103ー名付け
「らめ! いまのなし!」
「わふ」
「えー、らってちょっと言ってみたらけなのら」
もう名付けしちゃったね。と、ピカに言われたのだ。そんなぁ。あまりにも、適当すぎるだろう? だって、フォリコッコを一文字ずつ分けただけなのだよ。
「ピヨッ!」
「ピヨピヨッ!」
「ピヨヨッ!」
「しょうなの?」
気に入ったアルね! と、本人が言っているからもういいっか?
「アハハハ! ロロ、それはないだろう!?」
「れも、でぃしゃん。もうちゅけちゃった」
「みたいだね。光っちゃたもんね」
「しょうなのら」
当の、3羽はピヨッピヨッと鳴きながら少し飛び跳ねているのだ。おやおや、まだ雛なのによく動けるのだね。
うん、そんなところが他の雛とは違うのだ。
淡い黄色の普通の雛はもっと大人しいのだ。親コッコちゃんに紛れて、俺の側でじっと見ている。
「かぁわいいね~」
思わず、雛の頭をナデナデしてみた。小さくて可愛い。幼羽がフワッフワなのだ。俺の手に頭を擦り付けてくる。
すると、オレンジ色した3羽の雛が反応した。
「ピヨッ!」
「ピヨピヨッ!」
「ピヨヨッ!」
本当に元気だね。自分も自分も。ナデナデしてアル! と、飛びついてきたのだ。ジャンプできるのだね、まだ雛なのに。
「ほんとうにいいの? ふぉーちゃんとりーちゃんとこーちゃんらよ?」
まあ、本人……いや、本鳥が良いなら良いんだけど。我ながら、とっても安直だ。
もっと捻りや拘りが欲しい。思いつかなかったのが丸わかりなのだ。
近所のじーちゃんやばーちゃんに、考えてもらった方が良かったのではないか?
付けちゃったものは仕方がない。取り敢えず、おリボンで区別しよう。
大きくなって、違いが分かる様になるといいのだけど。
「まりー、おリボンちょうらい」
「はいはい。3色ですね」
「うん、しょうなのら」
マリーが出してきたのは、赤、青、黄色のおリボン。前世にそんな歌があったぞ。違うよ、あれは『赤、白、黄色』なのだ。
フォーちゃんが赤色、リーちゃんが青色、コーちゃんが黄色のおリボンだ。うん、可愛いよ。とっても似合ってるのだ。
朝から、コッコちゃんパラダイスだったその日。ディさんと一緒にお昼を食べた。
相変わらず、特盛サラダをモッシャモッシャと食べている。
「ああ、幸せ! ニコのお野菜はとっても美味しい!」
良かったのだ。ディさんが来るようになってから、賑やかになったのだ。楽しくてついつい足をプランプランとしてしまう。
お行儀悪いよ、とレオ兄に叱られてしまいそうなのだ。
「マリーさん、午後から予定はあるのかな?」
「いえいえ、特にありませんよ」
「じゃあ、ロロがお昼寝から起きたら『うまいルルンデ』と教会に行こう」
「でぃしゃん、こっこちゃんをみるの?」
「そうだよ。雛が産まれているだろうからね」
「うん、たのしみなのら」
そっか、孤児院の子供達は上手く孵化できたのかな? 『うまいルルンデ』は本当に食べてしまうのかな?
そんな事を考えながら、お昼ご飯を食べ終わると俺はお昼寝なのだ。
最近はディさんがベッドに運んでくれる。時々、一緒に隣で眠っている。添い寝というやつだ。
ある日お昼寝から起きたら、目の前にディさんの超綺麗なお顔があってビックリしたのだ。
ふふふ、父さまもこんな事をしたのかな? なんて、ちょびっと思ったのだ。
「ふぁ~」
「わふん」
「ん、ぴか。おきたのら」
「キュルン?」
「うん、下に降りよう」
ベッドから、モソモソと出て1階に降りて行く。ディさんとマリーが話している声が聞こえた。
「まだ、返事がないんだ」
「そうなんですね。時間が掛かるのでしょうか?」
「そうだね、申請だから順番もあるのだろうね」
何の話なのだろう? 大人の話なのかな?
俺が、トントンと階段を降りて行くとマリーが気が付いた。
「ロロ坊ちゃま、目が覚めましたか」
「うん。まりー、おのどがかわいたのら」
「はいはい、果実水でいいですか?」
「うん」
「わふ」
「キュルン」
「まりー、ぴかとちろもほしいって」
「はいはい、分かってますよ」
ディさんがソファーに座ってた。いつも食事をしているテーブルの下には、コッコちゃんファミリーが勢揃いしている。親コッコちゃん7羽に、雛が6羽だ。増えたね~。
「ロロ、よく眠れたかな?」
ニッコリとしてくれる。さっきはマリーと、真剣なお話をしていたみたいだけど。
「うん、でぃしゃん」
俺、ちょっと思っちゃったのだ。今更なんだけど、少し心配したのだ。
「でぃしゃん、おしごとしないの?」
「ん? ディさんはそんなに毎日働かなくてもいいんだよ」
「どうしてなのら?」
「今まで頑張って働いてきたからね。余裕があるんだよ」
要するに、お金持ちって事なのかな? セレブなのか!?
だってSSランクなのだ。きっと、SSランクが受けるクエストなんて大変なのだろう。報酬も良いのだろうけど。
「ボクもぼうけんしゃになるのら」
「えー、ロロは戦うの嫌って言ってたじゃない」
「うん、こわこわ」
「じゃあ、無理だよ。すっごく強い魔獣とかいるよ?」
「えぇー、こわこわ。むりなのら」
「ね、ロロに合ったお仕事をすればいいんだよ。ロロは手先が器用だ」
「ししゅう?」
「そうだね。大きくなったら、もっと付与もできるだろう。ポーションだって売れるよ」
「あー、しょっか」
「そうだよ」
忘れていたのだ。
お読みいただき有難うございます!
3月も後半になりました。
お忙しい方もいらっしゃるかと思います。
花粉症はあと少しの辛抱ですね。
ロロで一息ついて頂ければと思います。^^;
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目指せトップ50ランクイン!(トップ10じゃないのかよ〜^^;)
宜しくお願いします!




