第3628話 宣戦布告文が魔王国に正式に行く前に阻止しましょう。(次期陛下との話をしていかないといけないですね。)
「・・・ふむ、確かに我が国の立場は微妙ではあるが・・・
キタミザト殿の想定はあくまで、ウィリプ連合国と魔王国とが直接やりあった場合だ。
つまりは、その要求を飲まなければ、ウィリプ連合国と我が国の衝突となるだけで、ウィリプ連合国の宣戦布告は魔王国に届く術がないという事になる。」
エルヴィス爺さんが言う。
「はい、そこが救いです。
ですが、何事も抜けはあるものですから、正式な物が魔王国に着く事を阻止するように我が国は動かざるを得ません。
そうすれば、魔王国は噂話でしかない事なので事を起こせません。
ウィリプ連合国の狙いは魔王国ではないが、謳い文句としては上手です。
人間種の為に立ち上がるのですからね。」
武雄が言う。
「・・・ふむ、確かにな。」
ヴァレーリが頷く。
「相変わらずふざけた国家ね。」
ブリアーニが呆れながら言う。
「ま、その国に我らもやられているからな。
我々は国民をアズパール王国は国土をな。
で、我らはどう動くか・・・だな。」
ヴァレーリが腕を組んで考える。
「『よし!その喧嘩受けてやる!』じゃないの?」
ブリアーニがヴァレーリに聞く。
ブリアーニの言葉に武雄達は表情には出さないが緊張する。
「まぁ、デムーロ国との開戦がその感じで行ったな。」
「今回は違うの?」
「あの時は実害があって、証拠もあったからな。
今回は・・・まぁ、キタミザト殿の言う通りなら、現時点では噂の範囲でしかない。
それで戦争を始めるなんてありえんだろう。
噂を根拠に戦争なんてしたら後世の者達に笑われるだろうし、今のところ我が国に害がある訳ではない。
正式に文章化された宣戦布告文がなければ対処は難しいだろうな。」
ヴァレーリが言う。
「で、アズパール王国は魔王国の参戦は本格的には遠慮したいという事だよね?」
ブリアーニが武雄を見る。
「何とか義勇軍で対処して頂きたいと。
私達が主導で動けるのなら、多少国土に被害が出ても私達がした事ですので、皆で歯を食いしばって復興は出来るでしょうが、他国同士が我が国で戦うと無遠慮に国土を荒らすでしょうし、預かり知らない所で何をされるのやら・・復興させる意欲が低くなると想定できます。」
武雄が言う。
「まぁ、気持ちはわかるな。
だが・・・ウィリプ連合国の狙いはアズパール王国の領土だろう?
ウィリプ連合国はアズパール王国が、その宣言を断ると確信しているのか?」
ヴァレーリが首を傾げる。
「少なくとも今の陛下は奴隷国家と手を取り合う気はないですね。
次代以降はわかりませんが。
安い穀物が手に入るという誘惑に勝てるかどうかだと思います。」
武雄が言う。
「ふむ、安く穀物が手に入れば、その分の予算を他の政策に使えるな。
魅力的ではあるが、ずっと買い続けるというのは危険な事だと思うが。」
エルヴィス爺さんが言う。
「そこに危機感があるのは当然ですが、逆にずっと買い続けても他の産業が伸びるとわかればする価値はあると思います。
まぁ、国内の農産業に多大な影響が出るでしょうが、それを賄えて余りある金額が稼げるのなら絶対にないとは言えないと思います。」
武雄が言う。
「ふむ・・・だが、農業を他国、他領でするにしてそれを賄える産業とはあるのだろうか・・・」
ヴァレーリが考えながら言う。
「この領はブドウの生産、この領はワインの生産と言った分業を地域ごとにするという事でしょう。
穀物以外の酪農や工房に力を入れて、その製品を穀物を輸入している所に売りに行くというのが普通ですね。」
武雄が言う。
「問題はウィリプ連合国は全産業で奴隷を採用しているだろうからな。
他の産業でも安く商品を輸出していくんだろう。
その時にアズパール王国はウィリプ連合国に何を売るか、何が売れるかだな。」
ヴァレーリが言う。
「・・・人件費が安いとすぐに模倣品が出来そうですが、その時はその時で考えるしかないでしょうね。
今は次代の陛下がウィリプ連合国と手を取り合わないようにしていかないといけないですね。」
武雄が言う。
「そうなって貰いたいものだ。
だが、もしもの時はエルヴィス侯爵領はどうなるかも気になるな。」
「うーん・・・たぶん大丈夫じゃないですかね?」
武雄が考えながら言う。
「うむ、確かに。
ウィリプ連合国との物理的な距離がありますからね。
輸送料等々でこの地に物が着く頃には価格もこの地で作る程度には上がってるでしょうね。」
エルヴィス爺さんが言う。
「ふむ・・・少なくともエルヴィス侯爵領はウィリプ連合国の影響は最小で済みそうだな。」
「となると、価格面では私達が頑張れば、ウィリプ連合国製品や穀物に対抗出来るかもしれないんだね。」
ヴァレーリとブリアーニが言う。
「ま、そうならないように陛下や王都の文官達と話をしないといけないですね。」
武雄が言うのだった。
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