第3593話 ヴィクターとアスセナが戻りました。(装飾品をガラスケースに入れて展示してみよう。)
研究所の3階 所長室。
倉庫の方の仕事を終えたヴィクターとアスセナが戻ってきた。
「失礼します。
主、戻りました。」
ヴィクターが言う。
「はい、お疲れ様です。
どうなっていますか?」
武雄が聞く。
「はい、本日は持ち込まれた物を並べ、各業者方に値付けをしていただきました。
値付けしたリストは回収し、参考資料として各業者が算定した金額をリスト化します。」
ヴィクターが言う。
「ふむ・・・値札があった物もありましたよね。
そうしたら付けた金額の差額で輸入するかしないかを判断出来そうですね。」
武雄が考えながら言う。
「はい。
感覚としては、衣服や雑貨等の必需品関係は、この街と同じような値段に。
宝石や家具、小物入れ等が原価よりも高めの値段になったように見受けられます。
詳細は後程。」
ヴィクターが言う。
「わかりました。
アスセナさんの案を採用します。
実際に配置した際に違和感があるのなら、自由に変更もして構いません。
初めての事です。
アスセナさんが好きにして構いません。
納得するまで考えなさい。」
「はい!わかりました!」
アスセナが返事をする。
「ヴィクター、各業者の値付けに立ち会った感覚として、売れますかね?」
「・・・少なくとも今回は問題ないかと。」
ヴィクターが考えながら言う。
「理由は?」
「目新しさです。
一般に売れなくても業者が買っていきそうな雰囲気でした。
ですが、業者が買って街で売ったとして、どこまで購入されるかは見守る必要があります。
輸入に関しては、価格と売れ行きを確認しないといけないかと思います。」
「ふむ・・・売れる物はデムーロ国の戦場で売ってしまいましたしね。
ある意味、街中の雑貨を集めたようなものですから。
ま、試しの展示即売会なのですから、売れなかったら売れなかったでイーリーさんの所で細々と売っていけば良いだけですよ。
展示方法も良い事も悪い事もが出てくるでしょうから、授業料みたいなものです。」
武雄が言う。
「少々、値が張る授業料ですね。」
ヴィクターが言う。
「むしろこの程度で、この規模の展示会が試せるのです。
この展示即売会だけでなく、他のイベントが必要になった際に使える先例になるでしょう。
今回は失敗しても私の懐が痛むだけです。
その程度の損害で次に活かせるのなら安い物でしょう?」
武雄が言う。
「まぁ・・・そうでしょうね。」
ヴィクターが考えながら言う。
「出来るだけ回収できるようにします。」
アスセナが言う。
「うん、個人としては期待はしますが、無理に売りぬこうとしないようにね。
売り上げよりも名声を生むようにね。」
「わかりました。
キタミザト様の名声が高まるような展示を考えます。」
アスセナが言うのだった。
・・
・
研究所の3階 所長室正面の総務部。
武雄への報告を終え、ヴィクターとアスセナが自身の机に戻ってきていた。
「・・・」
ヴィクターは各業者が付けた金額をリスト化している。
「・・・」
アスセナはガックリとしていた。
「「・・・」」
ジーナとマリスは目で、やり取りをしている。
「・・・・・・アスセナ殿、どうされたんですか?
展示即売会の概要はご主人様に裁可されたと認識していますが?」
マリスとのやり取りを終え、ジーナがアスセナに声をかける。
「いえ・・・さっき、報告に行ったら、失敗しても良いと言われまして。」
「ご主人様は、そういう事を良く言いますね。
よほどの事でない限り、失敗は許容されると思っていますが・・・」
ジーナが首を傾げる。
「ええ、で、キタミザト様が『売り上げよりも名声を生むように』と言われて、私もついつい『キタミザト様の名声が高まるような展示を考えます』と答えてしまって・・・
何をすれば名声が高まる展示方法があるのでしょうか・・・」
アスセナが落ち込みながら言う。
「ふむ、名声ですか・・・言い換えれば、街中の皆さんにご主人様が見る目があると思わせる・・・という事でしょうか?」
ジーナがマリスに聞く。
「そうともいう事でもあると思います。」
マリスが頷く。
「となると・・・宝石なんかを特別に豪華に見せるという手があるかと思います。」
ジーナが言う。
「・・・宝石を特別に?」
アスセナが聞き返す。
「はい、いくらで売るかはわかりませんが、宝石関係は高い物です。
一般の方々が気軽に買えるような金額ではないのが普通です。
装飾類は多数並べられた物を店員が奥から持ってくるのが普通の販売方法です。
今回は皆さんに全商品を見て貰いますので、この展示はしません。
例えば・・・個別にガラスケースに入れて展示するとかはどうでしょう。
今回は『ご主人様が選んだ』という事になるので、個別に高い商品を見せれば、一般の方々に『キタミザト様は見る目がある』と思っていただけるかと思います。
ガラスケースを作れば、安易に手が触れらず、盗難予防にもなるかと思います。」
ジーナが言うのだった。
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