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迅雷のイシュバーン ~転生した悪役貴族は覇道を目指す (悠々自適にスロ―ライフを送りたいだけなのだが!)~  作者: ねこまじん
4部 たゆたう波音 11章 幽霊船

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20話

女を追って扉の中に入った先にそれはあった。


――濡れた肉の塊

俺はおそらくそれが一体何であるかを知っていた。きっとかつてヒトであったのだろうそれは、不気味に波打っていた。


「―ふふ、ようこそ。」

嗤う、女。


「・・・こいつは、まだ生きているのか?」


「―ええ。といっても、貴方の思う「生きている」とは少し違うけれど。」

にっこりと微笑む。


「・・・お前は、誰なんだ?」


「私は、ラスティア。あの子、サフィラのお姉ちゃん。」


―ラスティア

それは俺の想像していた通りの答えだった。


「・・・ラズリーは無事なのか?」


「この子のこと?無事も、何も、この子は私よ?」

そう言うと、女はそっと優しく、肉の塊に触れる。


―この子は、私??どういうことだ??


「・・・ラズリーを返せ。」


「おかしな事を言うのね。返せも何も、この子は私よ?」

自分の胸に手を当てて、それから妖艶に笑う。


「—お前が。お前が!ラズリーの身体を乗っ取ったのだろう!?」

先ほどからラズリーの様子がおかしかったのはきっとそのせいだ。


「乗っ取ったとは少し違うわね?この子は私、私はこの子よ?」

困ったような顔をしてそんなことを言う女。




「そんなわけないだろう!ラズリーはこの船に来てずっと様子がおかしかったんだ!」


「そんなこと知らないわ?」

まるで何でもないというように言う女。


―訳が分からない

もちろん、目の前の女が嘘をついているとかそういうこと以前に、女の話は支離滅裂すぎる。

・・・しかし、仮に奴の言うことが真実であるとすれば、それは一体、どういうことだろうか?


「・・・鈍いのね。何度も言うけれど、この子は、私。こういうの、魂の転生体とでも言うのかしら?」


―は? 今、こいつは何と言った?

つまり、ラズリーはラスティアで、ラスティアはラズリー???


呆然とする俺に、奴は続ける。


「―きっと、この子自身も困惑していたのでしょうね?どことも知らないこんな船の中の記憶が自分にあるなんて。」

そんなことを言う。


「さっきまでのこの子は、間違いなくこの子よ?ただ、ほんの少しおかしくなっただけ。」


「―なら、今のお前は何なんだ!?」


「私??言ったじゃない。私はラスティア。確かに、この子は私の転生体だったかもしれないけれど、今のこの子は私。」


―頭が痛くなってきた

つまり、ラズリーはラスティアの転生体だが、それはあくまで別人格であって、このラスティアがオリジナルのラスティアだということだろうか。


「・・・・・・」

俺が何も言えないでいると、


「―理解して頂けたかしら?」

そう言うと、にっこり微笑む。


「・・・皆をどこにやった?」

むろん、レティやハーヴェル、それにガーランドのことである。


「ああ、あの人たち?邪魔だったから、あっちの船に送り届けてあげたわ。」


―つまり、今ここにいる、生きている人間は、俺と、そして目の前にいる女だけ??



いや、待て。それはおかしい。

そうであれば、今頃向こうの船から何か助けか、あるいは何か連絡があっても良いはずだ。



「―向こうの船からこちらに来るのは、今は無理ね?」

俺の考えが伝わったのか、そんなことを言う女。


「・・・どういうことだ?」


「言ったまんまよ?今、この船は、世界から隔離されているから。」

そう言うと、女は自身のツインテールをゆっくりとほどき、穏やかに微笑む。



―その割に、そんな所で・・・

と口に出そうとして、彼女の目を見てやめた。



「口に出さなかったことは褒めてあげるわ。」

女はつまらなそうに言う。



「お前の目的は、何だ?」

仮に、今まで言ったその言葉が真実であるとして。こいつの目的は何だ?



「——そうね、貴方とここで暮らすこと、かな。」

にっこりと微笑みながら、そんなことを言った。

もし面白い・続きが気になると思って頂ければ

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