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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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2210/2218

第1893堀:とりあえず仕事を進めましょう

とりあえず仕事を進めましょう



Side:ユキ



「……ということで奥様たちからの書類です」

「……ありがとう」


なんだろうな。

リュシは最近単独であちこちに顔を出すようになっている。

それはいいことなんだが、夫婦の問題にも顔を出すというか、露骨に話すのか……。

いや、今更ではあるんだが、何というか。


「色々面倒に巻き込んで悪いな」

「いえいえ、大丈夫です。ユキ様というか、奥様たちが大変だな~と思ったぐらいです」

「ふむ。子供問題ですか。確かに各国の代表でもある奥様たちにとっては死活問題ではありますね」

「ですね。物資の優遇などもありますし、子供が居る居ないというのは、ユキ様や奥様たちの感情を抜きで、考えてしまうモノなのでしょう」


話を聞いたのは俺だけではない。

一緒に執務をしているプロフたちも同じだ。

特にプロフとオレリアはそういった子供の重要性を理解しているようで、難しい顔をしている。


「まあ言っていることは分かりますけど、子供をそういう風には扱いたくないですね~」

「私もリーア様の言葉に賛成で~す。子供は政治の道具じゃなくて~、ユキ様との愛の結晶ですから~」

「うんうん、私もそう思います」


リーア、ホービス、ヤユイは一般的な考えのようで、子供たちの政治利用は駄目ってタイプだ。

普通はそうだが、国とか背負っている物がある人たちは、それですら手段ではあるんだよな。

だからこそ、一般的な人よりも、権力や財力があるってことなんだが。

感情の問題だからな。


「でも、子供が出来ないことでのトラブルって初めてですよね。ユキさん?」

「ああ、リーアの言う通り、そっちでのトラブルというか、まあ、そういうのは初めてだな。といっても、カグラたちと会ったときは、既にセラリアたちは子供を産んでいたし、ミリーたちが妊娠していた時期だしな」

「そうでしたね~。それで召喚されちゃうからこっちは大騒ぎでしたよ~」

「……お話には聞いていましたが、妊婦まで呼び出されるとは、改めて聞くととんでもないですね」


プロフの言葉には頷くしかない。

本当にとんでもない状況だった。

とはいえ、運よく雑談していて固まっていたのが幸いだった。


「で、ハイデンのトラブルの間にミリーたちが出産で、その後サマンサたちだから、別にペースとしてはおかしくはないんだよ。カグラたちがウィードに正式加入してからもズラブルとか色々あったしな」

「時期的にはそろそろって感じですよね~。ま、いま、カグラたちは新大陸の外交もしてもらっていますし、あれなんですけど」


そうなんだよな~。

別に妊娠を否定するつもりはないが、となると育児休暇に入るカグラたちの後釜が必要になる。

とはいえ、そんなカグラとミコスに代わるような人材はいない。

マジでいない。

こっちの事情を把握して、各国と調整してくれような人材とか。

そういう意味でも妊娠には今は難しいって感じなんだが……。


「あ、その後釜ですが、サマンサ様とクリーナ様って話が上がっているようです」

「はぁ? 2人はイフ大陸の担当だろう? 今はジェシカやエージルが新大陸に出向いていているから、二人がいなくなれば問題じゃないか?」

「はい。確かにユキ様の仰る通り、お二人としての窓口は無くなるのですが、別の窓口、大使館はありますので、そこからの連絡で十分ではないかという話です。新大陸進出の件でかなりもめているらしく、何か切欠でもあればと新大陸を見てみたいと」

「なるほどな」


確かに、大陸間交流同盟の新大陸進出は遅れている。

もちろん、俺たち側、ウィードの調査が滞っているというのはあるが、それでも南砦は出来ているし、各国がくると言うならいつでも稼働できる状態ではある。

だから、問題はどちらかというと各国の方になる。

もちろん、誰が行くのか、リスクとかそういうのは色々あるだろうが、結局のところどっちが遅いかというと、向こう側だ。

何せ、車や医療品を作る工場の機材を提供するという話は、新大陸以前から伝えているんだ。

経過時間を考えても、向こうが悪いと言えるだろう。


まあ、だからと言って批判とかはしないが、サマンサたち仲介役としては退屈なんだろう。

ほかの皆は死に物狂いというか、毎日物凄く忙しい環境にいるからな、気まずさもあるんだろう。


「わかった。って、許可もなにも向こうから相談がないな。どうなっているんだ?」

「まあ、当初はカグラ様とミコス様の妊娠がメインでの話で、会議というよりただの雑談会という感じでしたから」

「なるほど。ちゃんとした会議ってわけじゃなかったのか。まあ、妊娠の話だしプライベートに近いからな」


そりゃ、後でしっかりまとめてになるか。

じゃ、準備だけはしておいてと思っていると。


「ユキ様。カグラ様、ミコス様は分かりましたが、エノラ様、スタシア様はどうなのでしょうか? お二人もユキ様のお子を望んでいるはずですが?」

「ああ、そういえばそうだな」


話を聞く限りカグラとミコスだけだったしな。

二人も同じ時期だし、あっちも何かしらあってもおかしくないはず。


「それに関しては、エノラ様はその話し合いの際、同席していましたが、そこまで言われてはいないようです。そしてスタシア様については、北の町で指揮をしていたので話し合いには出席していません」

「そういうことか。まあ、当然だな」


スタシアは北の町で防衛を担っている。

簡単にウィードに戻っては来れない。

いや、夜毎家には戻っているけど、日中は北の町にいて、有事に備えている。

もちろん、夜にも向こうには兵士がいるからいざという時は動けるようにしてはいるから問題ない。

ということで、突発的な話し合いに参加できるわけもないか。


「なので、プロフさんの質問は、後でまとめて話がある可能性があるかと」

「なるほど。話し合いをしていないのであれば、何も聞いていないのは道理ですね」

「そうなると、その話の結果は後になるな。とりあえず、その手の話があるかもってことで、気を付けておいてくれ。ある意味デリケートな話だからな」

「「「はい」」」


俺の言葉に返事をするみんな。

露骨に驚くのもあれだし、こうして落ち着いておくように言っておかないとな。


「さて、ちょっとトラブルというか、連絡はあったが、本題に入るぞ」


色々話をしたが、今の話はリュシが訪問したついでの話だ。


「それで、リュシ。保護した亜人たちの様子に関しては?」

「あ、はい。セラリア様たちにも報告書は渡しましたが、外傷、怪我は治っています。エノラ様たちの治療部隊、いえ衛生兵たちは優秀です。そして、後で合流したルルア様もいましたので、本当に傷については問題ありませんが……」

「まあ、精神的な問題か」

「はい」

「「「……」」」


リュシの言うことを理解できているメンバーは沈黙するしかない。

オレリアたちもリュシにまつわることは知っているからな。

丁度俺の部下に入った頃だったか。


「そこに関しては、医療の発展を願うしかないな。自殺防止などについては?」

「はい、病院でしっかり監視をして、私に使用していた精神安定の腕輪なども使用しています。現状できうる限りの体制です」

「そうか。無理はしないようにシフトは出来ているな?」

「もちろんです。疲れて見逃したなどはありえませんので、ちゃんとした体制を整えています。なにより、ユキ様の仰る大事なサンプルですから」


そうリュシに言われてぽかんとしたが、すぐに笑ってしまう。


「あははは、リュシがそういうことを言うとは思わなかったよ」

「いえ、私だからこそです。意外と助けられる方も気を遣いますからね」

「ああ、それはわかります」


リュシの言葉にプロフが深く頷く。


「ユキ様は笑顔で対価を求めず助けてくださいますが、その恩をどうやって返せばいいのか。毎日悩んでいましたから」

「それは良くわかります。私たちも奴隷から側付きにしてもらったときはどうしたものかと」

「ですね~。なんでこんなに厚遇されるんだ~って思いましたし~」

「はい。そう思いました」

「わかるわかる。私もユキさんに助けられた時は、何にもできなかったからね~。なんというか申し訳なさがあったよ~」


なんか、そこはだけは全員が同じ感想を持っていたようでうんうん頷いている。

まあ、言っていることはわかる。

無償で助けられるというのは、本当に不安になるのだ。

いつ切られるかわからないからな。


無償の愛とはいわないが、無償で行われる行為を人はあまり信用しない。

何かしらの対価があるからこそ、人は信用できるのだ。

だからこその「サンプル」「見本」といっているわけだ。


「とりあえず、患者の精神安定に気を遣っているようで何よりだ」

「はい。あとは、エノラ様の部隊ですが、ちょっと相談事があったようです」

「相談事というと?」

「救助に当たった部隊が思ったよりも、士気が上がっているという話です」

「……それは良いことでは?」


プロフが珍しく首をかしげていて、オレリアたちも同じ感じだ。

唯一違う反応をしているのが……。


「ああ、張り切りすぎちゃっている感じか~」

「リーアはわかるか」

「うん。もう、何度も経験がありますから。ほら、デリーユやセラリアとの戦闘訓練で周りが見えなくなるとか、のせられるってことはよくありましたから」


ああ、セラリアやデリーユならその手の挑発は得意だろう。


「あの、ユキ様。士気が上がるのと、周りが見えなくなるなどは違うのでは?」

「ああ、ある意味違うがある意味同じなんだよ。簡単に言えば士気が上がると言えばいいことに聞こえるが、別の言い方をすると、やる気が空回りしているということでもある。士気というのは、場所によって適切な状態があるわけだ。休むときは士気は低くていい。高いとやる気満々で眠らずに頑張ろうとするからな。それが問題だっていうのはわかるな?」

「はい。その説明は分かりやすいです。つまり、エノラ様の部下は亜人たちを助け出すということで暴走しかねないということですね?」

「そういうことだ。まあ、あれだけ酷い目にあっていたんだから、少なからずそういう興奮状態になってもおかしくはない。とはいえ、そっちも報告はないってことは……」

「はい。セラリア様、ルルア様もお話を聞いて問題ないと判断しました。私も大丈夫だと思います」

「そうか。なら問題はないな」


エノラの部隊も出入りは無し。

編成をやり直すことはないから、このまま運用できるか。


「よし、後方の話は分かった。あとはこっちの動きを決めていく。現在……」


こうして、エノラたちの動きもわかったので、予定を立てていくことにする。

ギアダナ王がエノラたちを運用したいみたいだし、大事だったんだよな。



エノラたちを使いたいギアダナ側の意向もあったので、リュシが出向いて情報を集めていたという感じでした。

南砦での収容状態も知れてユキとしては満足でしたが、子供問題が上がっていてどうしたもんかと思っている状態だったりします。



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― 新着の感想 ―
スタシアの母国関係で頻繁に顔合わせする母国側の人っていましたっけ?うろ覚えになってるんですが………
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