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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第2章 おともらちが増えたのら

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113/485

113ー霊獣

 そうだ、大きな亀さんに気を取られていたけどオレンジ色した雛達だ。亀さんにキックをお見舞いしていた。


「ふぉーちゃん、りーちゃん、こーちゃん、ちゅよいんらね」

「あ、そうだよ。この雛達強いね」

「ね〜」

「ピヨッ!」

「ピヨピヨッ!」

「ピピッ!」


 まだまだアル! 余裕アルね! 役に立ったアルか? と、口々に話してくる。ピヨピヨと鳴きながら、パタパタとジャンプしている。

 そんな事、他の雛は出来ないのだ。まだヨチヨチ歩きなのだから。

 亀さんはお婆さんだし、お腹が空いていたから弱々だったのではないかな?


「わふ」

「え、しょうなの?」

「ロロ、この亀さんはそんなに強くないんだ」


 強くないのか? それでよく長生きできたのだ。あの魔獣が闊歩している森でさ。


「だから、珍しいんだよ」

「へぇ〜」

「わふわふん」

「え? 魔法?」


 ピカが教えてくれたのだ。この亀さん、魔法が使える。でも、その魔法というのが『擬態』と『硬化』なんだって。

 もしも強い魔獣に出会ってしまったら、手足を甲羅の中に入れて岩に擬態をして体を硬化させる。気配まで消して、それこそ本物の岩みたいになるのだそうだ。それで、魔獣をやり過ごすのだ。

 打撃攻撃なんて、動くのが遅くて出来ない。手を動かしているうちに、ガブリとやられてしまう。魔法も攻撃魔法は使えない。それに、草食なのだそうだ。

 ゆっくりと移動しながら、森に生えている草をモシャモシャと食べる。

 魔獣がいたら、擬態と硬化でやり過ごす。そうやって何百年も生き延びてきた。


「ひょぉー! しゅごいのら!」

「アハハハ、そうだろう? 本当に珍しいんだよ」

「わふ」


 ピカも、初めて見たと言っている。


「かめしゃん、たいへんらったねー」


 モシャモシャと夢中でお野菜を食べている。腹ペコ仮面なのだ。


「ねえ、ロロ。この亀さんも飼ってあげたら?」


 ディさんが言い出した。

 うちにはコッコちゃんファミリーがいるのだ。まだ増えるだろうし。

 その上、大きな亀さんなのか? 大丈夫なのか? 飼うからには、可愛がってあげたいし。


「だって、森に帰すのは可哀想じゃない? もうお年だし」

「んんー」


 俺は腕を組んで考える。

 いいのか? 飼ってしまって、お世話が出来るのか?

 餌はどうだろう? うん、大丈夫だ。お野菜の葉っぱが沢山ある。

 亀さんのお家はどうするのだ? どんな環境が良いのだろう?


「でぃしゃん、かめしゃんはおみじゅのあるところに住んでるの?」

「この亀さんは陸亀の一種なんだ。それにもうお年だからね。体が浸かる程のお水は必要ないよ。時々ロロの魔法で、水を掛けて甲羅を洗ってあげるといい。普段は飲み水だけで大丈夫だよ」

「しょっか」


 なら、大丈夫か? どうしよう? こんな時は、大雑把なマリーに相談なのだ。


「まりー」

「はいはい、どうしました?」

「かめしゃん、かってもいい?」

「はい、いいんじゃないですか?」


 お、迷わず答えた。これは、あんまり考えていないのだ。


「亀さんはちょこまか動かないでしょう?」

「もう、おばあしゃんなのら」

「あらあら、そうなんですか?」


 お野菜をペロリと全部食べちゃった亀さん。


「ふぅ〜、とっても美味しかったわぁ〜」


 喋ったのだ。喋れると知らなかったマリーは驚くかな?


「あらあらまあまあ! 話せるのですね!」


 手を叩いて面白がっている。目がキラキラしているのだ。何故に?


「長生きしている亀は、縁起が良いと言いますよ!」


 そうなのか? 亀は万年みたいな感じか?


「このかめしゃんは、れいじゅうなんらって」

「え? 何ですか?」

「マリーさん、霊獣なんだよ」


 マリーが首をキョトンと傾げた。理解できてないぞ。

 ディさんが説明してくれた。今日2度目だ。


「あらあらまあまあ! それは凄いですね!」


 マリーも、今日はダブルを大サービスなのだ。

 ピカとチロの方が、もっと凄いのだけどマリーは分かっていない。


「けろ、でぃしゃん。かめしゃんが帰りたかったらしょのほうがいいのら」

「そうだね、聞いてみよう」


 そうそう。亀さんの希望を聞いてみよう。


「ねえ、かめしゃん。うちにいる? 森にかえるならおくっていくけろ」

「ええぇ、ほんとにぃ? いても良いのかしらぁ?」

「いいよー」

「じゃあ、お世話になるわよーぅ。安全だしぃ、とぉっても美味しいお野菜もあるしぃ嬉しいわぁー」


 簡単に決まってしまったのだ。

 どうやら亀さん、森に帰るのも一苦労らしい。道中何があるのかも分からない。

 森から来る時も、何日も掛かったそうだ。人に突かれ蹴られ、馬車に轢かれそうになりながら、移動して来たらしい。

 そういえば、森に煩いのがいると話していた。棲み難くなったのかな?


「ほんっと、安全だしぃお野菜は美味しいしぃ、ありがたいわよーぅ」


 亀さんは、お水を飲んでお野菜も沢山食べた。うちにいる事になって安心したのか、軒下にのっしのっしと移動してスピーッと眠ってしまった。

 森から何日も掛けてやって来て、疲れたのだろう。

 それにしても、首や手足をのべーッと伸ばして無防備に眠っている。これでよく今迄生き延びてきたものだ。


「ありゃりゃ」

「アハハハ、お年だからね」

「コッコちゃん達が賑やかですけど、平気でしょうか?」

「うん、いいんじゃない?」


 ディさんも、アバウトなのだ。


お読みいただき有難うございます!

明日4月1日はリリの3巻発売を記念して、発売記念SSを投稿します!

是非、読んで頂けると嬉しいです。

ロロくんも頑張りますよ〜(๑˃̵ᴗ˂̵)/

宜しければ、評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

感想も有難うございます!

宜しくお願いします。

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[一言] ダブルの大サービス 某アイスクリーム屋だったらカップが山盛りに
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