第3605話 実食。(味噌汁は飽きの来ないスープです。)
ベルテ一家の客間。
各々に座って試食を待って居た。
「なんだか良い匂いがするのですね~・・・」
「あまり嗅いだ事のない匂いですが、甘い感じですね。」
アリスとエリカが厨房を見ながら言う。
「アリス様、お腹パンパンだね!」
ジルダがアリスに言う。
「ええ、もうすぐですよ。
で、エリカさんも妊娠したのよ。」
「「「!?」」」
大人数名が動きを止める。
「エリカ様も子供が生まれるのですか!?」
ニルデが聞いてくる。
「はい、私は12月くらいの出産予定です。
・・・アリスさんみたいにお腹が大きくなるんですよね・・・」
エリカがアリスのお腹を見ながら言う。
「重たいですよ、エリカさん。」
アリスが笑いながら言う。
「アリスさんよりかはお腹は小さいでしょうが、それでも数kgの子がいるんですよね・・・
私はどうなるのやら。」
エリカが微妙な顔をさせて言う。
「大丈夫ですよ。
こうなります。」
アリスがお腹を触りながら言う。
「まぁ、そうなのですけど・・・想像が付きません。」
「私も最初そう思いましたけど、結局は大きくなっていきますので、もう悩まなくなりましたね。
むしろ産む事の方が心配になってきています。」
エリカの言葉にアリスが苦笑しながら言う。
「確かにジェシーさんの時に産む事は大変だと思わされましたね。」
エリカが頷く。
「まぁ、1人目は妊娠してから産まれるまで不安しかないですよ。
こればかりは周囲の人達が何を言っても解消はされませんよ。」
ボーナがお盆に料理を乗せてやってくる。
「そうなのですか?」
「ええ、そうです。
周りは寄り添ってくれますが、本人が不安でしかないので、ずっと悩んでいる感じですね。
もちろん、途中ではお腹を愛でたりするので楽しみでもあるのですけどね。
気が付くとまた産む事等々考えて不安になっているものです。
とりあえず、キタミザト家で産めるので、産むという行為については安心して平気でしょう。
ジェシー様の時に皆でしましたから、やり方は学んでいますよ。」
ボーナが言う。
「まぁ、不安な事については言葉にしてくれると聞いてはあげられますからね。
何も言わずに1人で悶々としないようにしてください。
言葉にするだけでも不安が低減するというのはありますからね。」
武雄が玄米ご飯等をもってやってくる。
「キタミザト様、全員分の配膳はすぐにできます。」
「味噌汁もすぐに。」
エンマとフローラも配膳しながら言う。
「うん、とりあえず、試食で気分転換してください。」
武雄が言うのだった。
・・
・
武雄達の前には小盛りの玄米ご飯、コップに入った味噌汁、小皿に紅魚フレーク2種と小さいが海苔1枚、大根の輪切りを塩揉みした物が用意されている。
「・・・武雄さん、ちょっとした朝食ですね。」
鈴音が配膳を見ながら言う。
「ええ、私も途中からそう思っていましたよ。
とはいえ、ご飯の量も少なめですし、味噌汁もそこまで多くはないので、試食の範囲ではありますね。
皆、行きわたっていますかね?」
武雄が皆を見ながら言う。
「では、食べてみましょう。
いただきます。」
「「「「いただきます。」」」」
皆が一斉に食べ始める。
「うん!これです!十分です!」
鈴音が言う。
「ふむ・・・美味しくないとは言いませんが、タケオ様やスズネさんが欲しいという味という事で期待が大きかったのでしょうか?」
アリスが食べながら言う。
「ですが、普通に美味しいと思います。
刺激が強かったり、味が濃いというわけでなく、普通に美味しいというのが重要かと思います。」
エリカが言う。
「「美味しいよー♪」」
ニルデとジルダが言う。
「うん、十分に味わえるな。」
ニオが頷く。
「この味がニオ達が欲しがっていた味なの?」
テイラーが聞く。
「うむ。
毎日でも飲める味というのは重要な事だし、この味を他の料理に反映させていく事も可能だ。
タケオやスズネはこれを毎日飲んでいたのだ。
この味が出来たという事は、毎日飲んでも飽きないスープが出来たという事だな。」
ニオが言う。
「ふむ、あとはこの街の住人がどう判断するか・・・だね。」
「そこは合う具材を探す事と調理方法を広めていく事で解消していくしかないな。」
「キタミザト家の腕次第という事だね。」
テイラーが言う。
「でも、この味が毎日となっても良いかも。」
「うん、ちょっと豆の匂いがするけど、毎日飲んでも飽きないかもしれない味だよね。」
エンマとフローラが言う。
「キタミザト様の手際を見ていましたが、難しい事をしていなかったので、毎日飲める味というのなら、料理を支度する者としては使いたいですね。」
ボーナが言う。
「毎日使っても良いとなると・・・生産量が結構必要ですか。」
ドナートが言う。
「ええ、ベルテ一家にも継続的に作って貰いますが、協力工房で専門家を作ることも必要ですね。」
武雄が言うのだった。
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