落とし穴36掘:そこに山があるから 概要
はい、最近忙しくて更新が遅くて申し訳ない。
替わりに、活動報告でキャラデザを上げているので、そこら辺も見てくださいな。
さて、今回は落とし穴の長編だ!!
内容は見てのお楽しみ。
では、どうぞ。
そこに山があるから 概要
地球ではこんな話がある。
ある登山家に問うたのだ。
「なぜ、あなたはエベレストに登りたいのか?」
そして、その登山家はこう答えた。
「そこにエベレストがあるから」
日本では「そこに山があるから」と、誤訳されて伝わっているが意味は同じだ。
その人にとってそれ以上の理由など要らないということ。
ただただ、情熱的な感情に赴くままの追求を言い表した言葉だ。
そう、人には誰だって、そんな、ただ感情のままに動くことがある。
気持ちって言うのはそういうものだろう?
「で、毎度毎度のご高説っすけど。なんで女湯を覗く準備をしてるんすか?」
馬鹿なスティーブが分かり切った答えを言ってくる。
「お前は、馬鹿だな……。そこに女湯があるからだ!!」
題名修正
そこに女湯があるから 概要
side:ユキ
「いや、なんで今更っすか? しかも、嫁さんたちの湯じゃなくて、ウィードの娯楽区のところの女湯を覗くなんて、下手すれば外交問題になりねないっすよ? 大将は一応ウィード軍の参謀で、セラリア姐さんの夫なんですから」
「なにスティーブ、こんな時だけ真面目になるなよ。お前をそんな風に育てた覚えはないんだが」
「いやいや、基本的に勤勉っすよおいら。このダンジョンができた時から、一緒に頑張ってきたっすよ!?」
違うんだよスティーブって言っても無駄か。
思えば遠いところへ来たもんだ。
こんな定番のノリが通じないなんて。
いや、俺が偉くなりすぎたのが問題か。これだからお偉くなるのは嫌なんだ。
「冗談はおいといて、これを見ろ」
仕方がないので、ある報告書をスティーブに渡す。
「ん、これって風呂場の防犯設備の成果報告っすか?」
「そうだ」
そう、スティーブに渡したのは、現在ウィードに点在する女湯の防衛設備の成果報告書である。
こういった治安関連はトーリやリエルの管轄なので今まで見て来なかったが、ある訴えで目を通すことにしたのだ。
「いやー凄いっすね。今まで女湯の覗きは無し、全部未遂で終わってるとか、よかったじゃないっすか。おかげでどちらにも、被害はなく、覗き犯も覗き犯の烙印を押される前に厳重注意で終わってるんすから」
スティーブが読み上げた通り、今まで覗きを成功させた者はひとりもいないのだ。
「で、これがなんで女湯の覗きを軍人であるおいらたちがするわけになるっすか?」
「一種の町おこしっていうか、イベントっていうかな……」
俺はさらにある一枚のチラシを渡す。
「女湯覗き大会を実施!! 勇気あるものは参加せよ!! 尚、イベント企画なので、犯罪適応はされませんのでご安心ください。 ※女湯にいる女性は裸の方もいますが、殆どは水着を着用されていると思います。 女性の方は女湯に入ってくれる方を募集。水着貸出し、及びイベント手伝いによる報酬、及び特別な視点での覗きに来る人の状況をお伝えします。ってなんすかコレ!?」
「いや、読んだ通りだ。鉄壁と言われる防衛設備の安全性の宣伝と、合意の上で犯罪行為にしないと宣言して、お祭りって企画をするんだよ」
「で、その心は?」
「各国への技術提供をする為の宣伝だな。それで外貨を稼ぐ。防犯設備は是非ウィードにってな」
「いや、どこのセコ◯ですか。他所の国がそんなの受け入れるわけないでしょうに」
「だから技術提供って言ったろ。ばら売りするんだよ。トラップとか迎撃魔術をな。独自で構築できるように」
「うわー、それなら忌避感は少なくなるっすね。そして、国じゃなくて個人買いも狙ってるっすね?」
「そりゃ当然だ。ばら売りのメリットはそれなりに安くなるってことだ。使い方によっては村から村へ売り歩く商人の手助けにもなるだろうよ」
「あー、そっちが本命っすね。村から村へ売り歩く商人だけに無償で提供するわけにはいかないっすから、こうすれば堂々と防衛アイテムを渡せて、安全性の向上を図れるわけっすか」
「前々から、国々では問題になってるんだよ。ダンジョンっていう交通機関ができて流通力は確かに上がったが、逆にダンジョンに関わるほうが儲かるから、地方へ行商にでる人間が少なくなってるんだ」
「そりゃ、安全とか考えりゃ当然っすね。このままじゃ地方が干上がったり、人がいなくなるっすね」
「そういうことだ。村みたいに独自で生活循環が回ってるところはいいが、他所から仕入れをしている町とかは確実に衰退する。いや、その町へ出てくる村人もいるから、結局は村も危なくなるな。と言う事は、その地方の産業は衰退するんだよ」
日本でもよくあることだ。
都会に人が集まって、田舎が過疎化して回らなくなる。
ま、日本は車とか飛行機とか、道路整備がすさまじいので完全に枯渇することはほぼないのだが、この異世界は流通の関連は完全に個人の裁量任せが多い。
ある程度国が道を整備……と言っても、草や岩を退かしたぐらい……するのだが、盗賊や魔物対策は完全に個人任せだ。
だから、その結果、ダンジョンから離れている町や村の衰退がすさまじい事になると懸念されている。
いや、ウィードやリテア、ガルツは早期からダンジョンによる流通機能を使っているので、実際に起こっている。
当初は俺たちウィードが情報収集を兼ねて、その枯渇した場所への販売業を請け負うと思っていたのだが、予想よりウィードの名が売れて、各国にダンジョン流通が始まって手におえなくなった。
その解決案が今回の女湯覗き企画と言うわけだ。
「国としてもありがたい企画ってわけっすか」
「そういう事だ。ま、人材発掘とかも考えているだろうな」
「あー、ウィードのトラップ相手にしっかり踏ん張れる人とかっすか?」
「そうそう。そういう人物は欲しいだろう?」
「そりゃね。大将のトラップを抜けて、引っかかっても立ち上がる根性がある人材は欲しいっすよ。ってちょっとまった。大将がこの女湯のトラップを作るっすか? それ全人類が挑んでも抜けないっすよ?」
「馬鹿か、ちゃんとチラシ見ろ」
そう言われてスティーブがチラシを裏返して、詳細を読む。
「えーと、尚、当日の防犯設備の構築は女湯に入る女性たちが独自に行うので、本来の防犯設備とは異なります。ですので、女湯に入る女性たちが前日に集まって、防犯設備の設置案を考えていただくことになります。はぁー、これって女性だけが最初に商売道具になる防犯アイテムを見られるってわけっすね?」
「お前、賢すぎてつまらん。ったく、誰だよこんなゴブリン育てたの?」
「大将っすよ!! ってギャグはいいっすから、これは結構女性が集まるっすね」
「ああ、いくら報酬があるとはいえ、こんな覗かれるだけで、自分を安売りするような事じゃ、女が終わった人か切羽つまった人しか集まらないからな」
「そりゃ、覗きに成功した男が暴動起こしそうっすよ」
「だからだ。こうすれば、各国も暗黙の了解で人を集めないといけなくなるってわけだ。ウィードからは妊娠してない、俺の嫁さんたちが参加するしな。他の国も釣り合うような美姫でも連れてくるんじゃないか?」
「そりゃ、覗く男たちも狂喜乱舞できるっすね。各国の姫の裸体、水着を無罪で見れるんすから」
「で結局、各国から美女が集まりすぎた結果、ウィード方面、ロシュール方面、リテア方面、ガルツ方面と4回に分けて行われることになった」
「げっ、どれだけ大規模っすか!?」
「更に、俺たち軍人の男が参加することで、国を挙げてこのイベント支持してるってことを宣伝するつもりだったが……」
「なんすか?」
「俺たちが参加することが、他所の国から軍事力の誇示と判断されたわけだ。だから、ウィード以外の3大国からも軍が参加することなった」
「……覗きにどこまでぶっ飛ぶんすか?」
「知らん。で、このままじゃ一般参加の男が万を越えそうなので、抽選ということになった」
「そりゃ、当然っすね」
「その結果、俺たち軍の部隊は少人数までに削って参加枠を開けなくてはいけない結果になった」
「はぁ、それでたった5人なわけっすね」
そう、この会議に参加してるのは俺、スティーブ、セラリアのところの親衛隊男2人、ウィード警察から1人という編成だ。
「と言うわけだ。無理に参加はしなくていい。なにをどう言いつくろっても女湯覗きだからな」
そう言って、今までただ話を聞いているだけの3人に聞く。
「ユキ参謀感謝します!!」
「俺も抽選諦めてたんですよ!!」
「トーリ所長の裸絶対見てやります!!」
「「お、おう」」
世の中、熱くなれるものがあるのはいいと思うよ?
あと、警察のやつ、人の嫁さんに手だすなよ。潰すぞ。
「とりあえず、同意を得られてよかった。だが、一般参加者とちがって、俺たち国の代表は4回とも参加しないといけないことを肝に命じておけよ?」
「「「なに言ってるんですか!! それは、俄然やる気がでますよ!!」」」
煩悩に染まってる男たちに俺の言葉は届かなかったらしい。
「マジっすか……。せめて、ウィードの覗き回は参加したくなかったっす……」
スティーブはそうやって呟いて青ざめる。
やっぱりこいつは分かっていたか。
誰が、好き好んで、しかも各国を代表する姫や美女がそうやすやすと肌を見せるものか。
どう考えても、各国の姫を守るため兼、覗きのトラップの評価及び、絶対覗かせないための、見た目美女の女軍人が山ほど入ってくる。
死人が出ないようにトラップの調整はしているが、各国軍の人間を退けるという裏の評価もあるわけだ。
これは、各国の女性の知恵比べというバトルでもある。
それを4回。
身が持たないと思うぞ?
さて、各国で女湯を覗くバトルが勃発!!
女性陣も、各国の代表ということで、手加減をするとは思えない!!
血の雨が降るぜ!!
さあ、男たちは無事美女の裸体、水着を拝めるのか!!
女たちはその肌を守り通せるのか!!
そして、そんなトラップなんのそののユキはどういう行動をとるのか!!
……ネタバレじゃないよ?
ユキがトラップで止まるわけないじゃんってのは皆わかってるよね?
次回を待て!!
最後に、覗きを成功させるのはどの国か!!
一番ウィード 二番ロシュール 三番リテア 四番ガルツ
無論一番ウィードはユキ抜きな。




