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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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2215/2218

第1898堀:ばれないための変装って?

ばれないための変装って?



Side:ニーナ



まどろっこしい。

ユキはこちらのことを考えすぎる。

甘いというか、損耗、体力の消費を考えているんだろうが、犠牲者を無視する方が私たちの精神的に問題があると思ったから……。


『そっちの覚悟ではないんだが、まあ、いいか。変装とかそういうのは色々考えようはあるし』


そう自分で結論を出して話したんだろうに。

変に説明しすぎて、ヴィリアはもちろん、キシュアやスィーアまで難しい顔をしてしまっている。

はぁ、だから私はこう言う。


「だから、変装とか色々って言ってたわけか。それを採用するから、助ける人員をよこして。ああ、輸送要員?」


停滞していた空気が動き出す。

私たちは確かに問題を解決するためにここにいて、旅をしている。

でも、それは周りのすべてを犠牲にしてよいとは思っていない。

昔はそんなことも考えていたけど、それでも身内や選別した人は残すつもりだったし。

……多分、あの頃の私たちとクリアストリーム教会は違う……と思う。

拷問とかはしてないし。

そんなことを考えていると……。


「ああ、だからユキは変装とか言ってたんだな」

「解決策があるのであれば言っていただければいいものを」


キシュアとスィーアもホッとした様子で、ユキにそう言うが。


『簡単に聞こえるが、基本的に4人で分担して解決をしないといけないんだぞ? イオア王国へ向かいつつだ。情報を集め亜人を救出して、それをこちらに受け渡して。どれだけ大変か』

「「「……」」」


確かに、その場所に長期間いるならともかく、私たちはイオア王国へ向かうという予定がある。

多少前後はしていいが、それでも限度があるし、それをこなしつつというのは物凄く大変だ。

とはいえ、悩んでいる3人には言っておかないとな。


「別に全部が全部ってわけでもないし。これから走る予定だし、大幅に時間は短縮できる。3人ともそこまで深刻にならなくていい。というか、ヴィリアはともかく、2人はこの程度で悩むな。出来ることをする。それだけ」


そう、全てを助けられるなんて、そんなのは絵本の中だけだ。

私たちに出来るのは手の届く範囲だけ。

まあ、ユキが率いるウィードのサポーターがいるぶん、出来ることは物凄く広いけどね。

というか、おそらくこの提案をしてきたのは……。


『ま、こっちも出来ることはする。助けた亜人が多ければ多いほど、クリアストリーム教会を糾弾する材料になるしな。色々他の証拠もあるといいが……』


ユキの言う通り、少しでも今後の展開が有利になる証拠が集まればというのがあるだろう。

何せ敵はこの北部に存在する最大宗派だ。

沢山の証拠を持っていなければ戯言と切って捨てられる可能性は高い。

だから、少しでも相手を追い詰めるための証拠が欲しいわけか。

とはいえ……。


「そこまでできればこっちもいいけど。そこまで相手も馬鹿じゃないと思う」


ギアダナ王都のクリアストリーム教会は現場を押さえたけれど、それでも他の支部とのつながりはさっぱりだ。

そこらへんはしっかりしているというか、口が堅いようだ。

理由はさっぱり。

まあ、そういう所も含めて色々情報が欲しいと思っているんだろうけど。


『だよな。ということで、できうる限りで頼む。だから気負わなくていいぞ』


ユキはそういってあまりこちらの働きには期待していないようだ。

いや、元々の目的を考えれば、調査に力を入れるというのは間違いだというのはわかっているから、期待しないというのは当然ともいえる。

まあ、そうでもないと意地でも囚われている亜人とか、証拠をがっつり集めるために動くのは目に見えている。

ヴィリアは特にユキに尽くすと決めているから。


「しかし、お兄さま。それでは捕まっている人たちは……」

『まあ、ヴィリアの想像通りだが、それでも大本をさっさと叩けば解放される。どちらが正しいというわけではないが、犠牲者の数を見れば大本を叩く方が効率がいい。なにせ、輸送中の亜人を解放してもほかで捕まった人たちが送られるだけだからな』

「……その、とおりです」


ヴィリアとしては困っている人を見捨てるのと同じだもんね。

大局を見ろって言っても、目の前の人を見捨てろって言うのは違うもの。

だから、ユキは言いたくなかった。

そして、ヴィリアも自分が未熟だというのがわかっていても、その態度を出してしまうほどぐらいには、幼い。

大人ぶってもというやつだ。


『……だが、それはそれで気持ちが悪く、見逃せないという気持ちもわかる。だから、色々手を考えるから、まずは次の目的地の町まで行ってくれ。近くまで行けば、変装道具を送る』

「変装ですか? 先ほども言っていましたが、魔術でも行けるのでは?」

『魔術だと見破られる可能性がある。あと解除とかもな。だから、こっちで科学を混ぜ合わせた変装セットを用意する。それを着て活動すれば、まずヴィリアたちがやったとばれる心配はない』


やたらと自信満々だ。

変なことを考えているんだろうと予想は付く。

とはいえ、それ以外に方法もないか。


「わかった。私たちは滞在予定の町にすぐに移動を開始する。予定よりも4日は早く着くけどそれは問題ない?」

『ああ、その時には変装道具を届ける。ついたら連絡をしてくれ』


ということで、ユキとの連絡は終わる。

3人はこちらを見つめているが無言だ。


「キシュアとスィーアは文句を言わない。そして、ヴィリア。ユキは譲歩してここまで考えた」

「わかっています。お兄さまの気遣いを無駄にはしません」


ヴィリアはさっきの迷っていた顔ではなく、しっかりとした視線を私に向けている。

うん、良し。

これなら、問題はない。

下手に迷ったままだと、勝手な行動をしかねないし、黙っていたままで気が付けばそれこそ勝手に動いてしまう可能性があった。

ユキが話したのは間違いでない。


「わかっているならいい。とりあえず、町まで最高速度で移動する。空から行くけど文句はない?」

「ま、あの話を聞いたら最高速度がいいだろうな」

「ですわね」

「はい。大丈夫です」

「じゃ、人目が付かないあっちの方へ行く。そのあと透明マントをつけて、空を飛んで次の町へ向かう」


私がそう言うと全員頷いて行動に移す。


「まったく、退屈とか言っていたのに、こういう忙しさを望んでいたってことか?」

「そんなわけない。ただ早く到着して、町で話でも聞ければぐらいの話だった。普通に予定あり時間制限ありの旅人を装って、各町で亜人の救出とか、普通に考えれば正気を疑う」

「確かにそうですわね」

「ユキの提案が常軌を逸しているというだけ」

「お兄さまは、私たちのことを考えて提案してくれたのでは?」


街道から外れ草むらを突き進みながらそんな話をする。


「ヴィリアの言う通り、ユキは此方の感情を考慮して色々用意をしてくれたけど、普通は出来ない。まあ、私たちの実力を考慮してはいるけど、情報収集がたった4日でどうにかなるとかまずない」

「まあな。普通は一月でどうかって所だし」

「透明マントは魔術による透明化があるとはいえ、情報があるところは隠されていることも多いですし。さらには目標を助けるということまで含まれているとなると……」

「強硬手段になりそうですね? ですが、お兄さまはそれが分かっていないわけないと思いますが……」


うん、ユキも自分が無茶苦茶を言っていることは分かっているだろう。

だから、その提案が無茶苦茶を通すための何かがあるわけだ。


「そこはユキに期待するしかない。というか、ユキの作戦は基本的にまともじゃない。私たちが保証する」


私がそういうと、キシュアとスィーアはぽかんとした後、笑い出す。


「確かに。ユキなら想像を軽く超えてくるだろうな」

「私たちもあっさり捕縛されましたし」

「スィーアは裸踊りしたんだっけ?」

「忘れてください。あと詳しく言うと、どこかのファンファンとコサックダンスです」

「丸見え」


大事なところが。


「だからやめてください」

「お兄さまがそんなことしたんですか?」

「いや、スィーアがスケベなだけ。抵抗するなという命令でなぜか裸になった」


不思議、武装解除を命じてなぜか全裸になったという話。

その時の映像は一応保管してあるらしい。

ユキのことだから悪用はしないだろうけど。

他の誰かに見られたら、スィーアは死にそうだ。

と、そこはいいとして。


「よし、ある程度距離は取れた。周囲の警戒。私は問題ないと判断。3人は?」

「こちらも問題ないな」

「はい。大丈夫です」

「私も問題なしと判断します」


4人とも意見一致したので、即座に光学迷彩を利用した透明マントと魔術の透明化を使い、自分自身を透過させる。

この場合、魔力も風もなぜか通すシステムになっていて、まず見つからない。


「じゃ、上空500メートルへ上昇」


そういうと、即座に魔術を発動させて、垂直に飛び上がる。

視界が一気に草から空の青へと切り替わり、眼下には空と緑の地平が広がる。


「全員問題ない?」

「ああ。空を飛ぶのも最近じゃ当たり前になって来たよな。前はもっとワクワクしていたはずなんだが」

「ウィードでは空中戦も基本ですからね」

「でも、ウィード内では空を飛ぶとあっという間に落とされますけどね」


うん、ヴィリアの言う通り、ウィード相手に空中戦は無い、無謀。

何せ敵から丸見えで、空には隠れる場所もない。

そんな場所は狙撃の格好の的。

まあ、ただの銃撃ならともかく、魔術的な補助をつけると躱せない必中の攻撃になる。

なので、障害物がある地上の方がいいというわけ。

でも……。


「ウィード以外はほぼ空に対しての対抗手段どころか監視もない。だから楽」

「だな。まあ、100メートルぐらいだと見つかる可能性はあるけど、500だしな。下から見れば点にしか見えないし、透明になっている」

「ええ。これなら町への出入りだけならどうとでもなります。あとは、ユキさんの言っていた変装手段次第です。ヴィリアさんは何か想像つきますか?」

「いいえ。私たちが活動に支障が出ないような変装というとちょっと……。新しい別ボディのドッペルとかなら……」

「いや、別ボディだと慣れるのに相応に時間がかかるからありえない」


ドッペルは影武者としては相応に便利だけど、自分と姿がちがったりすると、かなり慣れるのに時間がかかる。

つまり、戦いに関しても問題が出るということ。

そんなことをユキがするわけがない。


「……まあ、用意するって言ってたんだし、私たちは今日中に目的の町に行く。速度は100キロ。用意、カウントスタート」


とにもかくにも町に着かないと、何も始まらない。

こうして、私たちは最速で次の町へと向かうのであった。



ユキが届ける変装グッツ。

ドッペルではありませんと断言しておきます。

そして、悪を挫くためのモノとなれば……。

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― 新着の感想 ―
時速119km出さないと
あっ、禄に構えの必要無いって書きましたが、要は隙が無いってことです
ユキ達転移組以外でこの世界では飛行・浮遊タイプの魔物はどうやって引摺り墜とすかってなるのが基本。その手段を持たなければ諦めるか襲われないことを祈るしかない。 スィーアの認識で抵抗出来ないってなったら全…
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