第3422話 アズパール王との会談1。(地図の話をしましょう。)
王都守備隊と会食をし終えた武雄は、ジーナと共にアズパール王の執務室に来ていた。
「タケオ、少しは休めたか?」
アズパール王が、執務机に座ったまま聞いてくる。
「兵舎で仮眠をとってから、王都守備隊の方々と食事をしてきました。」
「そうか、オルコットに我とタケオの会談を調整させたらこの時間になってしまった。
酷いとは思わんか?」
「まぁ、少し驚きましたが、明日以降の各局との会議も考慮した時間調整でこうなったのだろうと思う事にします。」
「そうか・・・我はそこまで優しくなれんがな!
お茶と菓子だけというのも味気ないが・・・」
「あー・・・タコという珍しい海鮮食材をデムーロ国で入手したのですが、昨夜唐揚げにした物を取り置きしてありますので、それを出しましょうか?
まぁ、冷めてしまっているのは我慢して下さい。」
「主~、タコの唐揚げが残っているのですか?」
ミアが微妙に震えながら胸ポケットから顔を出す。
「おぉ、ミア殿、久しぶりだな。」
「陛下、お久しぶりです。」
ミアが言う。
「ふむ・・・タコか、聞いたことない食材だな。」
「ジーナにも食べさせたくて、作っている際に少し取り分けておいたんです。」
「私に・・・ですか?」
ジーナが聞いてくる。
「ええ、この地では滅多に食べられない食材ですし、独特な食感なので、一度食べて欲しくてね。」
「そうなんですね。ご主人様、ありがとうございます。」
「ふむ・・・タケオが、わざわざジーナに食べさせたいと思う程に珍しい食材なんだな。
我も食べてみたいな。」
「わかりました。
適当に摘まみながら話を進めましょう。」
「うん、それで良い。
ジーナ、すまんがお茶を用意してくれるか。
揚げ物という事ならお茶は温かい方が良いだろう。」
「畏まりました。
お茶とフォークを用意いたします。」
ジーナは礼をしてからお茶を用意し始める。
「タケオ、ここら辺にその唐揚げを置いてくれ。」
アズパール王は執務机の片隅を指差すのだった。
・・
・
「これが、我宛の報告書一式か。」
執務机に並べた報告書を前に、アズパール王は咀嚼を終えたタコの唐揚げを飲み込んで呟いた。その口元にはフォークに刺した次の唐揚げが待機している。
「我が国と魔王国の慣例の戦争の報告書、魔王国とデムーロ国との観戦報告書になります。
私の下書きを、慣例の戦争はヴィクターに、観戦報告はマイヤーさんに仕上げて貰いました。」
「ふむ・・・その概要をこれから話すのか?」
「いえ、これは陛下が先に一読してから質疑応答を行った方が良いと思いますから、今日は触れません。」
「そうかぁ、見なきゃならんかぁ・・・」
アズパール王が伏目で報告書を眺める。
「部下達の力作ですので、ご一読ください。」
「わかった、しっかり読ませて貰おう。
では、今夜の会談の主旨は別にあるという事だな?」
アズパール王が聞く。
「はい、本題に入る前に少々確認をしながら話をします。」
「うむ、よろしく頼む。
ジーナも平気だな?」
「はい、お任せください。」
アズパール王がジーナに聞くと、いつの間にか鉛筆片手にメモの用意をしている。
「今回の話としては、魔王国がデムーロ国に勝利し、領土の北半分を取り込んだ事から始まります。
戦後統治に非協力的な旧デムーロ国の住民は、手に入れた領土の南半分に追いやられ、その地をファロン子爵一族に統治をさせる事になりました。」
「うん、それは聞いている。
領地異動だな?」
「はい、魔王国側の思惑はさておき、デムーロ国だった領土の約6割を異動するファロン子爵の領地とし、残りを直轄地として新設の第6軍が駐屯します。
ゴドウィン伯爵領が国境を接するのは魔王国のパーニ伯爵領のままですが、エルヴィス伯爵領の隣にはブリアーニ王国が異動してきます。そして、ブリアーニ王国とパーニ伯爵領間にも直轄地を設けて新設の第7軍が駐屯します。」
「ふむ・・・確か魔王国方面の地図がこっちにあったな。」
アズパール王が席を立ち、執務室内の戸棚から地図を探す。
「あー、これだ。
古いが使えるだろう。」
アズパール王がA3用紙程の地図を持ってくる。
「「ありがとうございます。」」
武雄とジーナが礼を言う。
「地図があった方が、分かりやすいだろうからな。
タケオ、続きを頼む。」
「はい、あ、その前に魔王国に今回のデムーロ国との戦争結果を反映させた新しい地図を頂けるように依頼しています。
対価として、アズパール王国の最新地図を欲しいとの事です。
まぁ、王城としてアズパール王国全体の地図の提供が認められない場合、代わりにエルヴィス伯爵領やゴドウィン伯爵領が記載されている地図を送るようにします。」
武雄が言う。
「ふむ・・・一方的に貰うばかりでは些か失礼だな。
こちらも王国全体の地図を用意させよう。
何枚頼んだのだ?」
「アズパール王国の王城用、エルヴィス家用、キタミザト家用という事で5枚頼んでいます。
大きさは60cm四方ですね。」
「ふむ、なら王城に2枚納めてくれ。
こちらも5枚用意する。魔王国に送ってくれ。」
「わかりました。
あ、ちなみに向こうのトップに近いところにお願いしているので、地図の精度的は高いと思われます。」
「わかっている、我が国としても恥ずかしくないレベルの地図を用意する。
・・・タケオが王都に滞在している間に用意させよう。
なので・・・間に合えば、エリカに持って帰らせてくれ。」
アズパール王が言うのだった。
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