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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
新大陸編 魔剣と聖剣

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第190掘:各隊の反応

各隊の反応





side:ユキ



さてさて、ジェシカに通達を任せて、俺はジルバ帝国王都にて王様の相手をしたり、こっちに来る部隊に対しての準備をしていたりした。

まあたった3日で揃うから、俺の準備と言うのは、使える敷地とか、住まいとかの使用許可である。

飯とかは一応頼んでいるが、正直スティーブがした反応の通り評判は絶対よくないだろうし、士気の問題もあるからこちらでもっていく。食って大事だよな。


「さて、結局編成はどうなったのかね」


俺はそう言いつつ、ジェシカが伝えて、セラリアやエリス、ラッツが組んだ部隊や物資が書かれた紙に目を通す。

物資についてはおおよそ予想通りで、俺の希望通り。

銃火器は基本秘匿しておくが、いざという時の最終兵器だからスティーブを筆頭に隊長格のゴブリンたちには銃火器をアイテムボックスに携帯させることはOKが出たみたいだ。

見た目は普通の一般装備。剣と盾と鎧、弓。

見た目はな。中身はお約束のナールジアさん特製武器でしかも認証制だ。

万が一鹵獲されても相手は使うことすらできん。

魔力タイプの認証なので地球みたいにカードや鍵、パスワードの入力など無く即時認証可能なのでラグはない。

認証が成されない場合は気絶する程度の電撃が流れるようになっているので、これを利用しトラップも展開できる優れものである。

これがエナーリア聖国侵攻、王都派遣、ダンジョン防衛の基礎装備となる。


基礎と言うからには、侵攻には攻城武器、運搬用の鉄車(マローダー系)など言い訳が通用するぶん……あからさまな高火力の兵器以外は移動用には楽をする予定だ。

こういうのを見せて、相手になぜ負けたのかを確実に理解してもらうのに一役買うだろう。

最初から見せるのは反発を生むが、現在は話がまとまっているから多少は普通に受け止められるだろう。

侵攻部隊の主な編成は俺、リーア、ジェシカ、シェーラ、トーリ、リエル、カヤ、ラビリス、アスリン、フィーリア、ゴブリン隊から50名ほどになっている。

正直、最高戦力の塊だ。


派遣には鉄車、各種武器、剣や弓、槍と言った基礎武器ではなくメイスや三間槍、特殊な前時代的な武器を持って行って王様との約束を果たそう。

無論、調査隊も含むので調べるための機材なども持っていく。

王都派遣部隊はスティーブ、ザーギス、カース、ゴブリン隊100名ほど、ゴブリン隊がこちらに多いのは万が一ここからの出動を依頼されたときのためだ。

いや、これだけで王都は制圧できるけどな。

ザーギスとカースは言わずもがな魔力調査の人員である。無論書庫の文献あさりもだ。


ダンジョン防衛は言わずもがな、敵勢力及び自分たちの身内でない限り通行どころか侵入を許していない。

無論、現地の亜人たちもだ。

なので、基礎装備はお外用、外出用装備であって、防衛用装備は段違いである。

固定砲台を10門、東西南北をフォローできる配置でダンジョンを覆っている。

高射砲を8門、上空からの敵を迎撃するため。

最後にM1A1を4両。M1エイブラムスと言って、簡単に言えば某大国の主力戦車で、44口径120mm滑腔砲を主砲とし、砲弾換装による使い分けができる。

尚、砲弾のAPFSDSの弾芯には劣化ウランを使用しており、並の戦車の装甲ですら貫く。

誤解覚悟で軽い説明を嫁たちや魔物戦闘員にはしたが、このAPFSDSは単純に装甲を貫くのではなく、高速で衝突した際、高熱が生じて砲弾の残骸、装甲の破片が装甲内で拡散するのだ。

つまり、貫通というより内部を破壊するための砲弾と言うべきだろう。

内部と言っても機構を壊すだけではない、その衝撃や破片をもって内部に乗員している兵士を殺害するためである。

いくら乗り物が強固であっても、乗員はそうはいかないからな。

サブウェポンとは違うが口径の異なる機関銃が二門つけられている。

正直燃費や性能の問題でM1A2のがいいのだがDP価格が3倍以上になったので手が出せなかった。


と、この戦車を嫁さんたちを拝み倒して、4両。1両につき2千万DPである。しかも砲弾費別。

流石に大量出費ではあるが、この異世界で現代兵器がどこまで運用できるかテストの為でもあり丁度いいので頼んだ。

無論俺のアイテムボックスにも2両ほどある。

締めて1億8千万ぐらいの出費となった。

1万7千人のウィード住民のおかげと言えよう。それでも1日でMP1として約40万DPだ。

1か月で約1200万。

あれ、足りなくない? と思うだろうが、最低1なのであって冒険者や他国からの観光などでこれの3倍以上は収入がある。

正直MSとかACがーと思ったが、よく考えてみるとあの駄目神のこと戦車でこの価格である。

それが1000万でMSとかACが使えるのはおかしい。

いや、ある意味文法は間違っていない。

使える様になる、つまり項目に各MSやACが追加されるための条件っていう書類詐欺みたいなもんだと思っている。

ま、使えるかどうかわからん乗り物より信頼性のある戦車を選んだわけだが、あとMSとかACは隠せる気がしないし、誤魔化せる自信もない。

この理由と他の諸事情により空戦可能な戦闘機やヘリの導入は未だやっていない。

ドラゴンとか対空ミサイルで攻撃すればいいし、普通に魔術とかでやれるし。


しかし、この戦車もこの世界ではあまり攻勢には向いていないのだ。

余りにも魔術に弱すぎるのだ。

これでピンとこないのであれば、万が一異世界に行ったとき現代兵器が手に入っても全然安心できないと田中と雑談したのを思い出す。

問題とは装甲や火力ではない。

魔術により内部の乗員の直接攻撃も考えられるが、そんな素晴らしい魔術があるならその世界における戦いでは大軍と大軍が戦う戦争は起こりえない。

直接組織の代表や指揮官を遠距離から狙えばいいだけだし。

戦車にとっての一番の敵は地形である。

いや、地形や天候などは生き物にとっては最大の障害だろう。

と、その中で飛んだり跳ねたりできない戦車は、森には進軍は出来ないし、山は登れない、だから地形を変化させる魔術にめっぽう弱い。

戦車がはまって、抜け出せないほどの大きさの穴を魔術で即座に作るだけで戦車はほぼ無力化できるのだ。

だが、逆に考えればこちらに地形を変化させる魔術師がいれば進軍はたやすくなるというわけだ。

地球には地球の、異世界には異世界の戦い方があるのだとよくわかる。


というわけで、戦車は防衛での遊撃隊となっている。

その他の携行銃火器とか山ほどあるので、このダンジョンが落ちるのであれば、さっさとこの大陸から逃げる。

あ、防衛はモーブ、ライヤ、ジョン、ミノちゃんとその配下たちが加わっている。



「結局こんなもんか、無難だな。いや、面白編成もそれはそれで困るが」


こんなところに面白味を入れても仕方ないしな。

とりあえず、ジルバ帝国側への交渉は終わってるし、準備している連中の様子でも見てくるか。


「あれ? どうしたんです、今日はもう終わりのはずですよね?」


席を立つ俺を見て不思議がるリーア。

なので、手に持った書類をぴらぴらさせて答える。


「もどって部隊の様子見にく」

「なるほど、それじゃ行きましょうか」


リーアも当然とばかりについてくる。

まあ、既に慣れたが本当にいつも一緒なんだよな。

1人の方が気が休まる時もあるだろうに、休日の時はセラリアとかと一緒だからその時ぐらいなんだよなリーアが1人の時って。

プライベートを大事にっていうのはまだまだ地球の日本との感覚は遠いから無理か。


そんなことを考えつつ、まずは侵攻部隊だ。


「準備はどうだ?」

「あ、ユキさん。僕たちは問題なしかなー」

「ですね。鞄にしっかり道具も携帯してますし」

「マローダーにもしっかり積んでる。アイテムボックスにも入れてるから万が一の時も大丈夫」


リエルが猫耳をピコピコさせ、トーリは尻尾をパタパタさせ、カヤも狐耳をピーンとこちらに向けやってくる。

嫁さんたちは問題なさそうだな。


「ラビリスたちはどうした?」

「あー、なんか持っていくお菓子をお店に買いに行ったよ」

「……そうか」


遠足か!! って言いそうになったが、嗜好品もないと遠征はだれるから普通だよな。

あの体型が問題なのだ。ラビリスは不釣り合いに胸が飛びぬけているが。


「スティーブ、こっちに送るゴブリン部隊はどうだ?」

「うーす。問題ないっすよ。ブリットが行きますから」

「あいつか、珍しいな」

「ま、今回は結構分散しますからね。仕方なく渋々って感じでしたよ」

「だろうな」


ブリットはスティーブと同じく最初期に呼んだゴブリンの1人で副隊長を勤めている。

が、ひどくめんどくさがりなので、重役にはつかずのんびりしている。

なにごともそつなくこなせるが、目立たないを実践している。

ある意味俺に似ている。

セラリアとの訓練に巻き込まれた回数がゼロなのだからスティーブより世渡り上手なのはわかる。


「ところで、ザーギスの奴はなんでそこで縛られてるんだ?」


そう、スティーブの横には簀巻きにされたザーギスが転がっている。


「……ああユキですか。簡単ですよ、ザーギス曰く……」


同じく調査隊のカースが説明してくれようとすると。


「私はデスクワークなんですよ!! 余所に行ってロードワークとかありえないんですが!!」

「いや、向こうでもデスクワークだと思うぞ? 調べものだしな」

「違うでしょう!! どうせ私も調査隊と名を打ちつつ、スティーブの指導に参加、手伝いするに決まってます!!」

「間違いではない」

「やっぱり!? じゃあダンジョンでのんびり研究してた方がましですよ!! 文明も劣るところで研究とか滞ることしか想像がつかないです!!」


確かにな、機材を運び込むとしても使い慣れた場所でもないし、すぐに補給もできないのは面倒だ。


「だが、研究はそんなもんだろう。あきらめろ。面白い文献もあるかもしれないしな」

「……はぁ、抵抗しても無駄のようですね。その面白い文献があることを祈りましょう」


簀巻きのままがっくりと首が垂れる。

お前は準ニートだから、なるべく外に出したいってのもあるんだよ。

とりあえず、調査隊派遣隊は問題はあるが、問題なさそうだな。

うん? 文法が変な感じだが間違ってはいないからよしとしよう。


「おう、ユキじゃないか? 様子見か?」


ザーギスの簀巻きを見つめているところにモーブがライヤやジョンたちを引き連れてやってくる。


「おう、そうだ。そっちは見た感じ準備が整って出発って感じか?」

「ああ。知っての通り俺たちはダンジョン防衛だからな。物資はいつでも補給できるし、すぐに展開だ」

「特に問題はなさげか?」

「特にはないな。欲をいえば少し酒がな」

「酒? 普通に物資に入ってたはずだが?」

「いや、ユキそっちじゃない。趣味の嗜好品のほうだ」


ライヤがそう言ってぴんときた。


「日本酒か?」

「ああ、しかし高いんだよな。今の手持ちじゃ100本までしかストックできなかった」

「いや十分だろうに。補給はいつでもできるしウィードに戻って次の給料日に買えよ」

「ま、ユキの言う通りだがモーブは部下、後輩に酒をふるまう悪癖があってな。大体毎日最低でも3本は消える」

「1日最低で3本かい。飲みすぎだ、これを機会にすこし我慢しろ」

「はぁ、やっぱりライヤと同じこというのな。しかたねぇ、亜人の作ってる酒が美味い事を祈ろう」

「その可能性はすごく低いと思うぞ」

「いうなよ」



こんな感じで予定の人員は特に滞りなく行動できそうだ。

さてさて、俺たち侵攻組は何事も問題なく……は行かないだろうな……。


「……ユキさんそういえば、オリーヴとミスト姉妹の処遇はどうなったのですか?」

「あ、忘れてた」


未だに戻ってきていない設定だった。

隠れている屋敷に呼びに行かないとな。


そしてユキがもちこむ戦車はどのような結果を残すのか!?

ユキの言う戦車無効化を行える敵がいるのか!!

M1A1の射程は3キロぐらいあります。

有効射程ならもっと……。

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