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【完結】魔王様、今度も過保護すぎです!【同シリーズ4/10コミック発売!】  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
第25章 蘇った過去の思い出

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438.謝るならお前にだと思うが

 アスモデウスは父上と呼んだが、実際のところ血の繋がりはない。アスタロト自身、突然世界に生み出された存在だった。同じように近くに感じた魔力の持ち主が、アスモデウスだ。


 ベールやベルゼビュートも同様で、両親という概念や存在は持ち合わせなかった。本来、四人は殺し合う運命だったのか。あの頃の魔の森は試験的に強者を生み出しては、戦わせていた。魔王ルシファーを生み出すために、様々な実験を試みた。


 アスモデウスとアスタロトは、性格が正反対だ。その上、能力はほぼ同じだった。吸血種同士で、手を組んでベールやベルゼビュートと争う予定でいたが、悪い偶然が重なる。


 アスタロトが呪われたのだ。あの事件がなければ、初代魔王の座は手を組んだ二人のどちらかが奪っただろう。呪われたアスタロトを止めようとして、アスモデウスは深い眠りについた。最終的にアスタロトを止めたのは、ルシファーだ。途中で投げて「あとは任せた」と告げたアスモデウスを、ルシファーは容赦なく叩きのめした。


 途中で投げ出すなら手を出すな。当時のルシファーの言葉だ。


 ルシファーの知るアスモデウスは、無責任な吸血種だった。同族の呪われた血を吸い出すこともせず、ただ見ていただけ。あのままアスタロトが失われていたら、アスモデウスは魔王に滅ぼされただろう。三人の大公と戦ってもルシファーが勝ったのだから、アスモデウスでも結果は同じだ。


「ルシファー様に会うなら手配しましょう」


「うーん、謝るならお前にだと思うが……」


 アスモデウスはこてりと首を傾げ、ハッとした様子でアスタロトに尋ねた。


「俺って長男扱いだよな?」


「いいえ、長男はちゃんと私の息子ですよ」


 あなたは違います。ぴしゃりと言い切られ、アスモデウスは眉を寄せる。


「でも俺より先に誕生しただろ」


「その場合、私は兄であなたが弟ですね」


「ああ、なるほど。言葉は理解した」


 作った覚えもないのに、数ヶ月違いの息子など勘弁して欲しい。嫌そうなアスタロトに、アスモデウスは笑った。


「やっぱり父上で行こう」


「やめてください。誤解されたら困ります」


「……あなた、また嫌なものを連れて」


 娘を抱いた妻が顔を見せ、きゅっと唇を引き結ぶ。棺で眠り続けるが、血も飲まず数万年を生きたとされる御先祖……アデーレの認識では、死に損ないのミイラだった。それが動いている。夫を「父親」呼ばわりして。


 できれば城から追い出したいと考えるのも無理はなかった。ようやく待望の娘を産んだアデーレにしたら、この時期に不安要素のある男を城に寝泊まりさせる気はない。他にも出産したばかりの同族がいるのだ。


 アスタロトに「追い出してくれ」と視線で告げた。真っ直ぐに受け止めた夫は、仕事用の笑顔を作る。本音や建前も全て呑み込む、胡散臭いと評される笑顔だった。


「アスモデウス、魔王陛下に謁見して認められない限り、この世界で生きていくことは出来ません。魔族として認められませんよ」


「……寝てる間に面倒なことになったな」


「さっさと魔王城へ行ってください。ベールやベルゼビュートに喧嘩を売らないこと。それからルキフェルという竜族が居ますが、彼も大公なので敬ってくださいね」


 注意事項を言い渡し、無理やり転移魔法で送った。抵抗せず素直に応じたところを見れば、彼も歓迎されていない事実は察したようだ。


「それにしても、なぜ今頃目覚めたのでしょうか」


 呟いたアスタロトに、アデーレは肩を竦めた。


「母なる魔の森の考えを、私達が理解できるわけないわ」


 ざわりと森が揺れる。何かを求めるように、あるいは拒むように。森は濃色の葉を風に遊ばせ、獲物を誘った。

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