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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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2209/2218

第1892堀:妻たちのプチ会議

妻たちのプチ会議



Side:サマンサ



なんか、セラリアに呼ばれたのですが……。


「なんだろう?」

「さあ」


クリーナさんも呼ばれた理由が思いつかず首を傾げています。

まあ、外交関連なのは間違いありません。

なにせ、私とクリーナさんは最近ずっと外交関連で動いていますからね。


ユキ様が新大陸を見つけて南部の開拓を大陸間交流同盟の国々に任せると言っていましたから。

それに、車や医療品の生産方法や道具も貸し出すという大盤振る舞い。

いえ、ちゃんとした生産体制を各国に整えてもらうのが目的なのですが。


そんな大事業、簡単に話がまとまるはずがありませんから、私たち外交組は大忙しとなっているわけです。


「ああ、もしかして、アスリンたちの方で成果があったのかも」

「確かに、南部の調査が進み、安全がある程度確保できるというのであれば、イフ大陸の国々に連絡できますわね」


現在私たちが忙しいのは、この新大陸進出があるからです。

なので進展があれば、少しは楽になり、向こうの手伝いに回れるかと思っていると……。


「いい加減ささっと決めればいいものを」


クリーナさんは相変わらず思ったことをストレートに口にします。

まあ、流石に重鎮相手には言わないようですが、ファイゲルお爺様やイニス姫には言っているようで、苦笑いと、大笑いをしているそうです。

イニス姫はいいとして、ファイゲルお爺様の胃が破壊されないといいですわね。


「兵を出すのは決まっていますわ。問題は、向こうの治安です。というか、人前とかそういうのがありますから」

「だからそういうのもササっと決めればいい」

「できれば誰も困りませんわ。私たちのウィードのように歴史が浅いというわけでも、意思が統一されているわけでもありませんから」

「歴史があるというのがいいとは全く思えない。無駄にプライドがあって足の引っ張り合いをしているだけ」

「……そういう側面もありますが、それだけ国が続いているということが、安心という評価につながるのです」


そう、歴史がある国というのは、それだけ多くの問題を解決してきたということでもあるのです。

国が大きく歴史が深いとなればなるほど、人が多く、その分問題が多くなることであり、そのトラブルを解決しているからこそ今の姿があるわけです。

それは決して、マイナスではなく、その国が力強く歩んできたことを示すものなのです。


とはいえ、クリーナさんの言う通り、歴史が深ければ、国に住む人たちも相応に思い入れや、国の守り方や、発展の仕方に差異、つまり考えの違いがでてきて、それが意見のぶつかり合い、果ては足の引っ張り合いになるのですが……。

それが分からないクリーナさんではないのですが、それでも文句は尽きないようですわね。


「それぐらいは理解できる。とはいえ、やっているのはユキの温情というか、お手伝い枠の分配決め。他人から降ってわいたもので揉めるとか、馬鹿」

「……それは否定できませんわね」


そこに関しては同意です。

自ら相応のリスクを負って、国家事業を立ち上げようとするのであれば、まだ負担の大きさから悩むのは当然ですが、他人の土地というか、敵対者がほぼおらず、ほぼ人員を送り込むだけですからね。

考えることは確かにありますが、判断が遅いと思うのはわかります。

とはいえ……。


「しかし、地政が安定していないというのも確かなことです」

「それは、こっちの都合であって、向こうの準備が進まないのは関係ない」

「……むぅ」


珍しくクリーナさんの言葉に反論を返せません。

確かにその通りです。

私たちがまだというのはこっちの都合で、向こうの準備が整わないのは関係ありません。

さっさと行かせてくれという方が、向こうのやる気が見えるというモノ。


「はぁ、とりあえず。私たちが新大陸へのサポートするのはまだ先。あるいは、決まらない内は私たちが新大陸に注力しておくってのもあり?」

「流石に窓口はあった方がいいとは思いますが……。それは手かもしれませんわね」


話が進まない会議を待つとか意味がありませんし、それなら新大陸が少しでも早く安定するようにそっちに私たちが向かうというのもありかもしれません。

向こうもこちらが呆れたと多少は焦るかもしれませんし。


「うん。なら、セラリアに話してみよう」

「そうですわね。別に私たちだけが窓口ではありませんし、気分転換というか、私も現場を見る必要はあるでしょう」

「サマンサの言う通り、私たちが現場を見て、意見を言えばもっと話がまとまりやすくなる」


嘘も方便といいますか、別に嘘を言っているわけではありませんし、私たちも同じ現場にいるよりは新しい風と言いますか、そういうのを入れることで新しい動きがあるかもしれませんからね。


と、そんなことを話している内に呼び出されたセラリア様の執務室へと到着します。

一般の人であれば、ノックをするのもためらう場面なのですが。


「私、入る」


クリーナさんはためらいなく、そう言ってドアを開けます。

普通、女王がいる部屋にそんな雑なと思いますが、私たちにとっては身内ですからね。

そして、中にはセラリア様だけでなく、意外なことに、それなりの数の身内が集まっていました。


「来たわね。座って頂戴」


そう言われて、長めのソファーに促されます。


セラリア様、クアルは執務机でいいとして、ルルア様、カグラさん、ミコスさん、エノラさん、リュシと集まっていて、狭く感じます。

まあ、ギリギリ、座れないこともありませんが。


「びっくり。みんなどうしたの?」

「ですわね。全員というわけではないようですが、何かトラブルですか?」


ここまでの人数を集めるというのは、中々ありませんわ。

相応の事態が起きたとみるべきでしょう。


「まあ、起きたと言えば起きたのよ」

「そう、ですね……」


答えたセラリアとルルアは苦笑いをしている。

そこまで急を要するわけではないようですが、どうもはっきりとしませんわね。

普通なら何が起きたのかをズバッと言って、解決策を考えるのですが……。


「ん? よくわからない。私たちを呼び出したのはなぜ?」


クリーナさんもこの状態に違和感を感じたようで、問題を聞き出します。

すると、全員顔を見合わせて。


「そうね。黙っていても、言葉を濁しても意味は無いわね。はっきり伝えましょう」


セラリアはそういって、一息置いた後。


「カグラ、ミコスが子供のことでキャリー姫に詰められているのよ」

「「は?」」


思っていたことと違う言葉が出てきて、思わずそんな声が出てきてしまいました。

いえ、違いますね。

確かに、馬鹿にはできない内容ですし、貴族の娘として嫁いだ身としては、子供の有無は文字通り死活問題になりかねません。


「なるほど、それは確かに問題ですわね」

「……よくわからない」


ここでクリーナさんと意見というか、感想が別れました。

まあ、そこは仕方がありませんわ。

何せ、クリーナさんは魔術師として望まれていましたわ。

ファイゲル老師も顧問ですから、貴族としての立ち居振舞いを求めたわけではござません。

それに魔術の才は遺伝しづらいと言われていますから。

元々クリーナさんも養子ですし、そういうと跡継ぎは考えていないのでしょう。

と、そこはいいとして……。


「具体的には、もう後ろが動き出している感じでしょうか?」

「いえ、話を聞く限り姫様はそこまでは」

「でも、カグラにもミコスちゃんにも話が来ているってことは……」


そうですね。

お二人に話が来ている時点で相応の圧力がかかっている可能性がありますわ。


「それなりに突き上げを食らっているのでしょう」

「そうね。まだ未婚であるキャリー姫からそんな言葉が出るぐらいよ? あの子、そういう所も気遣いはできるんだし、相当面倒になっているとみるべきね」


私の考えは二人も同じらしくそう言う。

まあ、口に出す時点で相当ということですわね。


「でも、キャリーを、いえ、周りをどうやって納得させるかってことになるわよね。下手すると、ハイデンから別の女性が送られてくるわよ?」

「は? どうして?」

「ああ、えーと、クリーナ。まず女性の貴族ということを考えてね。基本的に貴族は子供を残して、後を継がせるわけ。でも、カグラとミコスはユキとの子供がまだいない状態。それを見て、貴族の女として不適格って文句が出ているのよ。そっちのイフ大陸も男尊女卑が強いでしょう?」

「……ああ、なるほど。理解した。不快だけど」


クリーナさんもエノラさんの話で理解はしたようですが、顔はしかめっ面ですわね。

私も同じです。

まったく面白い話ではありませんし、子供をおもちゃというわけではありませんが政争の道具という扱いなのが特にです。


「まあ、まず確定していることをいうわよ。私たちはもちろん、ユキも含めてカグラとミコス以外の女性を迎え入れるのは無理よ。今更交代とか部署的な意味でも無理だわ」

「はい。信頼がありませんからね。今更カグラたちを引きずりおろすということが問題なのが分かっていないようです」


その通りです。

まあ、本当に仕事だけであるなら、交代も普通のことではあるのですが、私たちユキ様の妻の仕事はそれだけではありません。

多くの表に出せない仕事を抱えています。

それをカグラやミコスも担っているのです。

今更、何も知らない、自分たちの利権を狙った馬鹿者が来ても私たちが大変なだけです。

そう思っていたのですが……。


「……確かに、みんなの言う通り、カグラやミコスの代わりはいない。でも、下働きというか、お手伝い枠ならいてもいいんじゃ? ユキの妻とかじゃなく、完全にソロみたいに下部組織というか、そういう使い道は無い?」


クリーナが珍しく、うがった意見を言います。

ふむ、確かに私たちは常に人手不足。

人員が補充できるのであれば、それは良いことです。

まあ、暗躍とかしない限りはとなりますが。


「それに、カグラやミコス、それにエノラは……エノルがいるか。まあ、そこはいいとして、将来子供ができるのは当然。後釜というかサポーターはいた方がいい。キャリー姫の為にも」

「そうね。言われてみればその通りね。私たちやサマンサやクリーナの時はそこまで規模が大きくないとは言わなけれど、今とは比べるべくもなく落ち着いてはいたし、そこらへんで説明をしましょう」


そうですね。

受け入れる方向で、ただし、キャリー姫の部下として。

向こうにもそういう意図を伝えればあのお姫様なら上手くやってくれるでしょう。


「で、そこはいいとして、二人とも、ちゃんとユキとやっている?」


おっと、クリーナさんの言う通りでした。

まずはそこですわね。

不和があったりなどは?


「「やっている」」


二人とも即答ですわね。


「いまだに負けるわ」

「ユキ先生はタフだよね~」

「ん。ユキは丈夫。まあ、エリスには負けるけど」

「「「あれはちょっとおかしい」」」


とまあ、夫婦仲は問題なさそうですわね。



エリスは強い。

そして、ユキも奥さんが増えたので、そこら辺の補助を享受しています。

サポートがないと干からびるからね。


そして、話し合いの結果、優秀な人員を引っ張り出す口実に使おうという話になりましたとさ。


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― 新着の感想 ―
突き上げがあるのもそうですが………キャリー姫、この事態を見越しかつ次は授かるのがカグラ達だと予見して敢えて口にしたのでわ?
私感で感想 大奥、怖い恐いこわいコワイ!
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