第3636話 ニルデとジルダと話をしましょう。(養母はエルフなのを今教えてあげましょう。)
「ふむ、この子達がスラム街で・・・か。」
ヴァレーリがニルデとジルダを近くで見ながら言う。
「うん?何ですか?」
「どうしたの?」
ニルデとジルダが聞く。
「いや・・・2人共、魔法が使えると聞いたが、本当か?」
「はい、基本的な物を習っています。」
「私、氷得意なんだー。」
2人が言う。
「ほぉ、素晴らしいな。
だが、幼い内は威力や魔力を大きく使う物は控えて、初級を多く使っていくと大人になった際に楽になる傾向がある。」
「本当ですか?」
「本当!?」
2人が聞き返す。
「うん、要は慣れという事なんだろうが、初級の物を日常生活中でも使っていると、魔力の消費が若干、低くなるという事らしい。
最初は魔力を10使ってファイアを発動させていたが、長年使っていて、同じファイアでも8で発動するようになったとする。
そうすると実際に10でファイアをしてみると、最初の頃には12もしくは14くらいのファイアが10で出来るようになる。
つまりは、威力が上がるか撃てる回数が増えるという事だな。
これは小まめに何回も何回もしていく事でなっていくようだ。
だから、威力や魔力を大きく使う物をしていても同じような効果は薄いという事だ。
だから、幼い内は初級の魔法を多く使っていく事が望ましいんだ。」
「「へぇ。」」
ヴァレーリの言葉にニルデとジルダが感心する。
「まぁ、皆が皆という訳ではないですけどもね。
そういう傾向がみられるというだけです。」
アンナローロが言う。
「でも、やってみる価値はあるだろう。
そうだな・・毎日、畑の水やりをアクアでやるとかしていると良いかもしれないな。
すぐに結果は出ないが、毎日頑張れば数年後に結果が出ているかもしれない。
こういうのは忘れた頃に確認出来る物だ。」
ヴァレーリが言う。
「「わかりました。」」
ニルデとジルダが頷く。
「あ、そうだ。
ボーナお母さん、ニルデとジルダの勉強の進捗はどうですか?」
武雄がボーナに聞く。
「うーん・・・頑張ってはくれていると思うのですが・・・読みの方は割と出来てはいますが・・・」
ボーナが考えながら言う。
「キタミザト様、文字って難しいんです。」
「わかんないのー。」
ニルデとジルダが武雄に言ってくる。
「ふむ・・・その気持ちはわかります。
実は8月にウィリプ連合国に出張が予定されています。
少し足を延ばして、ニルデとジルダの育ての親であるアナベルさんに会おうかと思っています。
2人は連れてけませんが、手紙が書けたら持って行ってあげたいのですけど・・・」
武雄がちらりと見るとニルデとジルダの顔が煌めいている。
「ボーナ!文字覚えます!」
「手紙書けるようになる!」
ニルデとジルダがやる気を出す。
「あらあら、毎度の事ながらキタミザト様は、やる気にさせるのがお上手ですからねぇ。
ニルデとジルダもキタミザト様の言う事はしっかりと聞きますが。
ニルデ、ジルダ、その意気は大事ですが、少しずつやっていきましょう。
今はお客様が居ますから、その話は後程という事で。」
「「はーい。」」
ニルデとジルダが返事をする。
「キタミザト殿、この2人はスラム街で引き取ってきたと言ったが、さっきの人名みたいなのが養父と言う事なのか?」
ヴァレーリが聞いてくる。
「養母という事でしょうか。
スラム街の一角を形成している方でしたよ。
・・・聞きます?」
武雄がヴァレーリとブリアーニに言う。
「・・・あまりここでは聞かない方が良いかもしれないが・・・この子達はその養母を見て育ったんだ、
聞いたとしても問題はないだろう。
で?」
ヴァレーリが聞く。
「アナベルさんはウィリプ連合国 ドローレス国 領主邸がある街のカファロという裏稼業兼闘技場経営をしている者の勢力圏にあるスラム街の重鎮です。
種族はエルフ。」
その言葉でブリアーニの目つきが鋭くなる。
「おい、カールラ、他人の家でそんな顔をするなよ。
居心地が悪い。」
ヴァレーリが言うが目が笑っていない。
「すみません。
失礼しました。
キタミザト殿、続きを。」
ブリアーニが軽く頭を下げて言う。
「・・・奴隷の首輪をした状態で居ましたが、スラム街に居る理由は『主殺し』。
はぁ・・・頭の上から皮膚が溶ける薬をかけられ反撃し、落ち延びました。」
武雄の言葉でヴァレーリとブリアーニの雰囲気が最悪になる。
「ダニエラ様、カールラ様。」
「んんっ!失礼した。」
「重ねて申し訳ありません。」
ヴィクターの言葉で2人が謝る。
「お会いした際には顔の半分を包帯で隠し、片耳を無くしておりました。
そこで『ここで賄える人数は限られている、なのに捨て子は増えて行くばかりなので、何人か引き取って欲しい』と言われニルデとジルダを引き取りました。
そして養母と同じ種族のベルテ一家と生活して貰っています。」
武雄が言う。
「婆ちゃん、元気かな?」
「ニルデ、手紙書こうね。」
「うん!大きな農家になれば、婆ちゃん手伝いに来てくれるって言ってたしね!」
ニルデとジルダの言葉をブリアーニが悲しそうな顔をさせてみるのだった。
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