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【完結】魔王様、今度も過保護すぎです!【同シリーズ4/10コミック発売!】  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
第28章 子ども達の自立?

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488.お姉ちゃんの密かな願い

「パッパの抱っこ、好き」


 イヴが短く意思表示する。照れたようでぶっきらぼうな口調だが、ルシファーは素直に喜んだ。


「そうか、また抱っこさせてくれ。オレがしたいんだ」


 リリスと一緒で、天邪鬼な傾向のあるイヴを気遣い「オレが」を強調しておく。


「うん、いいよ」


「ありがとう」


 抱き上げたまま、テラスに出る。ルシファーが執務をこなす間に、外は夕暮れに染まる時間になっていた。傾く夕日を浴びながら、艶を増した黒髪を撫でる。


「イヴ、シャイターンは好きか?」


「うん、大好き。可愛い」


「立派なお姉ちゃんで助かるが、無理していないか? 嫌なことがあれば相談して欲しい。これはオレからのお願いだ。言いづらければ、リリスでもいいぞ」


「うん……あのね」


 小さな声で切り出したイヴに、やっぱり不満があったのかと安心する。こうして話してくれるなら、解決してやれるからだ。言わずに溜め込まれるのは困る。


 自分の黒髪を指でくるくる回す。ようやく肩甲骨の下まで伸びた毛先を、イヴは摘んで引っ張った。


「この髪の毛、白くなる?」


「は? ……えっと、白……がいい、のか?」


 予想外過ぎて、素っ頓狂な声をあげてしまった。意味を捉えようと、娘の言葉を繰り返してみる。白い髪になりたいと聞こえた。


「パッパの色がいい」


「そ、そうか……嬉しいな」


 へらりと笑み崩れる。愛娘が同じ色になりたいと願っているのだ。これは「パパのお嫁さんになる!」のパターンか!! 愛娘が口にする言葉を推測しながら、ルシファーはご機嫌だ。


 わくわくする父親を無視し、イヴは続けた。


「ゴルのお嫁さんになるの」


「ん?」


 予想と真逆の主張に、ルシファーは考え込んだ。イヴの交友関係で、ゴルと呼ばれそうなのは琥珀竜だけ。ゴルティーだとして、なぜお嫁さんの話に繋がるのか。


「金色じゃなくて白がいいんだよな?」


「うん」


 話がよく分からない。どう質問したら答えが得られるか。唸るルシファーを見兼ねて、ヤンが口を挟んだ。


「我が君、イヴ姫様は勘違いしておられるのです」


 リリスにくすぐられたシャイターンが逃げたため、クッション役から解放された獣王フェンリルは、小型化していた。敬愛する魔王陛下が困っていれば、お助けするのは当然だ。胸を張って記憶を辿り始めた。


「勘違い……」


 ヤンの覚えている話によれば、ゴルティーは保育園に通うイヴへこう告げたらしい。強いお嫁さんをもらうのだ……と。


 イヴは素直に周囲へ尋ねた。強さの基準は何か、その答えが「純白の魔王」だっただけ。イヴの友人達が知る最強は、純白を持つルシファーだ。魔族の形として白が強いのは、間違いない。この質問内容が「お金持ち」や「権力者」であっても、やはり魔王と答えただろう。


 そのため強さの象徴である白い髪が欲しいと強請り、その裏でゴルティーのお嫁さんになるへ繋がった。


 目を輝かせて強さの象徴である父を見つめ、気に入った雄のお嫁さんになりたいと願う。イヴは早熟らしい。保育園への送り迎えをしていたヤンの証言により、事情は察したが。


「白くなれないぞ」


 大人げなく答えた。実の娘に「パパのお嫁さんになる」と宣言してもらえるチャンスを逃し、すっかり臍を曲げていた。


「ふーん」


 ムッと唇を尖らせたイヴは、ルシファーにトドメを刺した。


「そんなこと言うパッパは嫌い」


「っ!」


 ショックを受けすぎて、ルシファーは半泣きになる。そこへリリスから声がかかった。逃げ回るシャイターンを捕まえたのだ。


「何してるの? 果物剥いて食べましょう」


「リ……リリスぅ」


 泣きつく夫をきょとんとした顔で受け止め、リリスは首を傾げる。ヤンから事情を聞いて、声を立てて笑った。

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― 新着の感想 ―
[一言] パッパは愛娘に嫌われると絶望するのだ。
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