第3643話 魔王国でさっそく会議が開かれています。(魔王国の幹部はやはり優秀です。)
魔王国 王城の会議室。
「・・・」
ヴァレーリがぶすっと不機嫌になっていた。
「行かせないと言ったでしょう?
不機嫌になられても困ります。」
アンナローロがヴァレーリに言う。
「帰って来て、すぐに会議室に連れて行かれ、各軍幹部に囲まれて皆で『行かせません』と言われると不機嫌にもなるんだよ。」
ヴァレーリが不機嫌に言う。
「無理な事を考えるからです。
それにキタミザト殿に迷惑をかけるでしょうからね。
魔王国だけでなく、他国のそれもキタミザト殿に迷惑はかけられません。」
アンナローロが言うと会議室の皆が頷く。
「・・・」
ヴァレーリが不機嫌な顔を崩さない。
「はぁ・・・では、会議を続けます。
えーっと・・・次の項目に行きます。
今回エルヴィス殿、キタミザト殿との打ち合わせで、アズパール王国での駐在拠点候補を頂きました。
急ぎ、写させて各軍指揮官殿の前にお配りしてあります。
潜入関係なので第4軍管轄になります。
第4軍からの指定で決まりはしますが、各軍の意見も聞きたいと考え、配布しています。」
「・・・キタミザト殿が側室を娶ったのだがな。
その側室が今回の駐在拠点の地を治める公爵家の相談役だそうで、話が通じている。
で、お勧めとしては2番目という事だ。」
ヴァレーリが言うと各軍指揮官が資料を捲り、内容を見る。
「・・・陛下、これは・・・商売としては良い所を押さえてくれているようですね。」
第2軍指揮官が言う。
「あぁ、良いと思えるが・・・まぁ、なんだ、エルヴィス侯爵領とその公爵領の街道沿いにある町で、キタミザト殿が作っているウスターソースやウォルトウィスキーも取り扱うから、その拠点が店として、色々とやりやすいのだろう。
だが・・・」
「はい、人通りが多いでしょうね。
これでは拠点として魔王国の者の出入りが容易にわかってしまいますね。」
第2軍指揮官が言う。
「監視は付く、これは確実だろう。
だが、人通りが多いという事は向こうも多くを配置出来るという事だ。
そこをどう考えるか・・・だな。」
ヴァレーリが言う。
「他の候補も良し悪しがあります。
一度、持ち帰って、内容を吟味ください。
向こうより良し悪しも書いてありますので、ご参考にどうぞ。
意見は次の会議でお聞きします。」
アンナローロが言うと皆が頷く。
「次はキタミザト殿より輸出が可能かの依頼品が来ています。」
アンナローロが言うと皆が対象のページを開く。
「4種類のナッツと干しブドウなのですが・・・これは第2軍管轄で良いでしょうかね?」
「了解しました。
各地方領の視察等の仕事に行った際に確認します。
ですが・・・ナッツが1500Kℊで干しブドウが200Kℊと書いてありますが?」
第2軍指揮官が聞く。
「はい、キタミザト殿から直接言われた数字です。
キタミザト殿への報告までに依頼された近い量の生産量を確保出来るのか・・・が懸念事項です。
今回の依頼での最低達成条件は産地の報告がちゃんと出来る事ですので、今は不可能な輸出量でも探し出す必要があります。
交渉を開始してください。」
「了解しました。」
第2指揮官が返事をする。
「それとこちらはアズパール王国の人事局よりキタミザト殿経由での依頼ですが、向こうの貴族等の特権階級向けの学び舎で、周辺国の地理と歴史を教えるとの事で、現状のアズパール王国での教育資料の確認依頼が来ています。
これは第3軍にお願いしようかと思います。」
「了解しました。
ですが・・・これはキタミザト殿の言葉でしょうか?
『アズパール王国としての公式見解を決めて資料を作りますので、文言はどれだけ訂正されても、その通りに教えるかは保証しかねる』とありますが?」
第3軍指揮官が聞いてくる。
「はい、キタミザト殿の言葉です。
アズパール王国の教育資料なので、訂正依頼をしても直す直さないはアズパール王国の勝手です。
ですが、アズパール王国の人事局にこちらの歴史を正確に通達できる機会でもあります。
アズパール王国は教育資料ですが、私達からすればアズパール王国の大人達への伝達になるであろうと考え、依頼を受けました。
また、アズパール王国の今の認識を知る良い機会とも捉えています。」
アンナローロが言う。
「わかりました。
アズパール王国からの資料の確認をすると共に比較資料も作り、各軍に報告を回します。」
第3軍指揮官が言う。
「ええ、お願いします。
現状のアズパール王国がどう思っているのかは意外と重要な事だと思います。
デムーロ国のように正しい認識をしていない場合、将来に不安が残る可能性があります。
そこの是正機会があるのは良い事でしょう。
また、ブリアーニ王国へも同様の依頼が行っていますので、キタミザト殿に回答する前にブリアーニ王国と連絡を取り合って、内容の確認を実施してください。」
アンナローロが言うのだった。
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