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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
新大陸編 魔剣と聖剣

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第195掘:砦攻略作戦

砦攻略作戦





武器ぶきは、戦闘や狩猟に用いる道具や器具の総称である。

広義では、色々な物まで武器に例えられるが、それは置いておこう。

今、説明している武器とは殺傷、損傷、捕縛、破壊、無力化を元来の目的として攻撃能力を有する道具だ。

これら武器は、訓練によって使う事が出来る。

ま、才能の有無はあるだろうが、大抵の物は使える様になる。

そして、武器はその能力以外に民族や権力の象徴のような特別な意味を持つ場合もあり、おそらく地球の武器もあてはまるだろう。

例え現代兵器であってもだ。

このアロウリト、ってなんか久々に名前呼んだ気がするな。と、そこは置いておいて、この世界には劣るが地球には地球の武器の特色がある。

剣や弓などは既に地球では遥か昔の武器で、現在の武器は複雑化し、扱うのが簡単ではないが、その分威力は折り紙付きだ。

種類も剣や弓、槍、斧、破城槌、などと比べて多岐にわたる。

いや、ある意味、剣や弓などが、原型であると言ってもいいだろう。


さて、話はずれたが、地球の武器、兵器類の特別な意味とは何だろうか?

これについても色々意見はあるだろうが、俺はある1つを今は推す。


技術の最先端


確かに、他の分野でも技術の革新、最先端を行くものは存在するが、武器ほど結果を計りやすい最先端はない。

武器にとっての最先端とは、如何に目的に沿った殺傷能力があり、効果があり、対象を破壊するといった明確な結果がでる物が最先端なのだ。


そう、最先端。

すなわち、地球の英知の結晶である。

長き歴史を積み重ね、幾多の戦場を越え、死と血の海を渡り、それを乗り越え、明日を目指した人類の皮肉ながら武器としての英知の結晶。

時には平和を、時には侵略を、時には抑止力を、時には防衛を、時には技術力を、矛盾を抱えながらも今現在まで進化し続けた地球の武器。



「で、長いご高説ですけど。結局なにがいいたいんですか?」



俺のゴブリンたちへの演説はこうやってブリットにへし折られるのであった。



side:ユキ



「いいか、この戦車は性能は折り紙つきだ」

「知ってますよ」

「それを使いこなすための、スキルや慣熟訓練もした」

「便利ですよねスキル。覚えるだけで使い方が分かるから。あれが無いと数倍は時間かかってましたよ」

「つまり、俺たちは戦車を完全に使えるというわけだ」

「そうですね。だからなんです?」


ブリットがそう返す。

しかし、俺はしばし沈黙の後、答える。


「使用できる弾数は10発だ」

「は?」


ブリットは唐突な言葉に反応できなかった。

だから俺は繰り返す。


「使用できる弾数は10発だ」

「……どういうことですか?」

「いいか、確かに現代兵器は素晴らしく性能が高い。だが、弱点も必ずある」

「……金ですか」

「うむ。戦車自体に馬鹿にならないDPがかかって、弾薬も相応に用意してあるが、補充は簡単にできん。無駄撃ちをするな」

「練習のせいですか?」

「うむ。戦車動かせて、テンション上がって6両で連射したのが良くなかった。弾薬代がその時ので戦車一台分の半分ほど飛んだ」

「わお」

「10発以上は実費支払になる。無論、分割払いだが、当分給料が低くなる」

「嫁の説得ぐらいしてくださいよ」

「説得してこれなんだよ。俺がどれだけ家族サービスしないといけないと思ってんだ」


現代兵器の厄介な所は金食い虫であると言うところだろう。

使わなければ、ガラクタだし、嫁さんたちは召喚できる魔物を使えばいいでしょと、当初からこの無駄遣いにはあまり賛成していなかった。

しかし、魔王関連のゴダゴダでルーメルでの戦車群の圧倒的な戦力を見て、俺の提案を受け入れてくれたのだが、未だに実戦使用していないので、もう使うのをやめようと言う声が上がっている。

だから、今回の砦攻略作戦で、実用性があることを証明しないといけないのだ。

……なにこの、夫が妻に趣味を理解してもらうために必至に頑張るみたいなの。


「ま、10発もあれば何とかなるでしょ」

「それを祈る。あと、ちゃんとタイミング合わせろよ」

「分かってますって。一号車、二号車、聞いたな。外したら飯が当分不味くなると思え」

『『『ええー』』』


不満の声が無線から聞こえる。


「外さなければいいんだ。既に、姫さん、オリーヴ、ミストが口上と予定の演技をする為に砦に近づいてる。賽は投げられた」

「つか、土壇場でなんで言うんですか」

「前もって言ったら戦車乗らんだろうに」

『『『当然』』』

「当然じゃねーよ!!」


たく、やる気なしのゴブリンどもめ。


「とりあえず、そろそろ姫さんたちの動き見ないと、演技できませんよ」

「そうだな。準備しとけ」

『『『へーい』』』


とりあえず、これで無駄撃ちはしないだろう。

やる気はそがれているが、真剣さは上がっているはずだ、多分。


「で、手筈は降伏勧告を行って、拒否されれば3人の魔剣使いの力を行使すると見せかけて……」

「後方の戦車砲から一直線に砦の門をぶち抜く。そして3人が兵を率いて突撃する前に迫撃砲で砦の壁に布陣する敵及び兵器の破壊をする」

「そして、姫さんたちが突撃して終わりと……詐欺だ」

「なら、ブリット一人で剣と盾で砦落としてこいや。できないことはないだろう」

「遠慮します。疲れることは嫌いなんで」

『……先ほどからとてもくだらない雑談が聞こえるのですが、そろそろ姫様とオリーヴ様、ミスト様が動きますのでちゃんとお願いします』

「あいよ」

「へーい」


姫さんたちの状況を伝える為にジェシカをつけたのだが、冗談が通用しない。


『あれを冗談と捕らえられるのは、身内だけです。と、そろそろ始まりますよ。いいですか、剣を掲げたらですよ。私からも合図は出しますが、そちらでも確認してますよね?』

「おう、俺からも、戦車からもしっかり見ている」


そして、姫さんたちの声がジェシカの無線を通じて聞こえてくる。


『聞け、マキーロ砦のエナーリア兵よ!! 私たちはジルバ帝国の魔剣使いである!!』

『そう、魔剣使いが3人揃った意味がわかるはずですわ!!』

『あなた方に勝目はありません!! 今投降するのであれば、相応の待遇で迎えましょう!! ですが、抵抗するのであれば……』


言い終わり、相手の返答を待つ。

その間に、姫さんたちが剣を掲げて、相手の返答次第ですぐに攻撃できると相手を威嚇する。


「こちらも即座に攻撃できるようにしとけ」

『『『了解』』』


俺が即時攻撃できる状態を取るように通達すると同時に砦の壁の上に誰かが上る。


「女性か?」

「みたいですね。何か喋るみたいですね」


双眼鏡には、これまた美人さんが映る。

白銀のフルプレートアーマーに銀髪がよく映える。

腰には仰々しい剣を……あの形、あのコア、魔剣か?


「侵略を行う愚かなジルバ帝国へ告げる!!」


綺麗な声が大音量で戦場に響く。


「エナーリアの全将兵は決してお前たちには屈しない!! 我々はお前たちに降伏などしない!! この聖剣があるかぎり、我々に負け……」


え、聖剣!?



ドンッ!!



ドーーーン!!



「は?」

『え? 相手は降伏拒否しましたから撃ちましたけど?』

「あーあー、戦車隊に制止かけないから。無事だといいですね。聖剣」


門は予定通り、現代兵器万歳の高性能で、一撃で粉砕され、奥の砦中央部にも風穴を開けている。


「総員、姫様とオリーヴ様、ミスト様に続きなさい!!」


俺たちの横を、ヒヴィーアが後方に控えていた兵を連れて駆け抜けていく。

そして、ヒヴィーアと姫さんたちが突撃する前に予定通り迫撃砲の雨が降り注ぎ、砦の上に陣取っている敵兵が沈黙する。


「うん。真面目に聖剣無事だといいですね。真下の門に戦車砲が直撃、及び迫撃砲の直撃、木端微塵に賭けますよ」

「やっちまったーーー!? つかブリットさっきの美人のことは生きてると思わんのかよ!!」

「無理でしょ。聖剣の超性能か、偶然攻撃が外れていることを期待しますか?」

「前者はあの美人さんが生きてること確定で、敵で厄介そうだから勘弁。後者に期待しよう」

「なら、大将は木端微塵に賭けないわけですね?」

「いや、木端微塵に賭けるわ」


沈黙が続く。


「「だめじゃん」」


2人して同時に、美人さんと聖剣の生還をあきらめた瞬間であった。


「とりあえず、捜索隊編成して探しますわ」

「頼む」


……うん、性能や練度が高い分、絶望的だよな。



イレギュラー発生!!

聖剣?を確認したと思ったら木端微塵!!

やったね!!

砦? ああ、もう制圧隊が侵入してるよ?

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[一言] 第195掘:砦攻略作戦 正:「慣熟訓練」 誤:「完熟訓練」
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