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☆第6回ESN大賞W受賞☆④発売中☆元貴族の四兄弟はくじけない! 〜追い出されちゃったけど、おっきいもふもふと一緒に家族を守るのだ!〜  作者: 撫羽
第2章 おともらちが増えたのら

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111ーやんちゃな雛

「まだ、人の家には近寄っていないみたいだけど……放っておけないね」

「でぃしゃん?」

「ギルドに言っておこう。冒険者に討伐してもらうと良いよ。人が被害に遭わない内に対処しておこう」

「おう! じーちゃん達が喜ぶよ!」


 でも、冒険者に依頼するという事は、お金が掛かるのではないのか? そこはどうするのかな?


「ロロ、どうした?」

「にこにい、ぼうけんしゃにいらいしゅるとお金がかかるのら」

「あ、そうか」

「ロロはお利口だね。大丈夫だよ」


 ディさんが言うには、この場合は領主様が依頼人になって負担してくれるらしい。街の防衛費の様なものだ。

 今はまだ畑を少し荒らす程度で済んでいる。でも、これで旨味を覚えてどんどんエスカレートしてしまう可能性がある。放っておけばそうなるのだろう。

 相手は獣なのだから遠慮は勿論、倫理観なんてないのだから。

 だから、早めに対処するのだそうだ。

 どんな獣を何頭討伐したかで、冒険者への報酬が変わるそうだ。

 その時だ。ピカが何かを見つけたのだ。


「わふッ」

「え? ぴか、ろこに?」

「わふん」

「でぃしゃん、ぴかが何かいるといってるのら」

「え? 何だろう? ピカ、そこに行こう」

「わふん」


 ピカが慌てている訳ではない。なら、危険はないのだろう。と、すると……昨夜の内に倒されたのだろうか? って、誰に? 一体、何がいるのだろう?

 ピカが畑の中の小道を行き、防御壁のある方向、森に近い方へと進んで行く。

 畑の中を十字に小道が通っていて、その端っこに着いた。

 そこにいたのは獣ではなく……


「ひょぉーッ! おっきな、かめしゃん!」


 体長は優に1メートルは超えている。角度によっては、ゴールドにも見える褐色で半円形のドーム型した甲羅。

 そこから出ている太くて短い手足、そしてお顔。甲羅の大きさだけで1メートルはありそうなのだ。

 その大きな体の割にはつぶらな瞳。その瞳から、ポロポロと涙を流している。

 何故なら大きな亀さんの上には、オレンジ色した雛が乗って足でペシペシと踏ん付けている。亀さんの尻尾を踏ん付けていたり、お顔にキックをしている雛までいる。こらこら、亀さんが可哀想ではないか。

 雛達はいつの間に、こんな場所まで移動していたのだ? 俺達の後ろを付いて来ていた筈なのだ。


「ふぉーちゃん、りーちゃん、こーちゃん、やめれ!」

「ピヨッ!?」

「ピヨピヨッ!?」

「ピピッ!?」


 ええッ!? どうしてアルか!? だってお野菜を勝手に食べようとしていたアルよ!? キックするアルね! と、口々に言っている。

 だって、涙を流しているのだ。やり過ぎだ。

 仕方ないアルね〜、なんて言いたそうな感じだ。ピヨピヨと鳴きながら、亀さんから離れた。


「え……どうしてこんなところにいるんだ?」


 ディさんが近付いて見ている。

 亀さんは、3羽のオレンジ色の雛に攻撃されて涙を流しているのだ。大丈夫なのか?

 まさかこんなに大きい亀さんが、小さな雛にやられたりしないだろう。

 それにしても、大きな亀さんなのだ。泣いてるなんて可哀そうだから……


「いたいのいたいのとんれけ~」

「ロロ!」


 そう言いながら、亀さんの方に掌を向けたのだ。亀さんがペカーッと光ってしまった。

 あ、やべ。忘れていたのだ。俺って、回復魔法が使えるのだった。


「ロロ、回復させてどーすんだよ」

「らって、にこにい。泣いてるのら。かわいしょうなのら」

「アハハハ! 大丈夫だよ。悪い亀さんじゃないからね。悪くはないんだけど……」


 ディさんが、亀さんのそばにしゃがみ込んだ。


「ねえ、話せるんでしょう?」

「……」

「回復してもらったのに、だんまりなの?」

「た、た、助かったわよーぅ……」

「「え……」」


 俺とニコ兄は驚いた。マジで、言葉が出ないくらい驚いた。お目々が飛び出るかと思ったのだ。

 だって、喋る亀さんなんて聞いた事がないのだ。もちろん、見た事もない。


「え……おじいしゃんのかめしゃん?」

「爺さんじゃないわよぉ。そこはぁ、どっちかと言うとぉ、あやふやと言うかぁー。こんな綺麗な爺さんがいる訳ないじゃないのよーぅ」


 いや、だからどっちなのだ?


「じゃあ、おばあしゃん?」

「それは決めつけちゃダーメッ。長生きしてるけど、婆さん扱いするんじゃないわよーぅ。そういう生き物なのッ」


 え……何なのだ? お婆さんでいいんだよな? 分からんぞ。


「なーに、何なのぉ? 森人のエルフがどうしてここにいるのかしらぁ?」

「僕はこの国に住んでいるんだ。それより、君もどうして畑に出てきたんだよ」

「仕方ないじゃなぁい、とーってもお腹が空いたんだものぉ……新鮮なお野菜を探してここまで来たのよーぅ」

「森に食料がないって事かな?」

「そうじゃないのー、そうじゃないんだけどぉ……」


 亀さんは、喋るのも遅かった。

 待って待って、ディさん。どうしてその亀さんは喋れるのかを教えて欲しいのだ。

 ニコ兄もまだ、キョトンとして固まっているぞ。

 喋り方からして、お婆さん亀でいいのだよな?


「でぃしゃん、でぃしゃん」

「ん? ロロ、どうしたのかな?」

「ろうしてこのかめしゃんは、はなしぇるのら?」

「ああ、そっか。そうだね」


 ディさんが教えてくれた。この亀さんは普通の亀さんではない。

 なんとなんと、霊獣というのだそうだ。


「霊獣とはね、何百年も生きて霊格が高くなった生き物の事を言うんだ。この亀さんは近くの森で何百年も生きていて、魔獣にもならなかったんだ」


 ほうほう……で?


「あれ? ロロは意味が分かってないのかな?」

「めちゃながいきした、かめしゃん」

「そうそう、そうだよ」


お読みいただき有難うございます!

またロロのお友達が増えそうです。やっぱオネエキャラって好きです。^^;

明日も読むよ!と応援して下さる方は、是非とも評価とブクマをして頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします!

今日は、クーファル兄さんのイケメンなイラストをどうぞ!よく見ると、リリと手を繋いでいるのですよ!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
橙の三連星 ジェットストリームアタックを仕込むべき
[一言] オネエかめしゃん!
[一言] オネエさん(゜∀゜)キタコレ
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