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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
ダンジョン運営本格始動

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第78掘:被害は拡大する

被害は拡大する






side:スティーブ  種族:ゴブリンアーミーリーダー



最悪っす。

本当に大将の嫁さんとは関わり合いになりたくないっす。

いや、限定一人っす。

他の嫁さん達は無害、デリーユの姐さんは少しアレっすけど、まだ許容範囲っす。


だけど、セラリア姐さんは拒否するっす。

何だっけ、大将から聞いた乗車拒否? だっけ、お断りっす!!


「スティーブ怪我しちゃだめだよー!!」


大将の足元にいる、我ら魔物の小さなお姫様が応援をくれるっす。

これで少しはやる気がでるっす。


「スティーブ、手加減なんてするんじゃないわよ」


あ、やる気下がったっす。

素晴らしいタイミングで来ますねセラリア姐さん。


「アスリンを筆頭に今日はヴィリアやヒイロまで来てるんだから。無様な恰好は見せられないわよね?」


鬼っす!!

大将もさっきそんな感じで戦わされたっす!!

子供達を盾にとるとは、人の風上にもおけないっす!!

ちょっと、大将!!

あんたの嫁さんに自重しろって言ってくださいよって感じの視線を大将に送る。


返ってきたのは両手を合わせて拝んでる仕草…。

くっ、味方はいないっす!!

ああ、なんでこんな事になったっすか……。

そう思って、手に握っている訓練用に刃をつぶしたロングソードに映る自分を見つめる。


確か、そう、大将が冒険者に勝利した後っす。

その時、おいら達Aチームは今回の冒険者ギルドの関連を警備していて、状況確認でおいらがギルドにいたっす。



「ん? なんでゴブリンがこんな所にいるんだ?」


そう一人の冒険者に声をかけられたっす。


「魔物…にしてはなんで襲ってこないんだ?」

「ほら、アレだろ、今ダンジョン区以外にいる魔物は制御下だって説明」

「ああ、そう言えば警備って腕章つけてるな」


そうですよー、だからさっさと立ち去ってくださいな。

のんびり、ぶどうジュースも飲めやしないっす。

あ、因みに、街の警備や軍部についているおいら達魔物は一応給与がでてるっす。

なんでも、街の人達においら達は危険が無いと伝える為だとか。

おいら達も積極的に街や学校や訓練所で警備して、その場所で買い物したりして、住人と仲良くなってるっす。

というか、本日休日だったっす。

あんたらが到着したせいで休みがパーっす!!

久々にトランプのダウトで勝てる気がしてたのに……。

おいら達、大将のおかげで頭がかなり良くて、読み書きや計算、遊びまで普通に覚えられったす。

ゲームとかもやらされたっす。

これは嫁さん達もしてないから、おいら達の方が信用されてるって感じっす。

そんな風に考え事してたんっすけど、なかなか立ち去ってくれないっす。


「なあ、このゴブリン警備とか言ってるから強いのか?」

「なーに馬鹿な事いってんだよ。ゴブリンだぜ? ギルドの討伐ランクしってるだろう?」

「そりゃ、初心者用のランク2だけどさ、そんなのに警備任せるか? こいつら使役しているのあのセラリア様の旦那さんだぜ?」

「言われてみりゃ、そうだな……」


そんなに見つめないで!!

おいら男に興味ないっす!!


「ロードとかナイトのゴブリンでもランク3か4だろ?」

「あー4ぐらいあるなら警備としてはいいんじゃねーか?」

「そりゃな、でもこいつ見たことない格好だぜ? 体格も別にロードとかナイトみたいに大きくもない」

「確かにただのゴブリンが上等な服と装備してるだけだな。野生のは腰みの一つと簡単な武器だもんな」


えーい、外にいる野生の露出狂と一緒にするなっす!!

ダンジョンができた頃、外で露出狂の同族見た時のおいらの悲しみがわかるっすか!!

風呂も入らない、匂いのきっついあの変態と一緒にしないでほしいっす!!

その露出狂はおいら達の部隊が殲滅したっすよ。

もう、完膚なきまでに。


イメージが湧きにくい人はこう思うといいっす。

知り合いが大都会でパンツ一丁できっつい匂い出しながら、こっちに向かって手を振ってくる感じっす!!


「どうしたのかしら?」

「セラリア様!?」

「いえっ、魔物が、ゴブリンがギルド内を歩いていたのでつい珍しくて。警備の魔物でいいのでしょうか?」

「ん? その腕章の通り警備よ。説明聞いてなかったかしら?」

「いえ、聞いていましたが、警備がゴブリンと驚きまして」

「ああ、それはそうよね」

「それで、失礼ですが、警備に適しているのかの話になりまして……」

「なるほどね~」


あ、嫌な予感がするっす。

セラリア姐さんの目が細くなったら危険っす!!

脳筋に見えて実際はよく考えてるッす。

主に要らんところで。

おいらはそさくさと立ち去ろうとしんだけど……


ガシッ


襟首掴まれて、そのままセラリア姐さんに引き寄せられる。


「スティーブどこ行くのかしら?」

「ゴ、ゴブ……(い、いやおいら警備だし、そろそろ他見て回らないと……)」

「あら、貴方達が警備で不安って声が上がってるのよ? それを第一になんとかしないとね」


いい笑顔でおいらはそのままセラリア姐さんに強制連行されたっす。



その結果がこれっす。


「さあ、私達の街の警備代表。魔物のゴブリンのスティーブよ。先ほど冒険者からゴブリンで大丈夫なのかと声が上がったわ。それはもっとも。だから、冒険者達でこのゴブリンのスティーブと戦って実力を感じて欲しいわ。無論殺せるのなら殺してしまって構わないわ」


うぉい!!


「そうね、皆に利点が無さすぎるから、スティーブを倒せたら白金貨1枚あげましょう」


「「「おおおーーー!!」」」


うぎゃぁあぁぁあ、トンデモない事ばかりいってるっす!!

大将と違って殺害方向っすよ!!

人権…いや魔物権を高らかに叫びたいっす!!

おいらだって生きてるっす!!


「スティーブ、兄様のようにがんばるのです!!」

「頑張ってお兄様みたいにはいかないとはおもうけど…」

「お姉、それは言っちゃいけない」


くぅ、大将ばかり優遇。


「さあ、誰が戦ってみるかしら?」


セラリア姐さんがそう言ってる所においらもボソっと声をかける。


「ゴブ…?(こっちの相手殺害は?)」

「ダメ」

「ゴブ!?(酷い!?)」


そんな事していると、さっきの冒険者が前に進み出てきた。


「白金貨1枚。まあ、それに釣られたって言いたくはないが、そのゴブリンの力量にも興味があるのも本当だ。俺が相手になろう」


うえー、もう逃げていいっすか?


「ほっほっほ。また面白そうな事をやっておるのう。セラリア様私が見届けても?」

「ええ、お願いいたしますわ」


逃げ道が!?

これで逃げ出せば減俸物っすよ!?


鬼!! 悪魔!! 胸中途半端なんだよ!! ペタンコか大きいかのどちらかにしろよ!!


「…減俸」

「ごびゅ!? ごぶーーー!!(声出てた!? 横暴!!)」

「なら勝ちなさいな。簡単でしょう?」


もう後には引けないっす!!

さっさとぶちのめすっす!!

そういや、こいつが原因っす、絡んできたのがわるいっす!!


「それでは……両者。……始め!!」


セラリア姐さんが合図をだす。


「ゴブーーー!!(成仏しろやーーー!!)」

「ひっ!?」



結果、やりすぎで治療費給料から差っ引かれたっす。

……あんまりっす。

はい、スティーブのお話でした。

一応、冒険者に警備に噛みつくとこうなるってことを示すのもセラリアの目的ではありまた。

面白いのも半分以上ありましたが…。

スティーブのお財布に黙とうをささげます。

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[一言] セラリアってクソだね
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