第3603話 味噌の試食開始。(白味噌は若干甘いよ。)
「はい、タケオ。」
コノハがスプーンで味噌をほんの少量を取って、武雄に渡す。
皆が武雄の動きに注目する。
「はい、失礼します。
色は白味噌になるでしょうかね。
・・・あ、ちゃんと味噌の匂いがしますね。」
武雄がスプーンを受け取って匂いをまず確認する。
「うん、そうだね。
いってみようか。」
コノハが言う。
「では・・・あー・・・味噌ですね。」
武雄が頷く。
「「「「!!」」」」
皆が息をのむ。
「キタミザト様、こちらを。」
ボーナがキュウリの縦切りとダイコンの輪切りを武雄の前に置く。
「失礼します。」
武雄がキュウリに味噌をつけて食べる。
「ふむ・・・うん・・あー、甘い気がする。
鈴音。」
武雄がキュウリを鈴音に渡す。
「はい!待っていました!
いただきます!」
鈴音が食べる。
「・・・」
と鈴音が止まる。
「・・・鈴音、どう思いますか?」
「味噌です・・・味噌ですけど・・・これは豆の味ですか?
想像していた物より甘い気もしますけど・・・味噌・・ですね。」
鈴音がぎこちなく頷く。
「まだ、熟成が浅いのかな?
とはいえ、もう数か月待つともっと私達が知る味噌に近くなるでしょう。
・・・コノハ、ウカ、ダキニ、仁王様、試食してください。」
「「「はい。」」」
「うむ。」
4人が味噌を少し取って、キュウリに付けて試食する。
「「「うーん・・・」」」
コノハ、ウカ、ダキニが腕を組んで考える。
「ふむ、まぁ、最初としては上出来ではないか?」
ニオが言う。
「ですね。
甘く感じますが、これも特色の1つですかね。」
武雄も頷く。
「味噌味噌しくないね。」
「まだ若いよね。
もう少し寝かせないといけないかな?」
ウカとダキニが言う。
「でも、初めて作ったにしてはしっかりしているね。
味ももう少し寝かせてみて判断だけど、今の時点でも味噌と言えるくらいにはなっているよね。
うーちゃん、麹は大丈夫?」
「何とか全滅させないように継続的に生産しているよ。
来年もこれで仕込むのと新しい麴菌が見つかれば使ってみるよ。」
ウカが言う。
「タケオとしては、どう?」
ダキニが聞く。
「・・・ふむ・・・良いでしょう。
ドナートさん、よくやりました。」
武雄がドナートに言う。
「はっ!ありがとうございます!
ウカ殿とダキニ殿が指導しているおかげでもあります。」
ドナートが頭を下げる。
「そうですね。
ですが、まとめているのはドナートさんです。
もう1度言います。
良くやりました。」
「はい!」
ドナートが返事をする。
「ウカ、ダキニ、協力感謝です。
そしてお疲れ様。
これからもよろしくお願いします。」
「良いって事よ~。」
「ま、最初にしては上手く行ったっしょ。」
ウカとダキニが笑いながら言う。
「さて、とはいえ、あと何回か作っていかないと製造の安定供給方法の確立や味の確定をさせられないでしょう。
今後もベルテ一家には作り続けて貰います。」
「「はい。」」
武雄の言葉にドナートとボーナが返事をする。
「それと同時に売る為に製造工房を持たないといけません。
大量製造出来るようにする為ですね。
今年中には手配しましょうか。
ローさんに口利きをしてワイナリーを1個紹介して貰い、ベルテ一家の監督・指示の下、製造を始めて貰う事になるでしょう。
ベルテ一家と一緒に製造していきますが、当面は一般には売らずに、エルヴィス家に売る事になるでしょうね。
そして、味の確定と年間通しての安定的な供給に向けての製造方法を考えて行って貰います。」
武雄が言う。
「わかりました。」
ドナートが言う。
「ベルテ一家としては味噌の試験を継続的にしていく事。
協力工房への製造の監督を実施する事。
これが増えます。
よろしくお願いします。」
「「わかりました。」」
ドナートとボーナが言う。
「詳しくは・・・また後日考えましょう。」
武雄が言う。
「さてと・・・溜まり醤油はどうなっているか・・・
うーちゃん、だーちゃん・・・よろしく!」
コノハが言う。
「「あいよー。」」
ウカとダキニが慎重に味噌を出していく。
「・・・・・・・・・ここかな?」
「だね・・・ここ以下だね。」
ダキニとウカが壺の底を見ながら言う。
「どう?」
コノハも壺の底を覗き込む。
「ここから下が味噌のたまりだね。
溜まり醤油の原型だね。
これを濾して絞るよ。」
ウカが言う。
「絞り粕は、味噌のカラカラになったのだから、何か料理に使えそうだね。」
ダキニが言う。
「さて・・・どのくらい取れるのか・・・」
コノハが壺の底を見ながら言う。
「良くて200mlかなぁ・・・」
「エルヴィス家だと1日で使っちゃいそうだね。」
ウカとダキニが言う。
「・・・とりあえず、濾して瓶に入れてくれる?」
「「あいよー。」」
ウカとダキニが溜まり醤油を取り出すのだった。
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