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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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2216/2218

第1899堀:風にたなびくそのマフラーは

風にたなびくそのマフラーは



Side:フィーリア



時計を見るともうすぐ終業時間。

フィーリアたちは残業はしない主義なのです。

まあ、現場は交代24時間体制だし、監視メンバーも交代24時間体制なのですが、フィーリアとアスリンはちゃんと休むように、みんなに言いつけられて夜更かしは出来ないのです。

これも責任者の仕事だと兄様が言っていたのです。

上の人が休まないと皆が休めないって。


「アスリン。今日の進捗はどうなのです?」


フィーリアは同じ部屋で色々な書類を片付けているアスリンに声をかけるのです。


「フィーリアちゃん、どうしたの?」


声をかけられてようやく顔を上げたアスリンは、今の状況を理解してないようですね。


「アスリン。もういい時間なのです。本日の仕事はこれまでなのですよ」


そう言って、時計を指さすと、アスリンはようやく時間に気が付いたようで。


「あ~。もうこんな時間だ。お仕事は終わりだね」

「そうなのです。きちんとしないと、姉様たちが怒るのです」

「過保護だよね~。ま、キリがいいところまでやったしいいんだけど」


アスリンはそう言うと机の上の書類をまとめるのです。


「まだまだ、姉様たちにとってはフィーリアたちはお子様なのです。それに同い年の学校の子たちが同じ仕事をするとか言えば心配になるのもわかるのです」

「それはわかる」


アスリンも姉様たちが心配する理由は分かっているのです。

同い年の子たちはまだ学校に通っているのですから、こうした、指揮官になるようなことはまずないのです。


「と、そこはいいとして。仕事は問題ないのです?」

「うん。別に明日に回してもいいものだし、ここ最近は珍しい情報もないからね」

「確かに、鉱脈は見つけたのですが、中身は鉄鉱脈なのです」


ここ最近、崖下の調査は特に進展はないのです。

まあ、おかげで崖下の距離を稼ぐことは出来ているのです。


「はぁ、何か見つかればよかったのにね~。このままじゃ崖下の冒険……じゃなくて調査が終わっちゃうよ」

「そういえば、もう1000キロを超えたのです?」

「うん。今日で1030キロだって」

「意外と早いのですね~。調査をしながらなのですよね?」

「そうだよ。フィーリアちゃんも知っていると思うけど、崖下の変化ってそこまでないし、魔物の動きもほぼ確認できないから、詳しい調査よりも先を目指そうって話になったからね~」


そうなのです。

まあ、詳しく調べると違うかもしれないけれど、そんなに詳しく調べるのは今回の目的ではないのです。

それに怪しいところのはポイントを記録しているのですから、後でまた調べればいいのです。

最優先目標は……。


「魔物北上の察知、あるいは魔王の発見。どっちも察知もできないのです」

「土地が広いからね~。魔物さんたちも北上したと言ってもどこからっていうのは分からないよね~。まあ、とにかく崖下にはいないのはまちがいないよ。そこを考えれば他の場所を探そうってことになるよ」

「なるほど。確かにその通りなのです。あくまでも崖下はふらふらしないように南下を目指すために選んだ場所だったのです。そういう意味では目的を果たしているということなのですか」

「うん。後はどこで上陸して、東西に調査を出すかって話になるとおもう。あとは、最南端のどこかが荒野に繋がっていて、そこから魔物が流入しているとか?」

「む。それはありえそうなのです。北上してきた魔物は、あくまでも森というかオーエの大森林や、北部の魔物が多かったのです。荒野特有の魔物は少なかった」


そう、今までの魔物の情報をまとめると、不思議なことに北上してきた魔物の大半は、荒野特有の魔物ではなく、草原や森を棲み家としている魔物が多かったのです。

荒野からではなく、南端に広がっている森から来ていると元々推測はあったのです。


「崖下はもちろん、荒野の今までの調査でも、魔物の姿はほぼ確認できなかったのです。まあ、生息している魔物はいたんだけど、あくまでも荒野特有の魔物だったのです」

「だから、南端の森から魔物が来ているという推測が現実味を帯びてきたんだ」

「確かに。そうなると、魔王とか、魔物が北上してくる原因があるのです?」

「可能性は高いかな~? でも、だからと言って、すぐに調査が出来るわけもないけどね~。南端って言っても相応に広いし」


アスリンの言う通り、南端の森といっても、ルナ姉様が撮って来た写真で見ても中央のアーエがある森ぐらいにはあるのです。

未だにアーエ王国がある大森林の調査を終えていないのです。

つまり、南端の森にどれだけ調査に時間がかかるのかわからないということなのです。


「でも、魔物がそこから北上してきているのなら、もっと密に魔物がいるかもしれないのです」

「うん。その可能性は高いから、原因の究明に関してはもっとスピードはでるかなぁって期待しているよ」


確かに、南端から北上しているのであれば、痕跡は荒野よりも多いはずなのです。

と、そんな話をしていると、不意にコールが鳴るのです。

確認をしてみると、兄様からというのがわかるのです。


「兄様からなのです。ちょっと待っててください」

「お兄ちゃんから? うん、いいよ。お仕事終わっているし」


珍しいのです。

いや、これから一緒に帰ろうとかそういうのかもしれません。

まあ、職場の位置的に、お仕事に関してのことだと思うのですが……。


「はい。フィーリアなのです。兄様どうしたのです?」

『ああ、フィーリア。もう仕事は終わっているか?』

「本日のお仕事は終わったのです。今から帰るとこなのです」

『そうか。ちょっと仕事の延長というか、武具の融通をしてほしいんだが』

「武具なのです?」


珍しい。

兄様は基本戦闘は魔術が主体で、武器を持つことはおろか、防具も基本的に新しく身に着けないのです。

昔に作った制服を改良し続けているだけなのです。

ああ、もちろん、デザインとかは変えているですし、防御力もそんじょそこらの鎧より圧倒的に上なのです。

そこらへんは製作者のフィーリアはちゃんと考えているのです。

と、そこはいいのです。

なんで武具が必要なのかという話なのです。


『ああ、ヴィリアたちがイアナ王国っていう新大陸北部の魔物の多い地域に行っているのは知っているだろ?』

「うん。知ってるよ~。まあ、あまり面白い情報は無いけれど。安全な道中だよね~」

「ああ、確かそんな報告が上がっていたのです」


新大陸のギアダナ王国周辺はドドーナ大司教が若い頃魔物を大討伐して、周辺が安定しているという話なのです。

たった一人でというわけではないのですが、それでも地域の魔物をほぼ一掃したというのは物凄いことなのです。

おかげで、魔物を調べているアスリンにとってはつまらない話になってしまったのですが。


『そのヴィリアたちが道中町に寄って情報収集をするっていうことになっているんだが、ギアダナ王都のクリアストリーム教会を押さえた結果、各町で亜人を集めて大きな町や王都のクリアストリーム教会に送り込むというか移送しているっているのが分かった。まあ、人にばれないような拷問施設なんてそう簡単に用意できるわけもないからな。拷問する側も』

「あ~。言われてみればそうだね~」

「確かに、どっちも変な所に用意できるものではないのです」

「あはは、あちこちに施設と人材がいたらおかしいよね~」


アスリンの言う通りなのです。

拷問施設も、拷問官もあちこちにいては本当に困るのです。

そんな国は潰さないといけなくなるのです。

フィーリアたちのラッツ姉様たちも被害にあうし、かわいいかわいい娘たちに手を出すという意味なのですから。

確実にぶっ潰すのです。


『ま、そういうことで被害者をできる限り救出するって話になったんだが、問題がある。あくまでもヴィリアたちは冒険者としてイアナ王国へ向かい北の魔物の動きや、クリアストリーム教会のことを調べることだ。変にヴィリアたちが目立てば、今までのことが無駄になりかねない』

「なるほど~。じゃあ、何かしら変装するってことかな?」

『そう。アスリンの言う通り。ヴィリアたちだとばれないようにすればいい。まあ、魔術的な技術の変装よりも、物理的な変装の方が好ましい。相手も魔術を使うからな。俺たちの知らない魔術無効とかあってもおかしくはない』

「なるほど。でも、ばれないようにすればいいのでは?」


変装云々の前に、そういうのは見つからないというのが大事なのです。

今の話ではばれるのが前提のような……。


『フィーリアの指摘は当然なんだが、今回はイアナ王国に向かう道中で手早く済ませる必要があるんだ。というか、隠密で情報を集める時間は無い。だから強硬手段ってわけだ』

「随分とお兄ちゃんにしては強引だね~」


珍しいのです。

その手の強硬手段は今後のトラブルにつながりかねないからまずしないはずなのですが……。


『今回はあくまでもヒーローが困っている人を助けたってだけだからな。ウィードの背景はない。というか、イアナ王国の間の国だしな。本当に関係を持つのが不可能なわけだ』


なるほど。

そんな国とは言わないですが、ウィードとしては今のところギアダナ王国と繋ぎを作れただけで精一杯なのです。

ほかの所に顔を出している暇も手間もないから……。


「ん? ヒーローなのです?」


なんか変なのが聞こえてきたのです。

兄様にしてはまず聞かない英雄という単語。

むしろ毛嫌いしているのです。

まあ、一人にすべてを背負わせるような称号は嫌って当然なのですが。


『そう。変身ヒーロー。こういう時に一番役立ちそうにないか? そしてフィーリアやナールジアさんは作っていたと思ってな』

「作っていたのです! 出番なのですね!」


思わず立ち上がり叫ぶのです!

悪を挫く正義の味方!

法で裁けぬ、悪を裁く。

人知れず戦う人々の味方!


『そう。それならばれても何も問題はない。正義の味方は堂々とするものだからだ』

「その通りなのです! 赤いマフラーは正義のしるしなのです!」

「えーと、ばれちゃダメなんじゃ?」

『正義の味方が認知されるのは大事なんだって話だ。それだけヴィリアたちへの疑いの目は逸れる。そういうのもあったよな? 男に見せたり身長を変えたり』

「あるのです! そういうのは大事なのです! すぐに用意するのです! ナールジア姉様のところにあるのです!」

『ああ、頼む。使い方とかの説明も頼むよ』

「任せるのです!」


そう返事をしてフィーリアは飛び出すのです。

ついに来たのです!

正義の味方をサポートする博士のポジション!

まっていたのです、この時を!


「フィーリアちゃ~ん、まってよ~!」


あ、アスリンは連れて行かないといけないのです。




変身ヒーロー、それはバッタ仮面なのか、それとも巨人なのか、セーラーなのか……。


君たちはどんな変身ヒーローが良いでしょうか?


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― 新着の感想 ―
そこは最新のエージェントでしょ……
当方に迎撃の用意あり!覚悟完了!!
仮面のライダーしか勝たん!
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