5話
「―これでよしっと。」
俺は段ボールに入れることのできそうな品物は梱包し終え、ほぼ全て段ボールの中に入れる。こう見るとそれなりの量を梱包したようだ。
「夕日さん、できたぞ?」
俺は店番をしている夕日に声をかける。
「あ!もうできたの?お疲れ様~」
夕日が店の表から声をかけてくる。
「これでよいかチェックをしてくれないか?」
「今行くわ!」
そう言うと、店の表から夕日がバックヤードまで来て
「ちゃんと品物はこれですべて包んでくれたのよね?」
例のプチプチを持って夕日が作業について確認する。
「ああ。全て包んだ。段ボールの中にも新聞紙を敷き詰めておいたぞ?」
「――上出来ね。お疲れ様。」
「今日の作業は、後は搬出作業だけか?」
残作業がないか俺は夕日に確認をする。
「うーん、そうねえ、明君、まだ時間ある?」
夕日は少し考えてからそんなことを言う。
「ああ。今日は特に予定はないからな。」
「運搬の作業も手伝ってくれるかしら?もちろん、その分のお給料もはずむわ。」
「分かった。問題ない。」
俺は夕日に了承の意向を伝える。
「夕方に遠山さん、さっきの覚君のお父様ね、が軽トラを出してくれるから、それに載せようと思うの。明君には軽トラへの積込と荷卸しの作業も手伝ってもらおうかしら。」
夕日は次の具体的な作業内容を説明する。
「了解だ。向こうで荷解きもするのか?」
「荷解きはまた後日するから大丈夫よ?」
「そういえば、どうやってその店までみんなで行くんだ?軽トラは二人乗りだろう?」
―荷台にでも乗るつもりだろうか?
「まさか。私たちは歩いて行くつもりよ。ここからそれほど遠い距離ではないの。遠山さんには店前でしばらく待ってもらうことになるかもしれないけどね。」
「分かった。それでは歩いて行くとしよう。」
そんな話をしていると、
カランカラーン
店の扉に設置された鐘が涼しげな音を立てる。誰か来たようだ。
「―お客さんね。それじゃ、明君は適当にこの辺りで休憩していてくれる?」
そう言うと、夕日は店の方へ向かう。
俺は手持ち無沙汰になったので、魔眼を発動させてみる。もしかすると、商品の中に魔力を帯びたものが存在するかもしれないと考えたからだ。
だが、バックヤードにあるものを見たところ、魔力を帯びたものはなかった。やはり魔力は異世界特有の事象なのだろう。
バックヤードにある丸い折り畳みの椅子を広げ、それに腰かける。ちょうど店の前にもあったアンティーク雑誌の古いものがバックヤードに何冊かあったので、それを手に取る。
一言にアンティークといっても、百年以上前の物品は全てアンティークに分類されるので、その年代は様々だ。明治時代のような近代のものから、紀元前のものも全てアンティークに分類されるのである。
――まさに人の歴史の現れと言えるのだろうな
アンティークの中には王朝に献上する目的で作られたものもあっただろうが、おそらく市場に流通するものは、そのほとんどが日常生活のために作成されたものだろう。すなわち、これらの物品はそのほとんど全てが、いずれかの年代の人に実際に使われ、受け継がれてきたものなのである。
もっとも、ごく稀に、どのような経緯でそうなったのかは分からないが、王朝用に献上されるような品物がどこかのアンティークショップで眠っていて、それがオークションなどでとんでもない値段をつけることがあるということを俺は知っていた。
そうしてしばらく雑誌に目を通していると
「お待たせ。それじゃ、荷物の積込をしよっか。」
いつの間にか、夕日がバックヤードの入り口に立っていて、俺に声をかけている。
「ああ。軽トラの準備が出来たんだな。」
俺は雑誌を閉じ、元の場所に戻す。
「―その本、面白いでしょう?」
夕日がこちらに訊ねてくる。
「ああ。実に興味深い。一口にアンティークといっても、様々なものがあるのがよく分かる。」
そう言って俺は丸椅子から立ち上がった。




