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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
ダンジョン出張

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第59掘:冒険者区始動

冒険者区始動





side:ミリー



昨日私は、再会した家族と一緒にすごしました。

これは、奇跡などではなく、ユキさんがこのダンジョンを人々の為に使うといったおかげです。

それが無ければ、私と家族は一生顔を合わせることなく、奴隷としての人生を過ごしていたでしょう。

彼は、私を救い、家族を救ってくれました。

でも、優しい彼は、なにも見返りを求めてはいません。

いえ、彼曰く、もう見返りはもらっているというのですが、私からすればまだまだ足りません。

貴方は、この暖かさを皆に分け与えた分、幸せにならないといけないんです。

いつも貴方は、気が付かないところで寂しそうにしています。

その原因は何なのか、今まで分かりませんでしたが、昨日家族と過ごしてわかりました。

ユキさんは、心のどこかで家族を求めています。

それを自身でもわかっているのか、私達を代わりにしないように、自分の心を鎖でガチガチに固めているんです。


「おはよう、ミリー。どうする? このまま家族と一緒にいてもいいんだぞ?」


訓練所で朝会ったユキさんは私にそう聞きます。

やっぱり貴方はとても優しい、昨日、お仕事より、大事な事だといって背中を押してくれた。

そして、今日も私を気遣うその暖かさ。


だから私は決めました。

代わりではなく、本当のユキさんの家族になると。

不老だろうが、伝説のダンジョンマスターだろうが関係ありません。

貴方は私が周りの皆が、絶対に幸せにするんです。

貴方はそれだけの事をしたんです。

もう、寂しい思いなんてさせません。

貴方が、くれたように、私も全力でユキさんを愛します。

愛して、子供を産みます。


「そうか、これからもよろしく。ミリー」

「はい」


ああ…エルジュ様、ルルア様、貴方方を恨んでいるのは今も変わりません。

しかし、それが無ければ私はユキさんと出会うこともありませんでした。

亡くなった弟には申し訳なく思うけど、ユキさんと離れる方が私としては嫌でした。

だから見ていて、私が選んだ人がどれだけ凄いかを、私がどれだけ幸せなのかを。

ダブリクが、それを見てきっと笑っていられるような、生き方をしてみせるから。


「よし、ミリーも合流したことだし。今日の予定を話すぞ、今日は新たにきた移住者300名の訓練を開始する。妖精族のほとんどは、もう各々の仕事場に行ってるから、そこら辺はもう問題ないだろう。妖精族に関してはナールジア、長老がまとめてくれているし、何かあればすぐに連絡もある」

「はい、任せてください」


ナールジアさんが頷く。


「俺達は、300名の講義をして、今まで妖精族にやったように、ここになれる為の訓練をしてもらう。でも、人数が人数だ、前のように上手くいかないことも多々あるだろう。でも、焦らずじっくりやるんだ。今日は特にな、身分証の発行をするから、間違って発行漏れがあればその人が困ることになる。早さより確実さを大事にな」


そう言うと、皆頷きます。

それは当然、身分証がないとほとんどの施設を利用できません。

それどころか、不法侵入者として処分される可能性もあるんです。


「と、ミリーは今日別行動な」

「え?」

「ミリーは昨日、冒険者ギルドの面々と会わなかったか?」

「はい、元同僚達です。彼等は移住者ではなかったのですか?」

「いや、移住者には違いない。だけど、彼等の仕事はもう決まってる。まあ、合わなければ別の職に就いてくれても構わないんだが、彼等はギルド職員希望ということでついてきたんだ。もう、彼等の身分証の発行は済ませているから、ミリーは冒険者区の代表として、彼等を率いて冒険者区の整備を進めて欲しい。餅は餅屋ってな、俺達が下手に口をだすより、上手くまとめてくれるだろう。まあ、報告書類は作って貰わないといけないが」


「…はい」


ちっ、ユキさんの傍にいられないなんて…。

今は、自分の前職が恨めしいです。



そんなことがあって、私は元同僚達を連れて冒険者区へと向かっています。


「いやー、ミリーも無事でよかったよ」

「そうね。キナも無事でよかったわ」

「でもさ、ミリーが私達の上司ってなんか変な感じ」

「おいおい、一応言っておくが、ミリーは俺よりも立場上だからな。ちゃんとした対応しろよ」

「うぇ!? マジ!?」

「ええ、本当よ。でもここの運営目的は聞いたでしょう? これから皆の手を借りて皆で作り上げていくの、大事なのは意見よ。変に威張って、皆を委縮させるつもりは無いわ。ギルドマスターもそのようにしてくれると嬉しいです」

「しかし、ざっと目的は聞いたが、区画をすべてこちらに任せるとは。そんな事をしていいのか?」


ギルドマスターは不安があるようにこちらを伺いいます。


「マスター何が不満なんですか? マスターだって、現場は現場のやり方があるって愚痴こぼしてたじゃないですか。毎度領主様との会見も揉めてましたし」

「それは、そうなんだがな。揉めていたのはお互いの主張があってこそだ。でも見ず知らずの俺らに区画の運営を任せるとはな。普通なら、ギルドの土地代をいただいて、運営費もこちらもち、街を弄る権利なんて普通はないぞ? そして、この街は異常だ。キナお前だってわかるだろう? 風呂や、嗜好品。見る人がいれば…いや普通の人だってわかる、ここは宝の山だ」

「そうですけど、何が問題なんです? 便利だし、うれしいだけですよ?」

「それだけじゃない、下手に区画を任せるということは、俺達はそんなつもりはないが、ミリーや他の代表を殺したり、人質にしていうことを聞かせて、財を自由に稼ぎ出せたりするんだ」

「それは…」


ギルドマスターはユキさんが言っていた問題点を言ってくる。

それについても、しっかり対策済みなんですけどね。


「ギルドマスター。それについては、丁度冒険者ギルドに使う予定の建物につきましたので、訓練場で久々に私に稽古をつけてくださいな。それでお分かりになると思います」



「はぁっ!? で、でたらめだな…その指定保護だっけか? こっちの攻撃はすべて通らないのに、そっちの攻撃は通るとか」

「まあ、私本来のレベルがありますので、逃げられればギルドマスターを倒すことはかないませんけどね」


それから、私は指定保護以外の、ダンジョン情報の把握、武器の所持の限定、使用の限定、各所の検問などを説明していく。


「なるほどな、実質、各代表をどうこうしようってのは無理ってことだ」


でも、ユキさんの言ったように誘拐なんて抜け道はあるんですけどね。


「では、皆席についてください。この冒険者区の説明を行います。言っての通り、ここは皆で作る街です。私は皆の意見を聞きます、というか、皆と一緒に頑張っていきたいと思っています。ですので遠慮なく言ってください」


そして私は、ここの冒険者区の地図をコピーしたものを皆に渡して、説明をしていきます。

わざと、宿屋、商店、管理、治療と区を分けているなど。


「なるほどな。なんで不自然に建物が離れていると思ったが、これから、色々発展や、治安維持の為の区画わけか」

「はい、お昼は「管理区」私達がいるギルド「商店区」は食べ物や冒険者の必需品や武具を扱うのに人が集まり。夜は「宿屋区」「商店区」の居酒屋に人が集まります」

「そして、警備は魔物を使役してか、素晴らしいな。人件費がかからないのがいい」

「それはおいおい、人手に変わっていきますよ? 魔物は本来このダンジョンの防衛、つまり軍部なんですから」

「それはそうか。ここら辺も、労働、雇用に使うんだな」

「ええ、これから、人が集まれば、私達が自ら運営を行うのではなく、土地を貸し出して、商店や宿を開く商人も多数くるでしょう。それらの管理も私達、冒険者ギルドを主体で行っていこうと思っています。そうですね、冒険者ギルド兼、冒険者統括所といったところですか。しっかり報告書を提出してはもらいますが」

「うえー、なんか凄い事、色々言ってる。ミリー凄いねー」


キナは天井を向いて、疲れたように言っている。

私もユキさんや、エリス達と一緒に勉強しなければキナと同じようになっていたでしょう。


「なんでミリーを代表と、思いはしたが、なるほど。かなり色々学んだようだな。セラリア様に感謝というところか」

「では、次の説明へと移りたいのですが、その前に、この知識を教えてくれたのは、ユキさんですのでそこの所はお間違えなく」

「え、あの代表の人? セラリア様を颯爽と助けた王子様?」 

「王子様?」

「そうじゃない!! あの陰謀渦巻く、お城からお姫様を助け出したのよ!! で、そのユキさんとはどういう関係なの?」

「私はユキさんの側室よ」

「うわー、玉の輿じゃない!! うらやましい!!」

「今の言葉は悪気がないから見逃すけど。私が、権力やお金の為に彼になびいたみたいな言い方したら次はぶっ飛ばすわよ」

「冗談、冗談。でも私はいけそう?」

「それは何ともいえないわ。キナがそのつもりなら止めるつもりもないわ。でも、彼の権力やお金が目的なら私を含めてセラリア様や他の側室が絶対阻止するわ。キナも聞いていたでしょう、ここの運営目的を。私利私欲で権力を手に入れようとするなら許さないし、街の役にたたないと」

「うーんそう言われると、よくわかんないや。ユキさんは悪い人には見えないけど、すべてを捧げてってミリーみたいにも思わないしなー」

「それは、会っても間もないから、なんとも言えないでしょう。ここでじっくり頑張ってればわかってくるんじゃない?」

「そっかなー。私が本気でユキさんを愛したいって言ったら協力してくれる?」

「それは、その時にならないと分からないわ」

「ぶー、この幸せものめー!!」



そんな事をしていると、お昼を回ったのでみんなで、居住区のスーパーラッツへお弁当を買いに行くことにする。

あ、階層ごとにとてつもなく距離が離れているけど、ご心配なく、転移トラップを利用して、各階層の要所、区画に、各区は繋がっています。

検問に引っかからない限り、時間も、距離も問題はないんです。


「こ、こりゃすげー」

「う、うわー、なにこれ、なにこれ!?」


連れて来た皆は初めての大型店舗を見て驚いています。

いえ、この程度の広さなら、見たことはあるでしょうが、中身が段違いですからね。

自動ドアですら、びくびくしていましたから。

思わず笑ってしまいました。

ユキさんはよく、耐えていられましたね。

やっぱり、ユキさんは凄いです。とても優しいです。

無知を笑うのではなく、教え導く。

大事なのは、嘆くことではなく、進むことだと。


今日は、まだ300名の移住者は訓練所での食事で、まだこちらを利用するのは二日程先です。

今いるのは、お昼休みできている妖精族のみなさんです。


「いらっしゃいませー」

「あ、昨日きた移住者ですね。私ナナといいます。これからよろしくお願いします」

「あ、これはご丁寧に。冒険者ギルド職員のギルドマスターを務めている。ロックといいます」


ギルドマスターを始めに、皆、ナナと挨拶をしていきます。


「あー、なるほど。ラッツさんが言っていた、冒険者ギルドの方々ですね。ということは商店の説明はミリーさん?」

「ええ、まだしていません。よろしければお願いできますか?」

「はい、お任せください!! では、スーパーラッツの説明をさせていただきますね」


そうやって、ナナがスーパーラッツ…というか全体の商店の説明を行っていく。

レジを通さないと、パラライズが発動するので、盗難の可能性がないということ、だからカゴに適当にいれて持っていけばいいだけということ、等々。


「ねぇねぇ!! ミリーこれ何!? 冷たいよ!? 凍ってるよ!? どう食べるの!?」

「キナ落ち着いて、それは冷凍食品っていってギルトにも、自宅にもあると思うけど電子レンジで温めて食べるものなのよ」

「へー!! じゃ、私これと、これと……」

「こら、キナ!! これから仕事なんだから、食べる分だけにしておきなさい!!」


そんなやり取りがあったのですが…。



「……すまん」


ギルドマスターことロックさんを代表に、キナ以外の全員が私に頭を下げている。

両手には、袋一杯の買い物。


「はぁ…とりあえず、冷凍食品や冷蔵保存したほうがいい物がありますので、急ぎ足でギルドに戻りますよ。あそこに大型冷蔵庫がありますので」


慌てて私達はギルドに戻り、冷凍庫と冷蔵庫に買ってきたものを、ぶち込みました。


「うわー、これ美味しいんですけど!!」

「このウィスキーっていう奴、凄いキツイな、でもそれがいい!! ミリーも好きなんじゃねーか?」

「あーもう!! お酒なんか飲まないで下さいよ!! 仕事中ですよ仕事中!!」


ああ、これは今日さっさと、住民区の各自の部屋に案内しとけばよかったかな…。

このままじゃ、ギルドで雑魚寝ですよ…。

泊まり込みようの部屋を使うしかないですね…はぁ、ユキさんにどう説明したものか……。


まったく、お酒を飲むなんてダメですね!!

ミリーの視点で、冒険者区が動き始めます。

そしてダンジョン制作も始まります。


ミリーにお前が言うなって言うなよ?


あ、悲劇ネタですが、この話一回全部消えています。

4000文字程書いたあと消えました。

今書いてあるのは、復元と色々変更した内容です。

やる気をなくしましたがなんとかここまで、やりました。

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