第3341話 421日目 丸ゴムの話をエルヴィス爺さんにしましょう。(髪留めにつかえませんかね?)
夕食後のエルヴィス家の客間。
武雄達が今日の話をしている。
「ふむ・・・これが新しい紐かの。」
エルヴィス爺さんが丸ゴムの試作品を見ながら言う。
「はい、SL液の配合で出来た紐です。
少し柔らかくなっていて、衣服の袖口、扉や窓の建材、文具・・・使用用途は多岐に渡ると考えます。」
武雄が言う。
「ふむ・・・普通の紐が駆逐されるという事はないかの?」
「ありません。
この丸ゴムは紐のような強度には達していません。
ある程度の力で引っ張るとちぎれます。
紐の種類が増えたという形になると思います。」
「ふむ・・・うーん・・・何に使えるか考え付かぬの。
アリスはどうじゃ?」
「うーん・・・普通の紐より弾力があるという事ですよね。
そして同じ力で引っ張るのなら、普通の紐の方が強いと。
・・・んー・・・・・・・・・今の所、紐に変わる用途が無いように思います。」
アリスが手を空中で何かをコネコネして考えていたが、諦める。
「コノハ、どう?」
アリスが聞く。
「そうねぇ・・・建材というのはわかるわ。
文具はスズネが筆記具をまとめるのに使う結束バンドでしょ?
袖口を縛るって、風を入れない為に絞るやつかな?
タケオ、紐より弾力があるから、ある程度、きつくなっても大丈夫って感じかな?」
チビコノハが現れて言う。
「ええ、そんな感じです。
トレンチコートでは袖口からの風の取り込みは引っ張る布とボタン位置によって調整出来ますが、丸ゴムを使って袖の開口面積を調節出来ないかと。
ジャンパーとかについている金具で紐を絞ると袖口がちいちゃくなるやつを想定しています。」
「あー、あれか。
でも・・・金具が大変そうだよね。」
「そこは・・・ハワース商会とラルフさんに任せましょう。」
「タケオ様、夜道の一人歩きには注意してください。」
アリスが言ってくる。
「わかっています。
ヴィクターにも言われました。」
武雄が頷く。
「ふむ・・・タケオのしたい事が難しいのはわかった。
タケオとしては、他に作りたい物はあるかの?」
「輪ゴムのような感じでの髪留めですかね。
紐状ですが端部の両端をくっ付ける道具を付けれれば、疑似的に輪っかになるでしょう。
なので・・・そのくっ付ける道具を隠すのに・・・例えば、シュシュでしたら、使っている布で道具を隠せるでしょうし、布で差別化出来ると思います。」
武雄が言う。
「なるほどね。
確かに髪留めやシュシュは女性にとっては、あると便利かもね。
今は紐だから髪留めも制限があるだろうしね。」
チビコノハが言う。
「でもコノハ、タケオ様、今でも普通の紐でも出来ますよ?
この丸ゴムにすると何かメリットがあるのですよね?」
「使い勝手がよくなる・・・でしょうか。」
「バッグとかに入れておいても絡まないかな?」
武雄とチビコノハが言う。
「ふむ・・・髪留めだとあまり高い売値では買わないと思います。
いくら、そのシュシュという髪留めが良くても、それほど高くは出来ないと思います。」
「それはそうですね。
大量に作って・・・と言う訳にはいかないかもしれませんね。
んー・・・街中のお母さん達に頼んで内職にでもして貰うか・・・
これもラルフさんの所に任せましょうか。」
武雄が言う。
「まぁ、それも手じゃの。
ここで何を言っても作る所が考えないといけないじゃろうからの。
ちなみに、タケオ、今すぐでなくて良いからこの丸ゴムの発展形はなんじゃ?」
エルヴィス爺さんが聞いてくる。
「そうですね。
・・・前にハワース商会に製作をお願いした木工ボンドの容器をこの丸ゴムを作った方法を用いて作れないかと。」
「ふむ、前に夕食後に言っておった物じゃったかの?
確かタケオが作ろうと思った寄木細工をハワース商会に持っていかれた件の時じゃったか?」
「はい、この丸ゴムがどのように出来たか・・・何かに張り付けて形を固定させる事が出来るのならボンドを入れる使い捨ての容器が出来ると思います。」
武雄が言う。
「ふむ・・・それはスズネが今まとめておるのじゃったか。」
「はい、一報を入れに来た時は本人も出来た事に驚いていましたが。」
「ふふ、それは面白い話じゃの。
違う事をしていたら丸ゴムという成果が出たのじゃからの。」
「そういう偶然の産物が世の中を良くするというのは話としては多いかと。」
「ふむ・・・研究は継続的にさせる事が重要という事かもしれぬの。」
エルヴィス爺さんが考えながら言う。
「はい、特に私達研究所は、そういった事を長くしていく組織ですから。
一工房だと狙った物のみを作らないと売り上げは上がりませんが、私達は長い目で見て研究をしていくので、色んな事を試して行けるというメリットはあります。
まぁ、今回はたまたまですが、成果を出すのに時間がかかるという事でもあります。」
「ふむ・・・施政者としては、成果があまり出ないというのは、なかなかに難しい判断をせざるを得ないじゃろうの。
研究所関連は裕福な土地柄か、王立のみが出来る事じゃの。」
エルヴィス爺さんが言うのだった。
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