表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】魔王様、今度も過保護すぎです!【同シリーズ4/10コミック発売!】  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
第20章 子どもが増える理由

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

383/530

381. 誰の邪魔も入らなかった温泉

「大丈夫か? ヤン」


「ご心配には及びませぬ」


 きりっと答えるヤンは、我は猫ではないので、と付け加えた。温泉地の屋敷に来たのだから、当然露天風呂を楽しむ。イヴがヤンも一緒にと強請ったのだが、ここでルシファーが眉を寄せる。


 家族で入れば、リリスとイヴの裸をヤンに晒すことになる。ヤンを信頼しているし、彼が何かすると思わない。だが見られるのは複雑だった。フェンリルとしては老人に入るヤンだが、オスはオスだ。どこまで行ってもメスではない。


 悩むルシファーに、リリスが提案した。


「簡単よ、私達から見える位置で護衛してもらうの。ヤンはお風呂を覗かない角度を向けばいいわ」


「さすがだ! リリス」


 大喜びのルシファーにより、作戦は決行された。ヤンは露天風呂の洗い場の一角で座っている。護衛なので外を向いて、風呂の中は見ない。リリスに抱っこされたイヴは、己の要求を通して満足げだった。


 一緒に湯船に入れたら最高だが、そこは我慢する。あまりにルシファーが悩んだので、イヴも考えたようだ。要求は二つ出したら一つしか通らない。そう学んだ。


 事前に通達して結界を張ったので、今夜はベルゼビュートや大公女達の乱入はなかった。ベルゼビュートが来れば、巨乳を見てリリスの機嫌が悪くなる。大公女達は既婚なので、周囲に余計な噂を立てられてしまう。だったら結界を張ればいい、こんな簡単な解決法をなぜ実行しなかったのか。


 ルシファーはのんびりと湯に浸かりながら、夜空を見上げた。久しぶりにゆっくりできた。今は人族もいないので、定期的に訪れる勇者の襲撃もなくなった。どの種族も子どもが増え、賑やかになり、街は活気付いている。


 すべてが好循環だった。この後リリンが目覚めれば、魔の森の恩恵が再び豊かになるだろう。うっとり目を閉じて温泉を堪能し、浮き輪がわりにしがみ付くイヴを引き寄せる。リリスがくすくす笑い出した。


「ん? どうした?」


「だって、いつもこの温泉に来ると誰かが邪魔したでしょう?」


「ああ、まあな」


 同じことを考えたルシファーも、おかしくなる。不思議なほど邪魔が入った。それが今夜は結界のお陰もあり静かだった。外は逆に、子育て準備で右往左往しているのに。リリスではないが、妙に笑える状況だった。


 温めのお湯を楽しみ、洗い場でタオルに包んだイブを抱いて、パチンと指を鳴らした。一瞬で着替えを終える。リリスも一緒に部屋着を羽織らせ、ヤンを振り返った。微動だにしないフェンリルに首を傾げ、声をかける。


「ヤン? 部屋に戻るぞ」


 しーんと返事のないヤンを回り込んで正面に立てば、彼は目を開いたまま気絶していた。どうやら硫黄の匂いが強烈だったらしい。


「イヴを連れて先に戻るから、ヤンを助けてあげて」


「悪いが頼む」


「やぁ!」


 まだ絶賛イヤイヤ期のイヴがのけ反って抗議するが、あっさり無視される。遠ざかる気配を見送り、ヤンの周囲に結界を張った。匂いと温度を遮断し、しばらく様子を見る。


「はっ! 我は、いったい!」


「もういいぞ。付き合わせてすまなかった、部屋で寝よう」


 優しく諭され、なんとなくヤンも状況を理解する。同情される状況だったのだろう。しょんぼり肩を落とし、役に立たなかったと反省するフェンリルに、魔王は問い詰めも慰めもしなかった。


 こういう時は下手な言葉が彼を傷つける。長年の付き合いで理解しているルシファーは、ただ優しくヤンの毛皮を撫で、浄化で整えてやった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 嗅覚が鋭い彼には拷問でしたね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ