5話「悪者たちの最後」ざまぁ
――数時間後――
――王都、ある高級ホテルの一室――
「ハハハハハ!
今頃フィーネは黒焦げだ!」
「私がフィーネとして社交界にデビューするのね!」
「わしはフィーネになったニナの後見人として侯爵家に留まり、財産を好きに使うことが出来る!
公爵家の次男や三男を婿に迎えよう。
ニナが男爵令嬢だったときには、考えられなかった縁談だぞ!」
「婿にはイケメンを選んでよね!
ふふふふ、最高だわ!
フィーネ、死んでくれてありがとう!」
王都の中心にある高級ホテルの一室に叔父夫妻とニナがいるのを掴み、私はアレクさんと共に現場に向かった。
部屋の前まで来ると、彼らが高笑いする声が聞こえた。
「残念だけどそれは無理よ、叔父様!!」
私は扉を開け、部屋に入った。
「フィーネ! なぜここに!
それから後ろの男たちはいったい!?」
叔父たちは私の顔を見て、幽霊でも見たかのように青い顔をしていた。
屋根部屋に鍵をかけて火を放ったのに、私が生きていことが恐ろしかったのだろう。
私の背後には、数名の騎士がいる。
放火と横領と虐待の証拠を持って、アレクさんと共に騎士団に向かった。
そして、叔父の罪を告発したのだ。
騎士団は叔父達を捕らえる為に私に同行してくれたのだ。
「フィーネ! 生きていたの!?
というかそれ私のドレス!!」
ニナが金切り声をあげる。
普段着では騎士団に行けないので、離れに隠してあったニナのドレスを借りた。
元々私が継ぐべき財産を叔父が横領して買ったものなので、罪悪感はない。
「叔父様と叔母様とニナには、横領、放火、侯爵家の乗っ取り、虐待の容疑がかけられています!
証拠はしっかりあるので、観念して白状した方が身のためですよ!」
私は手の中にあるガラス玉を見せた。
「それは、部屋の隅で時々見かけたガラス玉……!」
叔父は見覚えがあるようだ。
私はガラス玉に魔力を込める。
『ワハハハ!
兄貴が死んでくれたお陰で、侯爵家の財産を好きなだけ使える!
フィーネなどに渡すものか!
この屋敷はわしのものだ!』
叔父が横領している証拠が映し出される。
「横領の書類も押さえました!」
叔父が屋敷と共に燃やそうとしていた書類を、執務室から回収したのだ。
「観念して大人しく捕まってください!」
叔父は真っ青な顔でその場に膝をついた。
叔母はそんな叔父の横で、体を震わせていた。
「そんなのデタラメよ!
私がフィーネよ!
あのこはいとこのニナ!
侯爵家の乗っ取りを測ったのはあの子よ!」
ニナだけは往生際悪く暴れていた。
「私が本物のフィーネであることは、かつて屋敷に仕えていた使用人が証言してくれるでしょう。
私の乳母は侯爵家を解雇されたあと、運良く王女殿下の侍女をしていたようですから」
乳母は私の痣やほくろの位置を把握している。
これ以上の証人はいない。
騎士団が三人に縄をかけ、連行した。
ニナだけは最後の最後まで暴れていた。
こうして、両親の事故死から始まった私の苦しい生活は幕を閉じた。
◇◇◇◇◇
乳母の証言もあり、私は本物のフィーネだと認められた。
一年後、十六歳の誕生日に全ての財産を相続した。
叔父は侯爵家の財産を使い込んだ罪で、男爵の地位を剥奪され、財産も全て没収された。
それでも叔父が横領した額には及ばないので、叔父夫妻は鉱山に送られた。
ニナは未成年という理由で鉱山送りは免れたが、国で一番厳しい牢屋に死ぬまで入れられることになった。
私は叔父が雇った使用人を全員解雇し(叔父やニナと一緒に私を虐めていたから当然)、かつてお父様に仕えていた使用人を新たに雇用した。
こうして、侯爵家はあるべき姿へと戻ったのだ。
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