表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
ダンジョンと新大陸 序章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

228/2218

第186掘:ジルバ帝国の落日 暗躍?の章

すいません。

ちょい体調悪くてグロッキーしてました。

なんとか回復したのでOK

ジルバ帝国の落日 暗躍?の章




side:ジルバ帝国国王 フィオンハ・レーイガ・ジルバ ジルバ8世



ドーン!!



朝、我は響く音によって目が覚めた。

なにごとだ、昨日はあの傭兵たちの件で夜遅くまで会議しておったのに……。


「誰かある」

「はっ!!」


我の呼びかけにすぐに応じる外で警護をしている近衛兵。

ふむ、近衛が動いていないということはそこまで大したことではないのか?


「騒がしいようだが、なにが起こった?」

「はっ、どうやら昨日来られた傭兵たちへ宛がわれた部屋からの様です」

「なに!? どういことだ!! あ奴らへは絶対手出し禁止と言ったはずだ!!」


我はトンデモない事態になっていることをようやく理解し、ベッドから飛び起きる。


「それが、現場に居合わせなかった者たちが独断で寝込みを襲ったようで。ですが、討ち取れるなら問題ないと言っていました」

「馬鹿者どもめ、討ち取れなかったらどうするつもり……どころか、寝込みを襲うぐらいで埋まる差ならば、昨日の時点で毒殺や奇襲を我からしておる!!」


もはや、その域ではないのだ。

あの傭兵たちと我らの間には圧倒的な差がある。

今我らに出来ることは、何としても敵対しないこと。

できうるならば、望みを叶えて、こちら側に寄ってもらう事。

それが、会議の結果だ。

そして、この襲撃の結果なぞ、昨日の出来事を見ておる者ならわかる。


「し、失礼します!! 傭兵…もとい客人に手を出した者たちはすべてが客人によって捕縛!! 責任者に対して面会を求めております!!」


すぐに、結果を知らせに兵士がやってくる。

予想通り、あっさり捕縛されたか。

殺さなかった所を見るとまだ余裕がありそうだな。

くそ、殺してしまわず捕縛してしまったか。

これでは、責任を取らざるを得ない。

殺されているのならば、死して罪を償っていると言い訳ができたものを……。


「……わかった。玉座の方へ通せ。襲撃者の引き渡しは……」

「直接責任者と会って渡すと言ってこちらからの要請は無視しております」

「……当然だな」


こちらで勝手に処分されればいかようにでも言い訳はできる。

まあ、こちらの立場が上ならばな。

だが、ある意味これはありがたい。

部下がまた独断専行して、処分や無視を決め込めば、傭兵たちは格好の理由としてこちらをためらいなく攻めてくるだろう。

昨日はさほど話さなかったが、傭兵たちの真の目的は見えずとも、なぜ王城に踏み入ることを選んだかはわかる。

面倒事を省くためだ。

今の状態は面倒事ではあるが、正規の手続きをとって我にあって頭を下げ、傭兵たちが要求してきたものを手に入れようとすれば、今以上に面倒だ。

あのとてつもない実力でねじ伏せても、逆に頑なに抵抗するのは目に見えておる。

我も含めてな。誇りというものがある。


「まったく厄介な……」


一見無茶苦茶のように見えて、絶妙な加減をしている。

この状態では、我らは首を縦に振り傭兵たちの要求を飲まざるを得ない。

万が一暴れられたら国が亡ぶと知り、その上で不意打ちを仕掛け撃退されるという失態を演じたのだ。


「……そうか、その為に3日と言ったのか……」


ここでようやくあのユキといった傭兵のリーダーの意図を理解した。

この状況は誘発されたものだ。

3日という時間制限の中で会議をして結果をだし返答をすれば、どう考えても、城にいる重鎮たちにしか話が通らない。

一応、傭兵たちには手を出すなとはいったが、兵士にとってはいきなり土足で王城に踏み込んだ賊でしかない。

それが、上からの命令だけで居座っていて、倒せば名誉にもなると思えばどうなるであろうか?

国のためとお題目を掲げ、敗北を予想せず戦いを挑んだ。

そして、傭兵たちは我らへの要望を通すための口実を手にいれ、我らは頷くしかできぬ。

時間稼ぎをしようにも3日という脅しで、部下が先走ってさらに時間が短くなったも同然になった。


「さらに、此度の件で王都の兵は傭兵たちに手を出さなくなるだろうな……」


完全に傭兵たちの力が示され、我から手出し無用の宣言が厳重にだされる。

これで、傭兵たちに手を出せるのは遠征に出している軍団ぐらいだが……、完全に客人扱いの者をどうこうする理由はない。

そう、軍団へ今回のことは手紙にしたためて報告するつもりであった。

我から、王城に傭兵が乗り込んで狼藉を働いたと。

大規模な人数でなら傭兵たちも今は少数、数の力で押せるはずだと思ったが、今回の騒動で傭兵たちを絶対敵に回せなくなってしまった。

今回の襲撃の件で既に我らの喉元に剣が突き付けられている状態だろう。

下手に軍団に傭兵たちの排除という情報が洩れれば、あっという間に我らの首は飛ぶだろう。


ええい、頭をめぐるのはよくない事ばかり。

とりあえず、今はなすべきことをなそう。

まずは、傭兵たちに会ってなるべく穏便に済ませるように交渉をしなくては……。



我が玉座の間に入ると、既に会議に参加していた重鎮たちが集まっていた。


「……どうなさるおつもりでしょうか?」

「下手をすれば今日ジルバの歴史が終わりますぞ……」

「ぐう、馬鹿な兵士どもめ!!」


などなど、我に近づいて話しかける者や、現状を嘆く声が大半だ。


「はいはい、朝からすみませんね」


そして、のんびりな声が響き、全員の注目があつまる。

さあ、どうするつもりか?

リーダーのユキは特に怒った様子もなく、のんびりと玉座の間に入ってくる。


「貴様たち、無礼だぞ!!」


玉座の間に作法もなにもなく入って来た傭兵たちに、護衛として一緒にいる兵士が怒り剣に手をかける。

まずい。

これでは更に問題がでかくなる。

いや下手をすればこれでジルバが終わってしまう。


「やめい!! 元を正せばこちらが夜襲などと無礼どころではないことをしたのだ、今更相手方に礼儀を求めるのは埒外だ」

「ぐっ……」


それを言うのならば王城に土足で踏み入り、ここまで荒らしたのだから向こうが悪いと言えば悪いのだが、それを押しとおす力があり、こちらにはない。

そう、それが事実だ。


「して、罪人の引き渡しは直接責任者としたいと言っておったそうだが?」


ユキの周りには5人程縄に縛られた我が兵士がいる。

近衛ではない……、どこの所属だ?

なにか、変な動きがこの国で起こっているのか?

いや、ここまで大きな国だ。

いままで無理な吸収併合をして、暗殺も度々あった。

だが、その全てを防ぎ、潰した。今回の動きもその類か?

若者の先走りではないとすれば厄介すぎる。

背後関係を調べなくては。何としても、あの兵士をこちら側が引き取らなくてはいけない。


「まあ、色々考えてるみたいだけどな。王命に逆らったんだ。下手に部下に渡しちゃまずいとおもってな」


……こいつ、この一件は我の指示でないと思っているのか?


「そうか、感謝する。確かに王命を破ったのだ。我が自ら裁かなくてはな」

「……裁けなかった人も俺を含め多数いるようだが、まあいい」

「ぐっ……」


皮肉を言わんと先に進めんのか。


「とりあえず。そちらの不始末でこちらは女性陣が寝床を襲われて、あられもない姿を見られたわけだ。さて、謝罪を含め何をしてくれるかはそちらに任せよう。無理に日にちを短くして煽ったのはこっちだしな。其方の言う事を聞かない奴をあぶり出すには丁度良かっただろう?」


こいつ、やはり狙ってやっていたか。

口では牽制していたが、後々動きやすくする為に、我らを使って自分たちの邪魔になる奴らを排除させるつもりだったか。

くそ、我にとっての敵を見つけるのに一役買っているのが尚性質が悪い。


「こちらは二週間ほどのんびりさせてもらう。ま、餌役は引き受けるから頑張ってくれ。それ相応の報酬はもらうけどな」


ユキはそう言って、近衛兵に襲ってきた兵士を渡す。

後ろにいた亜人の女や、騎士姿をした女、幼子はこちらを睨み付けておる。

ユキがああいう対応を取らなければ、既にこの城は無人と化している可能性が高いか……。


「……わかった。報酬についても二週の内になんとかしよう」

「うし、ならなにか協力が必要なら言ってくれ。こっちもジルバ帝国を利用させてもらうつもりだしな。こちらに利益がある限りは手伝う。じゃ、朝飯でも食ってくるわ」


そう言って、ユキが部下を率いて退出しようとすると、出る寸前でこちらに振り向く。


「そう言えばスティーブはどこいった?」

「スティーブ?」

「ああ、一緒に来てたゴブリンな」


あの規格外のゴブリンか。

下手な対応を取るわけにはいかないので一室を宛がった筈だが。


「……おいらならここっすよ」


なにか、粗末な布を体にまとって玉座の間に現れるゴブリン。


「お、いたいた。どこに泊まってたんだ?」

「……馬小屋っすよ」

「ぶはっ、どこのRPGだよ」

「……うるさいっす。魔力は回復してるから、馬小屋回復回しは実際使えそうっすけどね」

「へー、安眠できないと魔力は回復できないと思ったけどな」

「どうっすかね? おいらはレベルがぶっ飛んでるっすから、回復量も違うっすから他で調べてみないことには……」

「でもなー。こういう機会がないとテント以下の馬小屋で寝ることなんざないしな」


そうやって、にこやかに雑談をしているが、我らは顔を青ざめさせていた。

実質、魔剣使いや数多の近衛兵、兵士をなぎ倒したのはこのゴブリンなのだ。

それを、馬小屋に放り込むなど……愚か者か、本当に誰かが暗躍しておる。


「大至急、スティーブに部屋を案内した者をよべ!! 背後関係を調べさせろ!!」

「「「はっ!!」」」


昨日の出来事を知っている重臣たちは即座に我の意見に賛同し、調べ始める。

しかし、あれ程の扱いを受けて、怒り1つ見せないとは……。


「しっかし、普通馬小屋にすんなり泊まるか?」

「だって、駄々こねても時間かかるだけっしょ? 別に魔術で快適に出来るっすから、今日大将と合流してから改善してもらおうかと思ったっすよ」

「あー、まあここのゴブリンの地位じゃなー」

「でしょ?」


ゴブリンがこれほどまでに流暢に喋り、頭を働かせる。

そして、実力はジルバ帝国の誰よりも上。

それを従えるユキ。

お前達は一体何者なのだ?

さあ、ちゃんとオチはスティーブが持っていきましたよ。

王の方は色々暗躍があるかもしれないけど。

ユキたちにとってはそれも便利な手段の1つ。

何もかも織り込み済みで行動するべし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ