第3617話 イーリーの雑貨屋で指輪探しをしよう。(武雄は部下達とお菓子談義です。)
イーリーの雑貨屋前。
セレーネが姿勢正しく立っていた。
「あれ?セレーネちゃんが店前にいます。」
アリスがセレーネを見つけて言う。
「・・・売り子というわけでもないでしょうけど・・・私達を待っていましたか?」
武雄が言う。
「キタミザト様、アリス様、エリカ様、お待ちしておりました。
陳列も終わりましたので、中に先導いたします。」
セレーネが軽く礼をする。
「はい、じゃあ、中に入りましょう。」
セレーネを先頭に武雄達が店内に入るのだった。
・・
・
「これも良いですね。」
「ですね、こっちもエリカさんに似合いそうです。
あ、でもそっちの方が良いのかなぁ。
良い意匠のが多くて困りますね。」
「結構、違いがありますね。
うーん、アリスさんのも良いですね。
これは良いのが揃ってしまっていますね。」
エリカとアリスが指輪を見ている。
「セレーネ、手伝いましたか?」
武雄はアリスとエリカと離れた所でお茶をしながら見守っている。
「指輪の並び替えを手伝いました。」
セレーネ達も武雄の近くで控えている。
「ご主人様は参加されないのですか?」
ジーナが聞いてくる。
「私は良いのですよ。
エリカが納得してくれれば良いのです。」
「そうですね。
・・今の様子だと3人で同じ物をしそうな雰囲気もあるような感じなのですけど。」
ジーナが言う。
「そうなったらそうなったでしょう。
アリスとエリカの考え方次第ですよ。」
武雄が言う。
「わかりました。
アリス様とエリカ様にお伝えします。」
ジーナがアリス達の下に行く。
「キタミザト様、よろしいのですか?」
セレーネが聞いてくる。
「どっちの事を聞いているかはわかりませんが、アリス達への助言は良い事ですよ。
セレーネも私達に良い事は提案や行動して良いですからね。」
「はい、わかりました。」
セレーネが頷く。
「そういえば、セレーネ達はここで輸入品の販売員を試しにしていますが、売れ行きはあまり良くないですか?」
「・・・はい、正直に言って、売れ行きが好調とは言えません。
キタミザト様がしている事業という事で物珍しさに見に来る方はいますが、内容がそこまで欲しい物ではないようで、店内を見てお帰りになります。」
セレーネが言う。
「まぁ、奇抜な物を扱っていませんからね。
他国産という名目以外では、この街でも売っているような物を置いていますし、まぁあとは意匠とかちょっと違う程度でしょうかね。」
「はい。」
セレーネが頷く。
「はい、残念ながら・・・キタミザト様、例えば、お菓子とか食べ物で珍しい物とか増やせば購入する方が増えると思うのですが。」
ルフィナが聞いてくる。
「ルフィナ、残念な事ですが、食に関してはエルヴィス家やこの街で出されている物が美味しいですよ。
それこそ、街中の料理は魔王国やブリアーニ王国の方々が食べたいと言ってくれるぐらいですし。」
「ですよね。」
ルフィナが残念そうに頷く。
「とはいえ、お菓子かぁ・・・プリン、ショートケーキ、レアチーズケーキ、シュークリーム、バターサンド、餡子や丸型焼き、揚げ煎餅等々は作ったけど、あれも材料の量の確保が難しいのは確かですよね。
なので、一般にはスイーツを教えていませんが・・・
素材として多くあって、味も普遍的もしくは奇抜的な物になる物かぁ。」
武雄が考える。
「何かありますか?」
ルフィナが聞いてくる。
「小麦系でビスケットはありますが・・・落雁は米粉だったかな?
小麦のお菓子はクッキーだけど、バターの供給量がなぁ。
あ、将来はゼラチンを使ったグミもあるけど、これはこれから生産が開始だし・・・
うーん、小麦はバターを使った物が基本なので、これからですね。」
武雄が言う。
「「そうですか・・・」」
セレーネとルフィナがガッカリする。
「酪農関係が上手く行けば、バターや牛乳の生産量があがりますから、街中でも多く取り扱えると思いますけどね。
今はビスケットが一番、街中に溢れているお菓子になりますね。」
武雄が言う。
「うーん・・・ビスケットは確かに甘さの違いはあるのですけど、そこまで美味しいかと言われると・・・」
「食べなれてしまっていますよね。
街中ではビスケットにジャムを塗って出す所もありますが・・・エルヴィス侯爵邸で出される数々のお菓子に比べると・・」
セレーネとルフィナが考えながら言う。
「ご主人様、戻りました。」
ジーナがアリス達の下から戻ってくる。
「はい、おかえり。」
「2人が悩んでいるようですが・・・何かあったのですか?」
「街中に美味しいお菓子がないなぁという話ですよ。
屋敷以外でも美味しい物が食べたいという話で。」
「・・・エルヴィス家とキタミザト家が異常なのですけど・・・王城ですらビスケットやマドレーヌ、あとご主人様が教えた料理類ばかりです。
帰ってみたら種類が増えていたので驚きました。
で、街中に何を教えるのですか?」
ジーナが若干目を煌めかしながら聞いてくるのだった。
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