14話
食堂に戻ると、幸い、レティとラズリーは二人とも揃っていた。
しかし、どうやらラズリーは机に突っ伏したままであるようだ。
「イシュバーン!おそいよ!!・・・ハーヴェルは?」
「・・・ガーランドと同じくどこかに消えたようだ。」
「・・・何があったの?」
「分からん。少し目を離した隙に消えた。それに、この船も動き出してしまったようだ。」
「——うそ・・・。」
レティは唖然とした表情を浮かべる。
「外には奇妙な黒いモノが蠢いている。今は害はないようだが・・・。」
「ボク、どうしたらいい・・・?」
「正直、俺もどうすりゃいいかなんてのは分からん。ただし、手がかりは見つけた。」
―サフィラを見つけることができれば何か手がかりを掴めるかもしれない
「どういうこと・・・?」
「ああ。ここはどうやら、ロデリア聖王国の最後となった船に他ならないらしい。」
「・・・やっぱり。何かの曰くが付いていなきゃこんなことにはならないよね。それで?」
「ああ。今俺たちに起きている現象の首謀者は分からないが、それを知る可能性を知る者を見つけた。」
「それは誰なのさ!?」
思わず席を立つレティ。
「落ち着け、レティ。ロデリア聖王国の最後の皇帝、サフィラだ。」
「――まさか、生きていたの?」
「俺にも分からん。しかし、船が動き出すと同時に姿を現したことを考えると、もしかするとこの船に囚われているのかもしれん。」
「もう何が何だか・・・。」
そう言うと、すとん、と席に座るレティ。
「もう一度外に出て、サフィラを探して来ようと思う。というか、そうするより他ない状況だ。」
「・・・ボクも行こうか?」
「いや。すまないが、レティはラズリーを見ていてはくれないか?」
「分かった。」
頷き、レティはその表情を引き締める。
「俺はサフィラを探してくる。ラズリーを頼んだ。」
「任せて!」
少し顔を強張らせて笑うレティ。無理をしているようだが、それでも前向きでいてくれることはありがたかった。
―さて、どうする?
俺は食堂から出るが、正直どこを探せばよいかなんて分かったものではない。
「・・・とりあえず、甲板に出るか。」
正直、この船が今どのくらいの位置にあるのかを知りたかった。
甲板に出ると、この幽霊船を追うように複数の船が追いかけてきているのが分かった。
おそらく、俺たちが元々乗っていた船と、ガーランドの海賊船団だろう。
―ソフィアを残してきて正解だったな
ソフィアなら、機転を利かせて、この船を追いかけるように船員に掛け合うことくらいはするだろう。
「サフィラ!!いるんだろ!!!」
俺は甲板の上で叫ぶ!
―だが、返事はない
すると、甲板の上の一部がヴォンっと光り出す。
「―何だありゃ・・・?」
だが、俺にはそれに見覚えがあった。
「おいおい、まさか―。」
―多重魔法陣
これはラズリーが得意としていた固有魔法である。そして、魔法陣が描くものは、あのダンジョンで見たものとよく似ている。
―すなわち
「・・・召喚魔法かよ!」
俺は慌てて魔法陣から距離をとる!
魔法陣が光を放ち、そこから出て来たのは、複数の黒い騎士。その騎士の模様には、聖杯と蛇の紋様。
―近衛騎士
実際に、ロゼリオ聖王国の近衛騎士をこれまで見たことはなかったが、何故か直観で分かった。そしてそれらが―
「――ッ!!」
突進してきた一体の剣戟を躱す!
こちらに明確な敵意を向けていることも!
「―舐めるなよ!!?」
俺はすかさず、手を広げ、雷撃を放つ!!
バチンッ!!!
魔力変換を用いた俺の高圧の電撃は、黒い騎士に直撃する!
確かに直撃し、甚大な被害を与えたことは確かである。事実、騎士の上半身は吹き飛んでいる。しかし、中身は空っぽ。
「・・・まじかよ。」




