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【完結】魔王様、今度も過保護すぎです!【同シリーズ4/10コミック発売!】  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
第18章 お祭りに事件は付きもの

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326.最大の盛り上がりに向けて

 魔王がすべての翼を広げるのは、即位記念祭と緊急事態だけ。過去の事例からそう理解する魔族にとって、12枚の翼を背負う美しい姿を見れるお披露目は、大事な儀式だった。魔王城に特設で延長されるテラスから、魔王一家が顔を見せる。


 最強であり孤高の魔王として君臨すること8万年以上。大公以外は過去の魔王を知らない。魔力の象徴である翼は黒かったが12枚という異例の多さで、ルシファーは最強を誇示してきた。変わったのは、人族とのハーフと思われた現在の魔王妃リリスを拾ってからだ。


 幼子を抱いて登場するようになり、その後は美しくなった彼女を娶って現れた。今回は初のお嬢様付きである。何としても一目見なくては、一族の祖先に申し訳が立たぬ。必死の形相で場所取りに励んだ。まあ、彼らのほとんどは、次回でも十分に見れる寿命の範囲内なのだが。


「お見えになったぞ」


「魔王様、万歳」


「可愛いですぞ、姫」


「リリス様、こっちぃ!」


 玉の輿に乗ったリリスは、魔の森の娘だ。それを差し引いても、魔族の若い女性にとって憧れの的だった。最強の魔王の隣に立ち、寵愛を一身に受ける。一夫多妻が珍しくない魔獣のメスには、羨ましいのだろう。リリスやイヴへの歓声も多かった。


 純白の長い髪に色とりどりの髪飾りを載せた魔王、腕を組んで仲睦まじい黒髪金瞳のリリス。二人の間には、まだ幼い一人娘のイヴがいる。母親譲りの黒髪と、父親そっくりの銀瞳を受け継いだ魔族の姫は、にこにこと手を振った。


 場所取り時の険悪な雰囲気を忘れたように、先頭の小柄なケットシーが場所を譲る。お礼を言って前に出たのは、大柄な魔熊だった。彼らも堪能した後、後ろで待つ魔狼のために後ろへ下がった。最初に見たいから喧嘩になるが、実際のところ、感動して目が潤んでしまえば交代だ。


 監視する魔王軍は民の落ち着いた対応を確認しながら、テラスを振り返った。指揮官である銀髪青瞳のベール、金髪に赤い血のような目の吸血鬼王アスタロトが顔を見せる。ピンク髪と瞳の豊満ボディを誇るベルゼビュートが手を振り、水色の髪をかき上げるルキフェルが小さな魔法を披露した。


 ふわふわと幻想の光が観衆の方へ飛んで行き、途中でぱちんと音をさせて花びらに変わった。降ってきた花びらを追いかける子どもが、わっと声を上げる。


 今年の大公は、全員が紺色の正装だった。ルシファーは安定の黒、リリスはふんわりしたクリーム色を選んだ。イヴだけが鮮やかなピンクを纏う。光によって色を変えるドレスは、魔族の間でこれから大流行するが、今はまだ珍しかった。


 今回の即位記念祭最後のお披露目を終え、これから恒例の魔王チャレンジが始まる。夜通し飲んで歌う騒ぎはまだ続くが、魔王チャレンジは祭りの華だった。


 過去には、日本人であるイザヤやアベルも参加し、魔王から褒美を賜った過去がある。弱肉強食、強い者が頂点に立つ魔王であると認識する魔族にとって、一生に一度は魔王への挑戦権を得たいと願う。全員と戦うのは盛り上がりにかけるため、予選のような形で選抜が行われた。


 今回選ばれたのは巨人族、魔狼であるフェンリル、炎の精霊と日本人の双子だった。予選は熾烈を極め、残るのは大変だったと聞く。それもこれも、最強の純白魔王に立ち向かう権利を手にする努力のひとつだ。実際のところ、魔王に挑むだけなら魔王チャレンジを利用する必要はなかった。


 魔王は常に民からの挑戦を受けて立つ。それはひ弱な人族の勇者と対面した頃も貫いた姿勢だった。だが即位記念祭では、己の技術や魔法を駆使して戦う姿が、他種族に披露される。ただ魔王位を狙う意味ではなく、己の実力を知らしめるイベントとして認識されていた。


「頑張ろう、スイ」


「ルイこそ、すぐにやられないでよ?」


 イザヤとアンナの子である双子は、挑戦権を得た魔王チャレンジを前に期待に胸を膨らませる。数時間後に後悔しないよう、気合いを入れ直した。

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