第3609話 夕食後の味噌の総評。(使用人達も味噌汁は問題ないようです。)
エルヴィス侯爵邸の夕食後の客間。
武雄達が食後のティータイムをしながら、話をしていた。
「ふむ、アリスやエリカが言うように衝撃的な味ではなかったの。
じゃが、わしとしてはこれは売れると思うの。」
エルヴィス爺さんが言う。
「お爺さまは、そう考えるのですね?」
アリスが聞いてくる。
「うむ、具材により味噌汁自体の味が変わったように感じたの。
特に卵を使ったのはの。
もともと卵はスープに使うと塩、トマトといったスープの味が柔らかくなるように感じておっての。
今回の味噌汁もそうじゃった。
塩辛いだけでは好みは分かれてしまうからの。
同じ下地でも味が柔らかくなる方法があるというのがわかれば領民達にも教えられるじゃろう。
次にキャベツじゃの。
もともとはサラダにも使われておるし、少し苦みがある野菜じゃが、美味しかったの。
食感はキャベツを入れるタイミングで変わるのじゃろうが、わしは最初に少し、他の物を食べて最後に残りを食べてみたが、食感は変わったが味噌汁の味はそこまで変わらなかったの。
たぶん、キャベツの大きさの問題じゃろうが・・・まぁ、何とかなるじゃろう。
街中にあふれている食材で食べれる事を確認し、さらには養鶏場は現状の最大限を生産維持をしていくが、今後の事を考えると味噌汁のレシピ公表する際に今日の卵のやり方を載せておくと良いと思うの。」
エルヴィス爺さんが言う。
「次のレシピ公表ですね。
・・・ただ、チーズのように値上がりが心配ですね。」
アリスが言う。
「そうじゃの、少々の値上げなら良いのじゃが・・・レシピ公表は領内全域でするからの。
かといって規制もし辛いの。」
エルヴィス爺さんが言う。
「一般公表ではなく、組合に公表で少し抑えられないでしょうか。」
エリカが言う。
「うーん・・・養鶏は現状維持をしていますから、飼料関係で改善があれば増産に動けますよね。
味噌もこれから工房を選定して、ベルテ一家と一緒に作っていくので・・・
数年後なら組合へのレシピ公表に動けそうですかね?」
アリスが考えながら言う。
「ベルテ一家の方には、まずはキタミザト家、エルヴィス家への納入、その後に一般への販売をしていくと伝えています。
第2皇子一家領から大豆2000kgが来年来ます。
これの仕込みをして、来年の今時期から春まで発酵させ・・・まずはエルヴィス家と研究所の1階喫茶店で出しますか。
結構使うと思いますから、そこまで余るとは思いませんが、余剰分は・・・鈴音や協力工房が集まっている飲み屋に特別に卸して反応を見てみますか。」
武雄が言う。
「ふむ、まずはそのぐらいから始めようかの。
屋敷で出す時にレシピを取りまとめておいた方が良いし、喫茶店に出せば、文官達が中心とはいえ評価がわかるじゃろう。
そして、色々と動きが早い酒場で領民達の反応を見ると。
・・・うむ、まずはそこからじゃの。
タケオ、確か味噌と醤油はローの所じゃったの。」
「はい、ベルテ一家近くに引っ越して貰い、ベルテ一家の指導を受けながら専門工房として働いて貰おうかと考えています。
最低でもエルヴィス家に卸しますから、先行きに不安は少ないかと。」
「うむ、そうじゃの。
この味なら屋敷で出して構わない。
2000kgの大豆からどのくらい出来るかはわからぬが、この屋敷の従業員皆の分が週に何回ともなると、その2000kgもそこまで過剰な量とは思えぬからの。
ま、余れば余ったでタケオの方で使うのじゃろうから。
作る事は許可しようかの。」
「ありがとうございます。
ローさんと協議をしていきます。」
武雄が言うのだった。
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エルヴィス侯爵邸の執事とメイドの控室。
使用人達は自身の空いている時間で夕食が取れるようになっておりバイキング形式であった。
ちなみに侯爵達と同じメニューと言っても味噌汁はキャベツの具の1種類だけだった。
「これが新しいスープ・・味噌汁。」
ヤリスが自分で持ってきた夕食の味噌汁を見ながら言う。
「あ、ヤリス、今から食事という事は今日は遅番なのね。」
ルフィナが入ってくる。
「お疲れ様です。
ルフィナは上がりですか?」
「ええ、私は飲み物を取りに来ただけです。
味噌汁食べるの?」
ルフィナが水を片手にヤリスの横に座る。
「はい、皆さんが新しいスープの話をしていて。
私はこれからです。」
「うん、私も他の方々と話したわ。」
ルフィナが頷く。
「・・・とりあえず、いただきます。」
ルフィナがそう言って、最初に味噌汁を1口飲む。
「・・・・・・・・うん、甘いです。
しゃきしゃきです。」
ヤリスが言う。
「キタミザト様達はこれを毎日飲んでも飽きないようにすると言っていましたよ。」
ルフィナが言う。
「確かに味に刺激はありませんが、この味なら毎日飲んでも大丈夫そうです。
皆さんが、飲みやすいと言っていた意味がわかります。」
ヤリスはそういいながら夕食を取るのだった。
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