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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第2章 おともらちが増えたのら

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116ー強いのだ

「まあまあ! 危ないですよ!」

「マリー、分かってる! 近寄らないよ!」


 そう答えながら、ニコ兄と一緒に家の外に出てリア姉とレオ兄を探した。

 畑の中の小道を、ピカを先頭にリア姉とレオ兄が走っているのが見えた。


「あの辺りは、ドルフ爺の畑だ。獣がまだ他にもいるかも知れないぞ」

「あらあら、危険ですね」


 マリーまで見に出て来ている。


「どるふじい、ぶじでよかったのら」

「本当ですね」

「ほらぁ、ブギブギ鳴いてるわよーぅ」


 亀さんだ。俺には何も聞こえない。


「分かるのか?」

「神使様は、なんてカッコいいのかしらぁ〜」


 ピカの事だろう。んん〜、見える場所まで行きたいのだ。


「にこにい」

「おう、見たいな」

「しょうなのら」

「よし! ロロ、俺の言う事は聞くんだぞ」

「分かったのら!」


 ニコ兄も見たくて仕方ないのだ。二人で手を繋いでピカが行った方へと向かう。ニコ兄に手を引かれながら、一生懸命走るのだ。

 笑えるくらいに、遅いのだけど。ワッハッハ。


「あんまり近付いたら駄目ですよ! 危ないですよ!」

「まりー、らいじょぶら!」

「近寄らないよ!」


 マリーは家の前から見ている。騒ぎを聞きつけたのか、ドルフ爺も出て来た。


「ニコ! 出たか!?」

「おう! ピカとリア姉、レオ兄が行った!」

「そうか!」


 何故かドルフ爺は手に(なた)を持っている。まさか、戦うつもりじゃないだろうな。元気な爺さんなのだ。

 離れた場所に、レオ兄が見える。


「ロロ! ニコ!」

「あれ? レオ兄が呼んでるぞ」

「なんれらろ?」

「分かんねーけど、行ってみよう!」

「うん!」


 危なかったらレオ兄は絶対に呼ばない。だから、大丈夫なのだろう。

 ニコ兄に手を引かれて、レオ兄のそばまで行ってみて目が点になったのだ。目の前で起こっている事を、脳が受け入れられないとはこの事なのだ。

 意味不明だ。驚き過ぎて、最初は理解できなかったのだ。

 ピカより少し大きなボアが、畑の中の小道を呻きながら走っていたのだ。角はないから魔獣ではないのだろう。でもそれに驚いたのではない。

 その走っている大きなボアの、背中や頭の上に乗っている小さな三つのオレンジ色した物体X……じゃなくて、雛だ。

 『ピヨーッ!』と鳴きながら、ボアの上でバコバコとジャンプしながら蹴りまくっている。


「ふぉーちゃん、りーちゃん、こーちゃんあぶないッ!」

「ロロ! あれ、雛だよな!?」

「にこにい、しゅごいのら!」

「そんな事言ってる場合かよ!」


 オレンジ色の雛達の動きに放心状態なのだ。だがよく見るともう一種類、そのボアに飛び蹴りをお見舞いしているのがいたのだ。

 キャンキャンと、鳴きながら走る土色した小さな物体が5つ。

 ボアの足元を疾走しながら、勢いよくジャンプして脇腹を蹴りつけている。


「ふぇぇ……ッ!?」

「ロロ、あれって……」

「ロロ! あれってロロが作っていたのだろう!?」


 俺が少し前に、ペッタンペッタンコネコネして作っていた、ピカの土人形達だったのだ。驚いたなんてもんじゃない。


「ひょぉーッ! れおにい、う、うごいているのら! はし、はしっているのら!」

「アハハハ! そうなんだよ! もう驚いたよ!」


 いやいや、驚いたのは俺だ。作って軒下に並べて乾燥させていたのだ。

 いつの間にか無くなっていたから、忘れていたのだ。その5頭のピカの土人形と3羽の雛達に、あっちこっちから蹴りを入れられ、ボアはもうフラフラになっている。

 亀さんが話していた様に、確かに『ブギブギ』と鳴いているのだが声に元気がない。


「僕達が来た時には、もうああなっていたんだ」

「しゅごいね〜」

「ロロ、凄いね〜じゃないぞ!」


 だって、他に言葉が出ないのだ。何故に動いているのだ? しかも、強いじゃん。

 あんなに小さいのに、大きなボアを弱らせている。

 だが、ボアは最後の力を振り絞って逃げようとしたのか、向きを変えてこちらに向かって突進して来たのだ。

 俺が、突然の事で動けないでいると、リア姉とレオ兄が武器を構えて俺達を庇うように前に出た。

 リア姉は剣を、レオ兄は槍をボアに向かって構えている。ニコ兄も俺を庇うように抱きついてくる。

 そして、ピカが吠えた。


「わぉぉーーんッ!」


 周囲の空気を震わせるかの様な声だ。何かを訴えているのかも知れない。

 ピカの鳴き声が合図だったのか、雛達や土人形が素早くボアから飛び降り距離をとった。

 すると、ピカから風の槍が飛んでボアの喉元を貫いたのだ。ボアはなんとも言えない、鳴き声にならない悲鳴を上げながらドサッと音を立てて倒れた。


「おおーッ!」

「ふぇぇッ!?」

「ピカ、つえーッ!」


 お見事ッ! ピカさん、相変わらずお強い。思わずニコ兄と一緒に拍手なのだ。


「わふッ」

「アンアン!」

「キャン! キャン!」


 鳴きながら、小さなピカの土人形がワラワラと走って来た。

 ピカさんの事を親だと思っているのかな? と、見ていたらピカを素通りし、俺の足元までやって来てちょこんとお座りをして整列した。

 尻尾をブンブンと振りながら。土で出来た尻尾だけど。


「ロロ、褒めて欲しいのじゃないかな?」

「え……れおにい、しょお?」

「きっとそうだよ」


 そうなのか? なら、ご期待には応えないとなのだ。


「よくやったねー。えらいえらい」


 そう褒めながら、土人形の頭を指で撫でた。うん、土なのだ。ほんのり温かいけど。


お読みいただき有難うございます!

今日のポイントは『物体X』です。^^;

明日も読むよー!と、いう方は是非とも評価やブクマをして頂けると、とっても嬉しいです(๑˃̵ᴗ˂̵)/

目指せランクアップ!^^;

宜しくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読んでいるとその場面場面が頭に浮かんで、ホッコリします。 ロロが作っていた土人形が動けたら良いなと思っていたら期待を裏切らねい展開になって大満足です。やはり期待裏切らないロロちゃん❣️更な…
[一言] まさかの傀儡(泥人形)
[一言] ひょぉーッ!!ピカ土人形さんが!
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