第3600話 もう少しで皆が出発です。(ルフィナとカーティアも新調味料は期待しています。)
研究所の3階 所長室。
「武雄さん、行きましょう!」
鈴音が言ってくる。
「うん、気が早いですね。
パナ、アリス達は出ましたか?」
「ニオ達が今、屋敷に向かっています。」
チビパナが現れて言う。
「私達も行きましょう!」
「まだ早いでしょう。
・・・この書類が終わったら行きましょうか。」
「待ってます!」
鈴音が大人しくソファに座るのだった。
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エルヴィス侯爵邸の玄関前
「ニオ殿からもう少しだそうです。
アリスさん、早かったですかね?」
「遅刻するより良いと思いますよ?」
ダウンコートを着てマフラーと手袋をしたエリカとアリスが準備万端で待っていた。
「「・・・」」
ルフィナとカーティアが何も言わないで2人を見ているが、2人とも「客間で待って居れば良いのでは?」と思っていたりする。
「味噌の概要としては、大豆という豆を潰して、塩を混ぜて発酵?というのをしているとコノハ殿がさっき言っていましたよね。
アリスさん、これって魚醤と似ていませんか?」
「・・・確かに。
コノハ、実際はどうなの?」
アリスが聞くとチビコノハが現れる。
「考え方は一緒。
ただ、味噌の方が手間がかかっているかな?
魚醤は魚臭さがちょっとするから合う合わないが結構激しいんだよね。
味噌の場合は魚臭さがないから割と合う人が多いのよ。
タケオやスズネの居た所では味噌が一般に広まっていてね。
魚臭さがないから魚、肉、野菜のどれにでも合わせられる万能性が高い評価を受けているの。
醤油というのは味噌から抽出された液体と思えば良いわ。
固体でないから、もっと幅の広い使われ方をしているの。」
「「へぇ。」」
アリスとエリカが感心する。
「醤油と言えば・・・ルフィナ、料理長から預かった?」
チビコノハがルフィナに聞く。
「はい、小さい箱を頂きました。」
ルフィナが手持ちのバックから木箱を取り出して言う。
「うん?ルフィナちゃん、それは?」
「昨日夜にコノハ殿よりバターを少量持っていきたいと言われたので、料理長に頼んで出していただきました。」
ルフィナが言う。
「アリス、前に言ったけど醤油バターよ!」
「・・・・・・・・・あ!コノハが奇跡のソースと言っていたやつですね?」
「そう!塩、バター、トマト、ウスター、醤油に次ぐ第6の味!醤油バター!
タケオの国の人間なら8割方拒否はされない国民に愛される味!
ふふふ♪アリス!餡子に次ぐエルヴィス家の禁断調味料になるわよ!」
チビコノハが言う。
「おぉう、コノハがやる気ですね。
確か、醤油の生産量が少ないから、そもそも醤油自体がエルヴィス家とキタミザト家で使用して、市場には出さないという事でしたよね。」
アリスが言う。
「まぁ・・ね。
今は味噌を作って、そこから得られる醤油を私達で楽しむという事にしたよね。
なので、当面は私達だけで最強のソースを堪能しようね。」
チビコノハが言う。
「・・・確か、エルヴィス家では屋敷の者達にも同じ料理を出していますよね。
足りますか?」
エリカがチビコノハに聞く。
「・・・足らないから、この調味料は本当に身内のみだろうね。」
チビコノハが言う。
その言葉を聞いて、ルフィナとカーティアが「え?噓でしょ!?」という顔をさせている。
「・・・あー、味噌を大量に作れるようになれば、その分、醤油も手に入りますから、屋敷内の皆の食事にも使えそうですね。」
アリスがルフィナとカーティアの顔を見てしまい、考えながら言う。
「アリス様!作ってくれる所を探しましょう!」
ルフィナがアリスに言う。
「そうですね。
タケオ様に言って、ローさんと作ってくれる商店を早々に探さないといけませんね。
今年から大量に買い付けしますからね。
その準備もしないといけないですね。」
アリスが言う。
「今年の秋に作って、食べられるのは最低でも来年の今時期・・・」
カーティアが暗い顔をさせながら呟く。
「醤油はダメだけど味噌はあるよ!
カーティア!大丈夫!まだ食べられる物はあるよ!
諦めちゃダメだよ!」
ルフィナが言う。
「いや、カーティアちゃん?ルフィナちゃん?そこまでなの?」
アリスが驚く。
「「はい!」」
ルフィナとカーティアが思い切り頷く。
「あー、気持ちはわかりますが・・・こればかりは生産量が増えないと・・・
とりあえず、今日の試食が上手く行かないと次がないですよね。」
エリカが言う。
「そ、そうですね。
まずは今日が上手く行かないといけませんね。」
アリスが言う。
「うん?テイラーが来たね。」
敷地入り口の門の所からテイラーが入ってくるのをチビコノハが見つける。
「よし!まずは試食を熟しましょう!」
アリスが言うのだった。
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