第3680話 アリスは頑張っています。(おや?雑談から融資の話になっています。)
エルヴィス侯爵邸のアリスの為の仮分娩室。
「ぅぅぅぅうううう!!!ああああ!!」
アリスが天井からの力む為に掴む綱を自身の体が浮きそうなほど思いきり引っ張り力んでいる。
「アリス!頑張れ!出て来てるよ!」
「順調です!アリス!」
「もう少しー!」
「もうちょっと!もうちょっと!」
「順調よ!」
コノハ、パナ、ウカ、ダキニ、テトがアリスのスカートに潜り込みながら言ってくる。
「アリス、息を止めないで。
そう、息を吸って、力みながらも吸って、吐いて~。
子供は順調だよ、もうすぐ出会えるよ。」
パラスがアリスに言う。
アリスと精霊達が頑張っている横で。
「・・・」
ジーナが天井から吊らされている綱の縛ってある大元を見上げている。
「ふむ、大丈夫だな。」
チビニオがジーナの肩に立ち、見上げながら言う。
「・・・物凄くギシギシいっているのですけど・・・」
「大丈夫だ。」
「・・・梁に縛っているのですが・・・音がするという事はしなっているのでしょうか・・・」
「多少はだな。
大丈夫だ。」
「だと良いのですが・・・落ちた際にすぐに対処しないといけないですから。」
「大丈夫。
少なくともアリスの出産が終わるまではな。」
「・・・わかりました。」
ジーナが頷く。
「ふむ、ジェシーの時は遠慮していたが、アリスの股座にああも頭を突っ込んで見ているのか。」
チビニオが言う。
「そのようですね。
エリカ様やスズネ殿は何とも言えない顔をさせておりますね。」
「そうだな。
特にエリカは12月には同じことをする身だ。
自分事として見ているのだろう。」
「それだけではないようではありますが、エリカ様の覚悟が深まれば何よりです。」
「次は12月だな。」
「はい、準備万端で迎えます。」
ジーナが頷くのだった。
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エルヴィス侯爵邸の客間。
武雄とエルヴィス爺さん、テイラー、ヴィクターとフレデリックがその時を待っていた。
「「「「・・・」」」」
「・・・何も連絡がないという事は問題は収束したという事だろうの。」
エルヴィス爺さんが言う。
「そのようで。」
フレデリックが言う。
「・・・はぁ、出産とは長く感じるな。
こればかりは慣れるものではないの。」
エルヴィス爺さんが言う。
「そうですね・・・こうも落ち着かないとは・・・」
武雄が言う。
「そういう物じゃよ。
テイラーは、そろそろ挙式かの?」
「・・・いえ、まだまだかと。」
「そうか・・・まぁ、自分達で決めれば良いじゃろうの。
テイラーもその時になったらタケオ達が手伝ってくれるだろう。
の?タケオ。」
「ええ、その際は手伝いに行きます。
とはいえ、その際はステノ技研の面々も大変でしょうが。」
「ふむ、その頃はステノ技研の工房ももっと大きくなっているだろうの。」
エルヴィス爺さんが武雄に言う。
「そうですね。
すでに手狭かもしれませんね。
テイラーさん、どう思います?」
武雄がテイラーに聞く。
「う、うーん・・・実際に職人も増えているのは確かで、当初よりも出入りが多くなっています。
懐中時計の月の生産数を増やすには、費用も必要ですが、職人も必要です。
工房で住み込み、もしくは借り上げで部屋を用意出来れば、さらに多くの職人が雇えるのではとは思います。」
テイラーが言う。
「ふむ・・・ベルテ一家の所の独身寮のようなものじゃの。
1棟丸ごとステノ技研の持ち物にすれば可能ではあるが・・・一工房でとなると・・・」
「物件については何とかなるでしょう、少々遠くても割安で部屋を用意すれば人は集まるでしょう。
ですが、まとまった資金が用意出来ねば実現性はないかと。」
エルヴィス爺さんとフレデリックが言う。
「逆に言えば、資金さえ用意出来れば物件はどうにかなると?」
武雄がフレデリックに聞く。
「ステノ技研は裏通りです。
表通りの物件と比べるとどうしても賃料は下がります。
ある意味で今が買い時ではないでしょうか。」
フレデリックが言う。
「ふむ、言いたくはないが、どうしても街道に沿っている表通りである街南が発展しているし、人通りも多い。
その分、賃料は高くなる。
こればかりはのぉ。
まぁ、タケオの所の試験小隊やステノ技研のおかげか、最近は裏通りの街北の人通りも増えてきたという報告が来るほどにはなってきているがの。
賃料はこれから上がるかもしれぬの。」
エルヴィス爺さんが言う。
「・・・融資案件ですね。
ステノ技研は技術者集団です。
人材も設備の一部でしょう、なので設備投資として融資が可能と考えます。
ま、懐中時計の生産量が2倍か3倍になると考えられれば、返済の目途も立つかと。」
武雄が言う。
「ふむ・・・今年分は決まっておるからの。
するとしたら来年じゃの。」
「それで良いかと。
フレデリックさん、可能でしょうか?」
「可能ですが、ステノ技研の考えを伺ってからになるでしょう。
私達としては懐中時計の生産量が増えるという事は、関係工房への仕事量も増えますからね。
・・・私の方から言っても良いですが、タケオ様からお話した方が良いかもしれませんね。」
「わかりました。」
武雄が頷くのだった。
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