表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】魔王様、今度も過保護すぎです!【同シリーズ4/10コミック発売!】  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
第14章 それはオーパーツ?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

243/530

241.そなたしかいない、の絶大な効果

「あたくしだけ呼ばれなかったのですね」


 ぷんと頬を膨らませて怒るのは、ベルゼビュートだ。夫エリゴスや息子ジルと一緒に外回りをしている間に、戦艦のお披露目やら蟹パーティーが開かれ、さらにカキによる集団食中毒も起きた。忘れられたと気分を悪くするのも当然だった。彼女だって大公の一人なのだから。


「悪かった。ベルゼを呼ばなかったのではなく、安全を確保してから来て欲しかったのだ。今回の集団食中毒でオレや大公達が倒れたら、治療や城を任せられるのは、そなたしかいないからな」


 にっこりと笑顔で誑かす。作った原稿を後ろから吹き込んで喋らせるアスタロトも、にっこり笑って付け加えた。


「ええ、()()()()ベルゼビュート()()頼れませんね」


「め、珍しいこと言うのね、いいわ。許してあげる」


 動揺したベルゼビュートは「お前しか頼りにならない」と褒められご満悦だった。だが原稿を作ったアスタロトの意図は「ほかに誰もいなければ、お前しか選択肢がない」という意味で使った。真意を知らなければ、どちらも幸せになれるセリフだ。


「ベルゼ姉さん、一緒にお茶しましょう」


 後ろめたいのは、ルシファー達だけではない。リリスや大公女も「忘れていた」事実を誤魔化そうと、お茶会の誘いをかける。ちらりとエリゴスに視線をくれた後、ベルゼビュートは頷いた。


「分かったわ、行きましょう」


 ご機嫌でリリスと手を繋ぎ、ジルを夫に預けて去っていく。彼女の後ろ姿が見えなくなったところで、ルシファーはもう一度謝った。


「本当に悪かった。ちょっと忙しくて」


「いいえ、私は事情を理解しているので平気ですよ」


 人型のエリゴスは、息子ジルの灰色の髪を撫でた。むっとした顔で指を咥えているが、機嫌が悪いわけではない。その視線はじっとリリス達が向かった先へ固定されていた。


「母親が恋しいのか」


「たぶん……イヴ様を視線で追ったのかと」


 言いづらそうにしながらも、嘘が付けない男エリゴスはぼそぼそと事実を話した。何度か保育所で一緒になるうちに、イヴと仲良くなったジルは、また彼女と遊びたかったのだろう。しかしリリスに抱かれてイヴは去ってしまった。がっかりしたらしい。


 指を咥えていたのは、その抗議に近い。ルシファーは顔を近づけると、まだ2歳前後の男児に凄んだ。


「いいか。イヴを口説きたければ、オレを倒してからにしろ。全力で相手をしてやる」


「何を馬鹿なことを……私やベールでも勝てないではありませんか」


 呆れ顔でぽかりと魔王の頭を叩くアスタロトへ、ルシファーは怖い形相で振り返った。


「お前、まさか19人目の妻にイヴを狙ってるのか? 絶対に許さんぞ!!」


「……話を聞いてましたか? 事実確認をしただけで、私がイヴ姫を妻にする話ではなかったでしょう」


 通常で考えても、19人目の妻という単語は異常だ。長寿で8万歳以上の年齢を考慮しても、なかなかに強烈な響きだった。


「蟹の魔法陣、売れているようです。ルキフェルが改良したそうで、果物の皮むきにも活用しています」


 睨む上司の意識を逸らすために、別の話題を取り上げる。まだ胡乱げな眼差しは健在だが、ルシファーは話に乗ってきた。


「改良したなら、他の生き物にも使えるんじゃないか? 魚の鱗取りとか」


 一般的な事例を挙げたルシファーに、ふわりと舞い降りたルキフェルが口を挟む。


「ねえ、ルシファー。これ、改良したら凄いんだよ」


 話題の魔法陣を持ち出し、栗の皮むきが出来たと喜ぶルキフェル。水色の髪を揺らして、興奮気味に成功事例を口にした。その中に、思わぬ生き物が紛れていた。


「ウミヘビ?」


「うん、皮を剥いて焼いたら美味しかったってさ。ぴりっと毒が効いててツマミに最適って……」


 青ざめたルシファーの顔色に、首を傾げたルキフェルは気づいて口を手で押さえた。だが零れてしまった言葉は取り消せない。ウミヘビを分離した。それは過去のトラウマを呼び起こしたらしい。二度とあの皮むき魔法陣は使わないと決めたとか。


「分離魔法と皮むき魔法ではかなり性質が違うんだけどね」


 残念そうにルキフェルは呟いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ