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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
ダンジョン運営本格始動

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89/2218

第77掘:決闘だぁ!!

ユキの実力が!!

決闘だぁ!!





side:ユキ



「いいか、『始め!!』といったら開始じゃぞ?」


相手が頷く。


「ユキ殿もよろしいか?」


よろしくねーよ。


現在、冒険者ギルドの訓練場。

そこで俺は、剣を持たされて、決闘をさせられそうになっている。


「ぐ、具合が……」

「大丈夫ですよ。私の夫はどんな状況でも負けません。いえ、この程度の苦境を跳ね除けてこそ、私の夫でしょう」


セ、セラリアめ!!

逃げ道をどんどんふさいでくる。

あ、でもさ、これ負けたらセラリア結婚破棄できるんじゃね?


「…くだらないこと考えるんじゃないわよ。私にここまで言わせてるんだから」

「…へい」


まあ、セラリア自体は嫌いじゃないし、権力云々だってありがたい、今セラリアと縁が切れたらそれこそ問題になるか。


しかし、なんでこんな事になったのやら……。



原因はセラリアの夫いますんで、結婚してます発言が元。

そして、決闘騒ぎになったのは呼吸不全の冒険者たちが復帰した翌日の朝だ。

下見で昨日の内に戻ってきた冒険者は全員セラリアの結婚の話を聞いてる。

セラリアが公表しろといったのが原因な。

そこで俺に変な注目が集まってしまった。


「すまない、今よろしいか?」

「はい、何でしょうか?」

「貴方がセラリア様の夫のユキ殿であってるか?」

「はあ、まあそうですけど」


そう答えると、周りの冒険者も俺を見てくる。

上から下に、下から上に……。

やだ、男にみられても、女に見られてもこの視線は痛い!!

動物園の動物がストレスにかかりやすい理由がわかるわ。

多分ストレス感じないやつは露出狂だな。


「……失礼だが、剣など持ったことはなさそうだが」

「そりゃ、持つわけないじゃないですか。俺、文官ですから。そりゃ多少魔術は使えますけどね」


俺がそう言うと冒険者達は驚きの表情をして、嫁さんたちは……


「なにが、多少よ」

「…まあ使えることには違いありませんね。お兄さんの相変わらずな話術ですね」

「……詐欺というかルール違反に近いからのう」

「私達じゃ近づくこともできませんからね」

「だねー、あの時はひどかったよ。僕なんか一撃でぽーんって退場」

「……根本的な戦い方が違う」

「しかし、そういえばユキさんの近接戦闘は見たことありませんね」

「そりゃ、ユキさん言ってたじゃない。後方支援型だって」

「……後方支援が一撃で妾達を粉砕できるのか…」

「…一応、私達と同じかそれ以上の回復魔術の使い手ですから、間違っていませんけどね」

「「「……」」」


以前、防衛戦の時に訓練をしたんだ。

まあ、アスリン、フィーリア、ラビリス以外は戦闘はこなしたことがあるらしいが、それは常識の範囲でのことだ。

大規模の軍の戦闘はわけが違うから、なるべく個々の技能と意識をかえようと、俺がちょいと訓練をした。

その時、一度俺対嫁さんズでやったが、まあ一方的に俺が勝ってしまって、そのあと訓練したわけ。

それからみんな頑張って防衛戦では大活躍だったわけだ。

まあ、部隊を抑えられなかったけどな。


「すまない。文官と聞こえたが……」

「はい、間違いないですよ」

「……ちょっと待ってくれ。セラリア様いいでしょうか? 少しお聞きしたい事が…」

「何かしら?」

「セラリア様はご結婚相手は自分より強い相手でないといけないと聞いた事があるのですが?」

「その通りよ」

「…あ、えーと。失礼ながら、ユキ殿は文官でどう見ても、セラリア様に勝てる様なことはないと思いますが……」

「勝ったわよ。それに命も救われているわ。これ以上ないぐらいの夫だと思うわ」


セラリアが普通に答える。

まあ、訓練の時の事言ってるんだろう。

あの時しかセラリアとは勝負していない。

因みに、嫁さん達との勝負の詳細は、セラリア、デリーユが真っ向から向かってきて、トーリ、リエル、カヤ、ラッツがそれの支援。

ミリーとエリスは弓での牽制。

それを実験を重ねていた、障壁君14号を展開して全員足を止めた。


障壁君14号は多重構造防壁。

まず、魔力での物理と魔術の防壁を展開。

それを14層の厚さで展開して、間に緩衝材として純水を入れる。

表層には電流を展開して、触った物にショックを与えるモノにしている。


まあ、その14号でセラリアがまず痺れてアウト。

デリーユは耐えたが、そのあと無理して防壁を5枚ぶち抜いて、動けなくなった。

その間に、支援に当たっているトーリ達にその場に炎の爆弾を出現させて各自ぶっ飛ばした。

指定保護で致命的なダメージは入らないからやりやすいよね。


あ、炎を出現させるって酷い!!

って言われたけど、原理は簡単。

なんで、魔術は手に出現させて放たなければならないのかって所が肝な。

この世界の魔術は魔力を一か所に集めて、術、イメージで魔力の使用方法を決めて出すものだ。

つまり、イメージができるならだれでも魔術が使えるってこと。

魔力の量は個人の才能だけどな。

と、手に出すのはイメージしやすいからに限る。

でも、実際はランス系とかいった複数の矢を連射するものもある。

ここが俺が得た着想ね。

このランス系は自分の近くの空中にできるんだ。

つまり、何らかの方法で、その場所に出現させている事になる。

ストーム系も同じ。

自分の手からストーム系だすと自分と、仲間巻き込むよな。

でも、決めた場所に出現させている。

それで、調べた結果、分かりやすくいうと、ホースの様なものが術者から出現する場所に繋がっていた。

なんといえばいいのか、有線ケーブル的な?

まあ、そうやって特定の場所に自分の魔力を流して、溜めて、発動して魔術が出来上がるわけだ。

だから、俺は思った。


自分の近場に出現させる必要なんかなくね?

爆弾をプレゼントするほうが楽じゃん。


と思ったわけだ。

それで、トーリ達は爆発で全滅。

エリスとミリーはその場で降参となったわけ。


実際教えると簡単に皆扱えた。

獣人で魔力が少ないトーリやリエルもだ。

そりゃ、固形化して相手を突き刺す速度をだす魔力や、渦まいて持続的に魔力を消費しないからな。

ただ、その場で「ボンッ」なだけ。

まあ威力は魔力が少ない分小さいけどな。



「文官だが、セラリア様より強いということですね?」

「そうよ」


その冒険者がセラリアの発言を噛みしめるように聞くと、ゆっくり俺に向き直り……。


「ユキ殿一度手合わせを願いたい。セラリア様から勝利するほどの腕前、どうか見せてはいただけまいか?」


え、嫌ですよ。

なんで俺が手札さらさないといけないんですか。

俺は、何もできない文官スタンスを取っているのに!!


「すいませ…」

「ええ、構わないわ。夫が相手になりましょう」

「ちょっ!?」

「いいでしょう? あなたが私に相応しいか証明できるいい場面よ」

「……本音は?」

「貴方の接近戦が見てみたいわ。わざわざ昨日から焚き付けたんですもの。今更拒否はさせないわよ」


計算ずくか!!

セラリア恐ろしい子!!


「夫は魔術を使わずに勝負するわ!! だって、その程度で十分だから」


更にセラリアが煽る。

冒険者達が怒気に包まれる。


「ほう、魔術使わないと? それはありがたいですな」


怒ってる、怒ってますよ!!

ありがたいって顔じゃありませんよね!?


「ほっほっほ。その決闘、このグランドマスターが見届けよう」


うぎゃー、追加で面倒なのがきた!?


「魔術を使わないのであれば、このギルドの訓練場でいいですな」


ロックのおっさんがそう言って俺は訓練場で戦う羽目になったのだ。



「お兄ちゃんがんばってーーー!!」

「兄様は世界さいきょーです!!」

「お兄様の雄姿…カメラはないですか!!」

「お姉、落ち着いて。コールの機能を使えばいい」


ちびっこの声援も加わってさらに断りずらい。

ヴィリア達は今日子供用ダンジョンだからな、しゃーないやる気出しますか。


そう覚悟を決めると、グランドマスターの爺さんは嬉しそうに笑って手を上げ、振り下ろす。


「始め!!」


目の前の冒険者はどっしりと剣を構えたままこちらをしっかり見ている。

一瞬の隙も見落とさないって感じだな。

コボルトに追い立てられた冒険者達とはえらい違いだ。


「…なぜ私と同じバスタードを選んだのかは知らぬが……」


そう言って、一瞬で目の前に移動してくる。


「文官や魔術師如きに扱える剣ではないぞ!!」


移動と同時に振りがぶっていた剣が最大威力で俺に迫る。

ちょっと、これ受けると手痺れそうだよな~。

幾らレベルがあっても怖いものは怖いですので。


びゅん!!


いい音と共に、剣が右から左へ振りぬかれた。


「っつ!?」


相手は一気に距離をとる。

何で距離を取るのか、そりゃそうだろう。

なにせ、手ごたえがなかったんだから。


「ほほう。これはまたすごいのう」


グランドマスターが驚いた声を上げる。


「まさか、ユキ殿がここまでとは…」

「おや、ロックは知らんかったのか?」

「彼は魔術戦でしか今まで活躍してませんでしたから」

「それはそれは、恐ろしいのう。遠距離でなく近距離もか」


俺がしたのは簡単。

ステータスにものを言わせて、後退して少し剣線をずらした。

つまり受け流しだな。

武器ってのはその武器で攻撃手段が限られる。

戦いなんてのは基本手の読みあいだ。

俺の相手さんの場合はバスタードっていう大剣。

大剣は基本その重量で敵を叩き斬る。

つまり、ちまちま振るうものではない。

この世界はレベルとステータスで無茶はできるだろうが、バスタードで他の攻撃をするなら、まずバスタードをもってないだろう。

連撃で攻めるなら、片手剣や二刀流。

突き刺しを狙うならレイピア。

手数ならデリーユみたいな手甲を付けた格闘。


ま、言うのは簡単で実戦するのは怖いよね。

俺もそう思っていたけど、今までキユのレベリングとかで、散々、これ以上の化け物やトンデモ戦闘をしてきたので、俺の中では微笑ましい戦闘だ。

あ、勿論。トイレに行く振りして、旅館に戻って中身入れ替えて来たよ。


ごうっ!!

ぶんっ!!


そんな音が訓練場に響く。


「くそっ、何という反応。セラリア様のお話は嘘ではなかったのか……」


また距離を置いた相手がそうつぶやく。


「しかし、柳のように避けるだけでは勝てんぞ!!」

「柳ってあるのね」

「え?」


相手が目を閉じて吠える瞬間に近くに寄る。

瞬きのタイミング考えような。


ガキン!!


ここで初めて剣と剣がぶつかり合う。

あら、反応できたか、流石に高ランクですな。

そのままつばぜり合いに入るが……


「ぬぐぐぐっ…こちらが、力は上の様だなっ……!!」

「ぐぐっ!!」


いや、押し負けてますけど、うん演技です。


「押し切って終わりにしてくれる!!」


だから、そうやって力を入れるって宣言するなよ。


スルッ


そうやって相手はいきなりつばぜり合いの力を抜かれ、バランスを崩す。

勿論俺に倒れ込む形で。


「ガッ…!?」


鈍い音がして、その男は顔を天井に向けながら、仰向けに倒れ込む。

残ったのは、右手を上に掲げている俺。

つまりアッパー。

顎に綺麗に入りました。

…あ、顎砕けてねーだろうな。


「勝負あり!! 勝者ユキ殿!!」


「「「おおおーーー!!!」」」


そうやって周りは歓声をあげるが俺はそれどころではない。

男は白目でビクンビクンしてる。

俺が回復魔術を使うわけにもいかん、おれは多少しか使えないからな!!


「…ああ、素敵です。旦那様」

「ええい、頬染めてないで、さっさと治療しろルルア!! 不味いから、綺麗に顎入ったから!!」


そうやって、ルルアを正気にもどして、なんとかその男は事なきを得た。

因みに、顎砕けて、頭がい骨までヒビがあったのではとルルアは言っていた。


……こりゃキユと同じで手加減の訓練しないとな。

判明しませんでした。

ま、極一部ですが見れたと思います。

魔術のルールも少しは出せたと…。

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