表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】魔王様、今度も過保護すぎです!【同シリーズ4/10コミック発売!】  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
第27章 春の芽吹き

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

484/530

482.追いかけて寒さに震える

「アスタロトはどうした?」


 魔力を辿りながら呟き、ルシファーは目を瞬いた。


「海?」


 リリスの発言通り、海の方角からアスタロトの魔力を感じる。だが戦闘状態ではないので、差し迫った状態ではないと思われた。そう説明すると、リリスは「危険じゃないなら行きましょう」と促す。


 イヴがいないので、結界無効化の心配もない。ならばルシファーが同行する以上、大きな心配はないだろう。自身でそう判断したルシファーが、足元に魔法陣を描いた。終点はアスタロトにしたいが、もし影の中なら入れない。少し離れた安全な地点を選び出した。


「空中だな」


「わたくしも同行しますわ」


 ひょいっと飛び乗って便乗するベルゼビュートと共に、魔王夫妻は転移した。宣言の通り、海辺の上空だ。見回す範囲に、アスタロトやルーサルカの姿はなかった。


「あの辺だと思うんだが」


 特定した地点を指差すが、完全に海の中である。追うなら海へ入らなくてはならない。ちらりと視線を向けた妻は、大きく頷いた。


「行きましょう、ルシファー」


「わかった」


 リリスをしっかりと腕に閉じ込め、今度はルーサルカの魔力を終点に飛んだ。空中なので、結界を大きめに膨らませておく。強大な魔力による結界で保護された二人を、ベルゼビュートも追いかけた。


 海中は明るく、きらきらと陽光に照らされて眩しい。大した深さはないが、海流は速いらしい。海藻が大きく左へ靡いていた。


「ルカだわ」


 リリスが指差したのは、右側だった。海藻が茂みのようにわさっと生える一角に、狐尻尾が見える。ふさふさした様子から、濡れているわけではなさそうだ。


 問題は足元の方だ。明らかに影が大きかった。他の影より色の濃い黒は、どこか恐ろしさを感じる。


「アスタロトに何かあったか?」


「どちらかといえば、不満がありそうよ」


 ベルゼビュートは直感で指摘した。ほぼ本能に従って生きる精霊女王は、その読みを外さない。ぶわっと影がルーサルカを包み、瞬く間に金髪のアスタロト大公の姿を作り上げた。


 娘を抱き寄せる義父は、どこか刺々しい雰囲気だ。海の種族がいるかどうか、よく見えなかった。が、近づくのは危険な気がする。その意見は、ベルゼビュートも同様だった。


「絶対に怒ってるわ」


「嫌な感じがするんだよな」


 尻込みする二人に、リリスは腰に手を当てて唇を尖らせた。


「親友の危機なのよ、助けてちょうだい」


「助けるのに異論はないんだが……その……邪魔するとアスタロトが怖いぞ」


 義娘にいいところを見せている最中なら、うっかり助けに入ると攻撃される。下手すると埋められてしまう。過去の経験から、ルシファーは部下の危険性を語って聞かせた。そこへベルゼビュートも追い打ちをかける。


「そうよ、アスタロトほど陰湿な魔族はいないんだから」


「……そうですか、お二人の気持ちはよく理解いたしましたよ。なるほど、そのように思っておられたんですね」


 暖かな日差しが差し込む海水が、急激に冷える。凍えるような寒さは、氷河に触れているようだった。実際は錯覚……いや、もしかしたら魔力による干渉か。ぞくぞくと背筋が凍る寒さに震えながら、魔王と女大公は振り返った。


 こういうとき、どうして人は振り返ってしまうのか。恐怖の対象がいると理解しているくせに、怖いもの見たさで確認する。そして悲鳴を上げるのだ。


「うわっ」


「きゃぁああ!」


「あら、アシュタ。ルカは無事みたいね」


 まったく恐怖を感じていないリリスは、アスタロトが抱き上げた友人の姿に笑顔を向けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ