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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
新大陸 学府編

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298/2218

第246掘:だから、無駄

学長最後のあがき、そして、嫁さんの進撃

あ、今回のファンファン条件は

「これは酷い」と「フルボッコ」な。


うん、勘違いしてるとこまるけど、この執筆速度は普通ではなりません。

この速度を期待しないでください。

あと、10日にはみんなが本を買ってくれたおかげで、執筆用のPCを買いにいけます。

それの調整で、10日、11日は更新できないと思いますのでご容赦を。

では、お楽しみください。

だから、無駄




side:ポープリ・ランサー ランサー魔術学府学長



「あーん」


ガリ、ガリ……。


私は今、とっておきの飴玉を口にほうばって、かみ砕いている。

普段はこんな事はしない。

だって、飴玉、甘いモノは学長の私からしてもそこまで安いものではないのだ。

まあ、安い飴玉は存在するが、今私が食べているのはとっておきの飴玉。

職人が丹精込めて作った極上の飴玉。

この飴玉1つで、鉄の剣が1つ買える。

まあ、これでどれだけこの飴玉が高価かわかる。


「ポープリ様、そんなに飴玉をかみ砕いては、勿体ないのではありませんか?」


で、その高い飴玉をかみ砕いている私に話しかけるのは、エルフ族であり、この魔術学府で、副学長を務めるララだ。

この大陸では亜人は確かに不遇の扱いではあるが、全部が全部そうではない。

亜人はもともと、人より特化して色んな分野に対して性能が高い。

だから、遥か昔から、人と仲のいい亜人はいる。

まあ、亜人だから、その身を守るために、貴族の位を貰って、特殊部隊として運用されることが多い。

そうすれば、国としても亜人を管理できるし、戦力としても扱えるから便利なのだ。

このララもどこかの国の貴族で、魔術が非常に長けているから、この学府に来た時に引き抜いて片腕として働いてもらっている。


「……うるさいな。いいんだよ、そうでもしないと、辺りを吹き飛ばしそうだからね」


ララの説教臭いセリフにいら立ちを覚えてしまう。

クソ、なんだよあの男たちは……。


ガリッ。


そして、思いだす。

今日の昼、のんびり安物の飴玉を舐めていた時に、学生であるサマンサが学長室を訪れたのだ。




「ふふーん、そろそろ、編入生の件を伝えて準備しとかないとね~」


私はその時、十分にまだ時間があると思って、編入生の件を伝えていなかった。

だが、それは間違いだったのだ……。

部屋がノックされ、書類の準備をしながら、サマンサを受け入れた。

彼女はローデイ国の公爵令嬢で、魔術の腕もかなり筋がいい、この学府の学生で10本の指には入るだろう。


「どうしたんだい? 決闘の申請かい?」


この学府は実力主義だ。

まあ、研究は研究科で別にあるけど、魔術を使う者は戦いでいかに魔術を使えるか、つまり戦力として使えるかが評価につながる。

だから、研究科とは違って、魔術科は魔術の実技、及び、決闘のシステムで順位、成績をつけている。

で、このサマンサは結構武闘派で無詠唱もこなす期待のルーキー。

だから、決闘の申請かと思ったんだ。


「いえ、学府前に不審者がいましたので、追い払ったのですが……」

「ああ、そりゃご苦労さん。で、問題はないと思うけど、報告は聞いておくよ」


この学府は実力主義なもので、一般学生でも下手な兵士より強い。

だから、サマンサみたいに、個人で不審者を見つけて追い払うのはたまにある。

なぜたまにというと、ここは魔術の才能がある人があつまるので、戦力的には一国の軍隊と同等と言われている。

そんな所に侵入する奴は余程の自信があるか、ただの馬鹿である。

ということで、一般の警備兵はいるにはいるが、とても少ない、建前ってかんじだ。

間違って、お偉方を追い返したりってのはない。

だって、お偉方はお偉い風に見えるし、どうせ拒否されたら揉めるから、すぐにわかる。

だから、追い払ったということで、ただの馬鹿だと思ったんだ。


「傭兵の様で、黒髪の男性2人ですね。まだ、若いようでした」

「ふーん。恐らく、魔術を使える仲間でも勧誘しに来たんだろうね。ここの生徒を引き込めれば、戦力としては十分だし、箔もつくしね」

「ええ、私もそう思いましたので、魔術を展開して決闘を促したら、あっさり引いていきました」

「ははっ、サマンサちゃんも意地悪だね。君に勝てるのなんてそうそういないだろ。と、報告ありがとう。問題なさそうだし、もう下がっていいよ」

「あ、すみません。不審な点がありまして、その2人はなぜか編入生と名乗っていたのですが、そんな話は聞いていませんので独断で帰したんですが、手紙を渡されまして、学長に届けて欲しいと」

「ふぁ!?」


なんですと!?

もう、ジルバとエナーリアの編入生が来たの!?

ええ、なんでそんな貧相な2人がくるわけ!?

いや、落ち着け、それが本当に編入生なわけがない。

まずはその手紙を見よう。


「これです」


そう言って、サマンサちゃんから渡された手紙は真っ白な紙で包まれていて、その封を解くと、中からジルバとエナーリアの蝋封が付いた手紙が出てきた。


やっばー!?


慌てて、その手紙に目を通して確信した。

嵌められた。これじゃ、学府が一方的に悪くなる。

普通こんな手段を取ってくるかい!?


「あの、問題でも?」

「サマンサちゃん、その2人のこと詳しく教えて!!」

「え?」



で、サマンサちゃんにことの重大さを教えて、何とか大きな問題にならないように、可愛いサマンサちゃんと私の二重作戦で穏便に済ませようとしたんだけど、見つけた男2人がとっても論外だった。

というか、完全に手のひらで遊ばれた。

私が穏便に済ませようとした作戦を逆に利用されて、更に学府が不利な状況に陥ってしまった。

まあ、最後に仕返しはしたけどね。


「しかし、報告では学長がまたウソ泣きして帰ってきたと報告がありますが、また無茶を通したのではないでしょうね? 後始末が大変なのでやめてほしいのですが」


そう言って、ララが睨む。

はぁ、無茶を通したのならいいんだけどなー。

無茶を通されたんだよなこれが……。


「ウソ泣きじゃないよ、マジ泣き。完全に言い負かされた。冗談抜きで不味い状況なんだよ」

「……本当に、この報告は事実なんですか?」


ララは目を真ん丸にして驚いた表情をしたあと、すぐに真剣な顔つき成る。


「そうだよ」

「……なら不味いどころじゃありませんね。許可を出した停戦関連書類の運搬者、及び編入生の門前払い。そして、このジルバ陛下、エナーリア猊下連名の苦情文。ついでに、それを有耶無耶にするためにでた学長が、逆に大勢の前で言い負かされて、更に状況が悪くなっています。……下手したら、この学府が潰れますよ?」

「わかってるよ。だから、明日までに編入生の迎え入れの準備を済ませて、もう敗北は決まってるけど、少しでも、改善をしないといけない」

「ですね。で、そう理解しているのなら既に?」

「うん、追い返されたけど、最後に彼たちの連れらしい女性たちの前でマジ泣きしてやった。で、この女性たちがねらい目だ」

「どういう事でしょうか?」

「彼女たちを明日の交渉の席に引っ張り込む。あの男2人には口で勝てそうにない。だから、口が回りそうにない彼女たちを相手にして優位に立つ」

「それは、賭けになると思いますが? それほど頭のいい交渉役の補佐でついて来ている女性が頭が悪いとは思えないのですが」


うん、ララの言う通りだ。

でも、これには確証があった。


「私の使い魔は知ってるよね。それで、何か有利な情報はないかと見張りをさせたんだ」

「……また趣味の悪いことを。ばれれば更に状況が悪くなりますよ?」

「まさか、使い魔は猫だし、ばれることはないよ。この大陸で使い魔って言う斥候を使役できるのはほんの一握り。僕やララの様な魔術師だけだよ」

「はぁ、まあいいです。で、その見張りの結果は?」

「ああ、彼女たちは、私を泣かせた男2人を説教してたんだよ。深夜1時まで確認したかな? これは私に有利だと思うだろ?」

「確かに、同情を誘って畳みかけてしまえば、それほどひどい条件を付けられるとは思えません」

「だろ、だから、明日ってもう今日か、彼らが来て、彼女たちがいないなら、謝罪がしたいので、関係者全員連れて来てくださいって言ってくれ。サマンサちゃんはあの失態で彼らには強くいえないだろうしね」

「なるほど、分かりました。では、もう遅いのでお休みになってください」

「この飴玉を食べたら寝るよ」


そう言って、もう1つの飴玉を放り口の中でかみ砕く。


「……ふん、こう忙しい時に色々重なるよね」




side:トーリ



私たちのコール画面には、そう言って部屋を出るポープリさんが映っています。


「……あのクソ女泣かす。またマジ泣きさせる」

「……同意、僕たちにユキさんを非難させる役をやらせて、更に僕たちを頭悪いとか」


カヤとリエルは後ろで炎を燃やしている。

多分私も同じだと思う。


「霧華、監視ご苦労さん、戻ってきていいぞ」

『はっ、戻ります』


ユキさんはそう言って、私たちを見ます。


「ということだ、相手さんは俺の嫁さんたちを目標に定めた。学府内での学長との勝負は任せたぞ」

「任せてください。ユキさんに正座をさせて、意味もない説教を数時間にわたってさせたあのクソ女を完膚なきまでに叩きのめします」


エリスさんが即座に答えます。


「……今日は私がユキさんとの番だったのに。コロス」

「「「ひっ!?」」」


私を含めて、怒りを燃やしていたリエルとカヤもエリスの光の無い目をみて一歩引きます。

いや、ユキさんを叱るような演技をさせたあの人は許せないけど、えーと、殺すのは……。


「落ち着けエリス、殺しちゃダメ。今度ちゃんと埋め合わせするから。だから、落ち着いて?」

「わかりました。四肢を切り落とすだけにします」

「いや、分かってないからね!!」


とまあ、こんな感じで、あのちびっこ学長が小細工を仕掛けて来たので、こっちも小芝居をしたんです。

相手はこれで私たちを与しやすいと勘違いして、明日の交渉で私たちを狙ってくるでしょう。

ま、全部手の平の上なんですけど。

私たちのユキさんに面倒かけたんです。

マジ泣きしてください。

慈悲はない。

素直に謝れないって駄目ですね。



さて、そんな事で、準備万端で、学府へ乗り込みました。

ポープリさんの予定通り、私たちは全員まとめて、会議室らしいところへ通されました。

分かりやすいぐらい、好待遇で。

お茶はこの大陸ではかなりものですし、お菓子も同じです。

でも、ウィードには、ユキさんには及びませんけどね!!


「どうですか、自慢の紅茶とお菓子は」

「ええ、美味しいですね」


エリスが予定通りに、真っ先に話に乗る。

一応全員が受け答えできるけど、エリスが一番弁がたつし、今回の件で一番キレてるから、エリス主体でいくしかなかった。

……殺さないよね?

……学府をつぶさないよね?


「そうか、それはよかったよ。君とは仲良くやれそうだ」

「ええ、ソウデスネ」


ひぃぃぃ、エリスがカタコトになってるよ!?

目が笑ってないよ!?


「で、仲良くなったついで君に相談があるんだけど、いいかな?」

「何でしょウカ?」

「私たちは昨日君達にたいして失礼なことをしてしまったんだ。で、謝罪の1つとしてこうやって美味しい紅茶とお菓子を振る舞ったんだけど、他にどうすればいいと思うかな?」


あー、わざとこの会議の場でエリスから言質を取って、交渉を有利というか、条件をエリスに決めさせるつもりですか。

エリスが万が一、考えなしで、もういいですよなんて言えば、それが通る。

いや、流石にもういいですよで終わりはないだろうけど、個人的に美味しいご飯が食べたいとか、強い魔道具が欲しいとか言ってしまえば、即座に準備して渡して。

これで、君達の要求は呑んだというわけだ。

まあ、あからさまに不安そうな顔してエリスの顔を覗き込んでるけど……。


「そうですね。好きに言って構いませんか?」

「うんうん、構わないよ。好きなことを言って、希望に沿うようにするから」


うわぁ、エリスにそんなこと言っちゃ……。


「では第一に、今回の双方で確認をとり、許可をだした相手、つまり私たちへの不当な対応をしたことを、学府が同盟、あるいは交易をおこなっている全各国に対して宣言してくだい」

「へ?」

「第二に、不当な扱いをされたジルバ、エナーリア両国に対して謝罪を行うこと」

「え、え?」

「第三に、今回の問題を起こしたことに対しての解決策を明示すると共に、再発を防ぎ、対応を怠った現学長に対してのなんらかの処罰を行う事」

「ちょっ!?」

「第四に、直接的に被害を受けた私たちに対し、誠意ある謝罪を行い、その謝罪内容を各国に知らせる事」

「ま、まって、すとーっぷ!!」


そして、ようやく正常に戻ったのか、慌ててポープリさんが止めます。


「何でしょうか? 好きなことを言ってるだけですが?」

「あ、あー、えーと、何かこう、個人的に欲しいものとかないかなーって?」


必死に、エリスの個人的に欲しい物を聞きだして、それを条件にしたいんだなー。

まあ、ユキさんが言ってたより、5割増しぐらいの強烈な条件言ってるし……。

もみ消したい学府側としては絶対に飲めない条件だよね。


「ああ、なるほど。ありますね」

「そ、そうかい!! それを言ってくれ!! 用意するよ!!」

「ありがとうございます。流石ポープリさんですね」

「ああ、任せてくれ!!」


ああ、駄目だ、ポープリさんエリスの目は狩る目になってるよ。


「この条件を飲むだけでなく、個人的に私たちへの謝罪として、別件として用意してくれるのですね?」

「え、あ、その……」

「あら、まさか、個人へのプレゼントを、今回の大事に対しての謝罪にするつもりだったんですか?」

「ま、まさか、個人的に別件で用意させて、も、もらうよ」

「そうですよね。そんな問題を有耶無耶にするようなことをするわけないですよね?」


ポープリさん、さっさと謝るんだ。

じゃないと、全てむしり取られるよ!?

もう、ユキさんとか、白目向いてるし、私から見てもやりすぎってわかるよ!?


「あ、でもちょっと個人的な希望が大きいので、条件を緩和しないと釣りあわないかもしれませんね」

「ほ、本当かい!? その個人的希望はなんとか叶えるから、条件を緩和してもらえるかい?」

「ええ、勿論です。だって私たちお友達じゃないですか。そうでしょう?」

「うん、うん、友達だよね!!」


その時のエリスの微笑みの写真は後に子供たちのお仕置きへと使われるのでした。

それぐらい、怖かったんだよ。

で、その個人的な希望は、もう先に言った条件を飲んだ方がましだったと言うレベルでした。



そうして、一方的な交渉会議は終わり、学府を離れることになったのだけど……。


「今日はいい交渉をまとめられました。ありがとうございます」

「あ、ありが、ひっく、ござい、ましゅ」


この通り、学長は既にマジ泣き。

副学長のララさんも余裕の笑みは消えて、顔を引くつかせています。

もう、エリス以外は笑っていません。

学長さんに対して酷い憐れみの視線を向けています。


「では、明日からよろしくお願いします」

「う、ううっ、よ、よろ、ひぐっ、します」

「ああ、宿の時のウソ泣き、同じ女に通じると思ってたのが間違いでしたね」


ああ、止めも刺すんだね……。


「ふえぇぇぇっーーーん、ララーーー!!」

「が、学長、お、落ち着いてください!! ま、まだ見送りの最中です、こ、こんな不作法をすれ……ば」


それを見てエリスが微笑んで言います。


「明日、この落とし前の話をしましょう」


そう言って、学府から離れていくのでした。

残されたポープリ学長は更にマジ泣きして、ララ副学長は完全に固まっていました。

相手が悪すぎたんです。

エリスはウィード庁舎で働き、主に会計や戸籍管理だけど、それ以外も幅広く手伝いが出来る超万能なんです。

無論、交渉もその1つ。

ユキさんから色々教わってるしね……。




エリスが通した個人的希望


・私たち編入生の行動を妨害しない。

・希望に応じて、魔術研究内容を開示する。

・希望すれば基礎授業を免除する。

・半年の滞在期間中の必要費用は全額学長が負担する。

・学府の蔵書すべての閲覧を許可する。

・編入生たちが自由に使える部屋を設ける。

・編入生と在学生のトラブルは学長自らが向かい解決する。

・開発した魔道具の使用を許可する。


その他色々……。



まあ、ぶっちゃけ、奴隷だね。

うん、エリスは怒らせちゃいけない。



ハイボール戦法。

最初に受け入れられない要求をだして、次に本命をだして、これなら受け入れられると思わせる交渉術。

エリスは怖いぜ。


さあ、ようやく、学生としての日々が始まるぜ!!

後方はがっちり固めたから安全さ!!

ロリ婆の涙で。

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[一言] 人でなし!鬼!悪魔!エリス!
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