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第3601話 エルヴィス爺さんとビエラ達。(王城の総監局の動きが早いようです。)

エルヴィス家のエルヴィス爺さんの執務室。


「ビエラ殿とリーザ殿、クゥ殿はアリス達と行かなくて良かったのかの?」

エルヴィス爺さんが3人に聞く。

「今回は遠慮だよ。」

「ぎゅー。」

「きゅ。」

「ふむ、率先していくかと思ったんだがの?」

エルヴィス爺さんが首を傾げる。

「美味しい物は好きだよ。

 今日のは、まだ美味しいかわからない物だし、料理じゃないって言ってたよ。

 料理を食べたいんだよねー。」

「ぎゅー。」

「きゅー。」

「なるほど、美味しい料理を待っている方が良いという事じゃの。

 まぁ、それは今日の夕食にでもわかるじゃろうの。」

「うん!そこに期待!」

ビエラが言う。

「ぎゅ?」

「きゅ!ぎゅ?」

「・・・そこは残念だったというしかないよ。」

リーザとクゥの言葉にビエラが残念そうな顔をさせて言う。

「ふむ・・なんとなくじゃが、リーザ殿が『美味しくなかったら』もしくは『持って帰ってこなかったら』と言っておるようじゃの。」

「侯爵正解!

 『美味しくなかったら持って帰ってこないよね?』と言っていたよ。」

「ふむ・・・じゃが、以前コノハ殿が『不味い物は美味しく、美味しい物はさらに美味しくがモットー』と言っておったの?」

「あ!」

「きゅ!」

ビエラとクゥが反応する。

「ぎゅ?」

リーザが首を傾げる。

「ふむ、コノハ殿がタケオやスズネの国を体現した言葉なのじゃがの。

 ・・・今回の味噌と醤油、確かに及第点に行くかどうかもわからぬが・・・それでも料理に使えそうな物になるとわしは思うがの?」

「そうだね!」

「きゅ!」

「ぎゅ??」

エルヴィス爺さんの言葉にビエラとクゥは希望を見出し、リーザは戸惑うのだった。

と執務室の扉がノックされ、エルヴィス爺さんが許可を出すとフレデリックが入ってくる。

「失礼します。

 おや?ビエラ殿方、今日はここで待機ですか?」

「そう!美味しい調味料待ちだよ!」

「はは、そうですね。

 私共、屋敷の従業員の話題も調味料の話になっております。

 厨房は何とも言えぬ雰囲気でしたが・・・そこは期待して待っておりましょう。」

フレデリックが言い、エルヴィス爺さんの前に書類を置く。

「ふむ、今日は少ないの?」

「検討中と経過報告が主ですね。

 これがあと1月後は、4月以降の雇用確定報告や最終的な融資確定の報告書、各産業への指示・指導の計画書、各町の整備計画書等々・・・毎年の事が始まります。」

フレデリックが言う。

「忙しい前の静かな日常が今という事じゃの。

 ・・・そういえば、タケオが帰ってきて、王都の王立学院に提出する募集要項はいつまでじゃったかの?」

「進路志望調査は6月との事でした。

 募集期限は5月15日と王都の人事局の資料にはありましたが、5月初めには人事局に到着するように指示をしています。」

エルヴィス爺さんにフレデリックが言う。

「ふむ・・・今回のキティ・エメットの成長も見ながらとなるが・・・

 王都からか・・・フレデリック、皆はどう思うかの?」

「才能があるかはわかりませんが、王立学院出であれば政策の基本的な知識は入っております。

 それに事前研修に来ていただいたおかげで、上司達が彼女の知識量は認識しています。

 十分に班長(・・)が出来る物と考えております。」

フレデリックが言う。

「いきなり部下を持たせるのは酷かの?」

「ふむ・・・慣れでしょう。

 一応、部下には上司が若くとも偏見がない者を付ける予定です。」

「・・・キティ・エメットには頑張って貰おう。」

エルヴィス爺さんが言う。

「はい、人事関連の話が出ましたので追加です。

 王都の総監局より伺いが来ております。」

「・・・人事局ではないのかの?」

「はい、総監局よりメイドの異動についての問い合わせが。」

「・・・ジーナから簡易報告が来ていたか。

 なんでこうも早いのかの?」

「王城でタケオ様が話されたので、話が反故になる前に王都が動いているという感じかと。」

「・・・東町の件はまだまだ手付かずなんじゃがの・・・」

「あくまでタケオ様、キタミザト家の話ですからね。

 ・・・まずはこの屋敷で少数雇用でしょうか?」

「うむ、余裕があるわけではないと思うが・・・」

「ええ、応募すれば、募集に応じる者も多く、十分な数を雇用出来ております。

 ですが、2年後のスミス様の挙式後の事を考えると王城での経験者を入れ、対応出来るようにしないといけません。

 それに王都派と現地派に分かれる事を防ぐ為に今からすり合わせが必要かと。」

「ふむ・・・わかった。

 2、3名の採用を実施しようかの。

 アリスとエリカの子供も増えるしの。」

「畏まりました。

 では、王城の総監局との交渉を始めます。」

フレデリックが頷くのだった。


ここまで読んで下さりありがとうございます。

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