第3604話 溜まり醤油の試食開始。(正式な溜まり醤油より塩分少な目で濃厚です。)
「これが溜まり醤油。」
武雄がウカとダキニが濾した溜まり醤油が入った小瓶を見ながら言う。
「・・・正確には醤油ではなく、味噌のたまりなんだけど、今は溜まり醤油で良いよ。
醤油単体の生産が始まってからまた分類すれば良いしね。
今は味噌と底に出来るたまりを濾して作った溜まり醤油という事で行こうね。」
コノハが言う。
「溜まり醤油と味噌のたまりだと違いがあるのですか?」
鈴音が聞いてくる。
「味噌の底に出来るたまりという液体は、醤油より塩分控えめで醤油よりも旨みが濃厚。
溜まり醤油の方は醤油の塩分で味が濃厚・・・刺身醤油や煮付け用と思ってくれて良いよ。」
「・・・ふむ、美味しいのですね?」
鈴音が言う。
「まぁ、タケオやスズネが思っているよりも塩が控えめで旨味があると思ってくれて良いわよ。
今回は味噌を作るのが目的で、味噌のたまりは副産物でしかないしね。
タケオ、それで良いんでしょ?」
コノハが言う。
「ええ、ドナートさんにも言いましたが、まずは味噌を作る工房を育成していく事になります。
その過程で出る、この溜まり醤油はキタミザト家のみに卸す事にして貰います。
アリスの好きな門外不出調味料となるでしょう。」
武雄が言う。
「うん、それで良いと思うよ。
生産量が1つの壺でそれだけだからね。
実際は個体差があって、多かったり少なかったりするし、味もまちまちだろうからね。
合わせたら味が変わるかもしれないしね。」
コノハが言う。
「パナ、アリスとエリカに影響はありますか?」
武雄が言うとチビパナが武雄の肩に現れる。
「特には・・・一応、火を通した方が良いかもしれません。
それに塩分高めなので、かけ過ぎ、食べ過ぎに注意ですね。
後は合う、合わないは本人次第です。」
チビパナが言う。
「ふむ・・・少量だから大丈夫かと思いましたが、万が一がないとも言えないですね。」
武雄が考える。
「タケオ様!一舐めなら大丈夫だと思います!」
「一舐めしたらお水一杯飲みますから!」
アリスとエリカが必死に乞う。
「・・・パナ、コノハ、ペイトー、監督してください。」
「「はい。」」
チビパナとコノハが頷く。
「了解しました。」
チビペイトーがエリカの肩に現れて言う。
「キタミザト様、ウカ殿達から出汁を用意するようにとして小魚の出汁を用意していますが、お使いになりますか?
それにお米も炊けるように準備はしてあるのですが・・・」
ボーナが聞いてくる。
「・・・ウカ、ダキニ。」
「「タケオ、海苔頂戴!」」
ウカとダキニが言ってくる。
「ありますけどね。
・・・コノハ、知っていましたか?」
「タケオが出勤してから連絡が来たかなぁ?」
チビコノハが苦笑しながら言う。
「あの・・・キタミザト様、バターを持ってきたのですが。」
ルフィナが小さい木箱を武雄に見せる。
「・・・コノハ?」
武雄がコノハを見る。
「・・・料理長に頼みました。」
コノハが言う。
「はぁ・・・日本人にとっての醤油バターは別格です。
ですが、日本人以外で初めて食べる方に合うかはわかりません。
味の違いを分かって貰うなら・・・紅魚のフレークを作って、バター醤油で炒めた物とそのままのを食べ比べした方が良いでしょうね。」
武雄が考えながら言う。
「あ、武雄さん、ならご飯も提供されるのですね?」
鈴音が聞いてくる。
「はぁ・・・ボーナお母さん、すみませんがお米の用意を。
出汁の方は私が作ります。」
「畏まりました。
すぐに支度をはじめます。
エンマ、フローラ、手伝って。」
ボーナが頷き、エンマとフローラに声かけ3人で厨房に向かう。
「ちょっとした、小腹を満たす感じになりそうだね。」
コノハが言う。
「まぁ、そうですね。
アリス、エリカ、鈴音とテイラーさん、もう少し時間をください。」
「「「「何も問題ありません!」」」」
4人が言う。
「とはいえ、がっつりは食べれませんからね?
あくまで味見ですから。」
武雄がそういうが皆は期待した目を向けている。
「ジーナ、ルフィナ、カーティア。
ベルテさんの所の食器の確認を。
見た目とか気にしないので、スープ用のコップや皿の確認だけで結構です。
たぶん大丈夫でしょうけど、確認は必要です。
足らなければエルヴィス家から・・・いや、隣の元地主さんに言ってお借りしましょう。」
「「「畏まりました。」」」
ジーナとルフィナ、カーティアが頭を下げ、ボーナの後を追う。
「タケオ、みそ汁の具は何する?」
「玄米に鮭フレークだからなぁ・・・かといって、試食だから味が出るような物は極力しない方がいいとして・・・もやし?」
「ないよ。」
コノハが即答する。
「簡単なのは・・・ドナートさん、タマネギあります?」
「ええ、買い置きで良いのなら。」
「タケオ、タマネギは熱を加えていくと甘くなると思うんだけど?」
「なら菜っ葉の味噌汁にします?
見渡した感じありませんけど。」
「・・・タマネギで良いか。」
コノハが頷くのだった。
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