐふふ」
「ロロ、何だい?」
「どんなお肉なのか、たのしみなのら」
「アハハハ。ロロは食い気なんだね」
だって俺はまだ剣帯も必要ないし、弓だって使えない。まだちびっ子だから。
俺はまだみんなに守られているのだ。本当は俺だって、みんなを守りたい。でも、力がない。焦ったいし悔しいのだ。
「ロロ、今のロロに出来る事をすれば良いんだよ」
「でぃしゃん……」
今の俺にかぁ……よし。頑張って刺繍するのだ。リア姉とレオ兄の、おリボンをバージョンアップさせるのだ計画なのだ。
「僕のも忘れないでね」
「ちゃんとしゅこしじゅつやってるのら」
「そうなの?」
「しょうなのら。できるまれ、ないしょなのら」
「楽しみだな〜」
ディさんに頼まれたのは俺の大作なのだよ。緑だけでこんなに何色も使ったのは初めてなのだ。
いつもディさんが来るまで、チクチクと刺繍をしている。まだマリーに教わる事もあるのだ。
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