落とし穴4掘:夜食の定番
俺は悪くねぇ!!
飯テロなので、ご注意を。
近場にあるといいね。
夜食の定番
side:カヤ
「……小腹が空いた」
現在の時刻22時。
晩御飯は19時に食べて、もうすぐ寝ようかという微妙な時間。
でも、少しお腹が空いているそんな状態。
「…お菓子っていう気分じゃない」
自分の部屋には多少のお菓子のストックが置いてある。
ポテチとかチョコとか飴とか…まあ、仕事中にも食べるけどね。
書類仕事やってると甘いものが無性に食べたくなる。
あれだ、仕事中食べてるから、多分飽きてるんだと思う。
しかし、私も贅沢になったものだ。
甘いモノに飽きたなんて。
「……しかし、欲求には勝てない」
私はふらふらと自室からでて、旅館の台所へ向かう。
この代表住宅の旅館となっているが、もう私達にとっては自分の家だ。
まだ空き部屋とかはあるが、もう大体間取りは把握している。
今向かっている台所だが、基本はアスリンとフィーリア、ラビリス、ユキが主に料理を作っている。
私達も料理は出来ない事はないが、正直、アスリンやユキのご飯の方が美味しい。
世の中適材適所という奴だ。
というわけだ、自分で作れないこともない。
そして大抵、お味噌汁とご飯はある。
適当におにぎりと海苔とかでいいかな?
「お?」
「ん?」
「ほぇ?」
台所への曲がり角で、デリーユ、リエルと出くわす。
なんとなく、二人も小腹が空いたのだろうと思うのだが……。
「……」
「……」
「……」
なぜか沈黙する。
うん、なにか自分から言い出しずらい空気ってやつ。
「おや、三人とも何をやってるんですか?」
「私達と同じじゃない?」
「ああ、良い匂いですもんね」
別の方向からラッツ、エリス、トーリがやってくる。
「…そうそう。妾も小腹が空いての」
「…僕も」
「…私も」
「なに、牽制しあってるんですか?」
仕方ない、そう言う空気になったのよ。
「と言ってもこの人数ですからね。いっそしっかり作っちゃいますか?」
「そうじゃのー、これで各自で作っても時間かかるしのう」
「皆は何食べるつもりだったの?」
「…冷蔵庫見てから」
「私もです」
「いい匂いをたどってきたんじゃないんですか?」
トーリだけがなにか違うようだ。
「…いい匂いって? 私はよくわからない」
「私も分かりませんね」
「妾もじゃ」
「まあ、トーリは狼人族ですから嗅覚が鋭いんじゃないんですか?」
「じゃ、台所で誰かが何か作ってるかもね。それを僕は分けてもらおうっと」
そうわいわい喋りながら、台所へ入ると……。
「あら? 貴方達も呼ばれたの?」
「どうも皆さん」
中には、セラリア様とエルジュ様がいた。
あと、護衛のオリエルとクアルも。
「呼ばれた? どういう事でしょうか? 私達は…」
ラッツがセラリア様の質問に答ええようとすると……。
「あー、みんなこっちです!!」
「兄様もお待ちですよー!!」
「…準備できたわ。って全員いるじゃない」
そこに、台所の変な扉からちびっこ三人組が出て来た。
「…まあいいわ。ユキも喜ぶでしょう。こっちにきて」
ラビリスがその変な扉の奥に消えていく。
私達もそれに続くと、中には酒屋みたいなカウンターとテーブルが数個置かれている部屋があった。
……あと、なんか獣臭い。
けど、食欲をそそられる?
「おお、来たかセラリア…ってみんな勢ぞろいだな。台所って事は、小腹でも空いたか?」
ユキがあっさり、私達の心情を言い当てる。
「大当たりです。で、何ですかこの香りは?」
「まあ、それはカウンターに座ってからだな」
「美味しいんですよー!!」
「兄様がまた頑張ってました!!」
「…変に凝るのよねユキって」
とりあえず、言われた通りそのカウンターにみんな座る。
「まあ、多いがこの前と同じ失敗はしない!! ラーメンてのはスープを入れて麺を湯がくだけだからな!!」
ユキはそんな事をいって素早い動きで、なんか色々やっている。
「ほい、お待ち。豚骨ラーメンだ。トッピングはネギとチャーシューだけな」
「え、コレってラーメンですか?」
「えーと、カップラーメンってやつ?」
「ああ、お湯入れて作る?」
「なんで、わざわざ手間かけて作るの?」
皆いう通り、ユキがわざわざラーメンを手作りする理由が分からない。
簡単に美味しいカップラーメンがあるのに……。
「えーい黙らっしゃい!! カップとは違うのカップとは!! 生の味を喰らうがよい!!」
なにが違うのだろう?
どれも同じラーメンじゃ……。
ずずっ。
そんな音が響く。
「っつ!?」
「なんと」
「わぁ」
「…美味しいわ」
「へえ、こういう食べ物もあるのね」
「新鮮ですね。ちぃ姉さま」
美味しい。
けど、カップとは違う別のおいしさ。
何だろう、手作りだからか?
でも、手は止まらない。
私は箸を動かして食べる。
あ、フォークを使ってるのは半数以下。
ユキが使ってるのをみて皆便利そうに感じて練習して、使える様になってる。
「さて、スープは飲むな。ここから本番だ」
「へ?」
ユキの発言にみんながスープを飲むのを止める。
何でだろう、麺がなくなればもう終わりなのに。
「はいよ。替え玉、堅麺!!」
そういって、ゆでた麺を皆のスープだけの器に放り込んでいく。
「これはっ…ラーメンの御代わり!?」
ラッツが驚いたように目を丸くする。
ああ、そうか、これでまた食べられるのか。
「ふふふ…どうだ凄いだろう?」
「流石お兄さん。しかし、甘い!! 新しくゆでた麺は水分を含んでいる!! それでスープが薄くなっては味が落ちる!! それでは本当の美味しさはでませんよ!!」
なるほど、ラッツの言う通りだ。
少し薄くなった気がする。
「甘いのはラッツだ!! そこのラーメン醤油ってのがあるだろう。それを自分の思う量いれてみな」
ユキが言った通り、カウンターの奥に均等間隔で何か置いてある。
これかな、ラーメン醤油って?
自分が思うまま入れて、そして食べてみる。
「あ、味が濃ゆくなってる」
「ぬぐっ、しかし、これではお兄さんが出したラーメンの味とは違うのでは?」
「そこが甘い。いいか、替え玉というのは、替え玉してからが本番だ。どの程度味が薄くなるか、そして食べている側がどのような調整をするか、それがこのラーメンの醍醐味だ!!」
「なんと!? 相手に味付けを任せると!?」
「ああ、まあスープの基本は決まってるから、そこから変な逸脱はしないけどな。目の前に胡麻とか胡椒とかもあるだろう? それで色々自分でトッピングするのも醍醐味なんだよ」
ラッツとユキは話し込んでるけど、そんな事はどうでもいい。
美味しい。
「替え玉」
「はいよ」
「こっちも」
「へいへい」
そんな感じで私達は替え玉をして……。
「お腹いっぱい……」
「小腹満たすだけのはずが……」
そんな感じで、みんなカウンターで突っ伏していた。
「そう言えばミリーは? お兄さん知りませんか? 彼女がこんな食のイベントに出ないなんて……」
そういえばミリーがいない。どうしたんだろう?
「あ、気を付けろ。替え玉ってなお腹壊しやすいんだ。ミリーも食べ過ぎて、トイレと仲良くやってるだろうよ」
ああ、もう来てたのね。
ギュルルル……。
お腹…いたい。
とりあえず。本場九州は博多の替え玉発祥の元祖長浜のお話をば。
あそこは、特に美味しくありません。
けど、時間帯によってスープの味が変わります。
そして、替え玉ですが、他県では「ハリガネ」って言い方をしますが長浜では聞きませんね。
福岡の替え玉は基本
生>バリ堅>堅>普通 です。
多分バリ堅がハリガネじゃねーかなと思う。
とりあえず、ラーメン食ってきます。




