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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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2208/2218

第1891堀:相談の結果

相談の結果



Side:ルルア



色々話してセラリアの執務室からお暇しようかと思っていたら、エノラとカグラが入ってくる。

向こうは私たちがいるとは思わなかったのか、目を見開いて驚いている感じですね。

まあ、私たちが仕事時間中に出くわすというのは珍しいですから。


「あ、カグラじゃん。あと、エノラも」

「なんで私がおまけみたいなのかしら?」


ミコスも気が付いたようで、いつものように二人に声を掛けます。


「カグラの方が先だったし~。そんなに気にしてたらはげるよ~。で、どうしたのって聞くまでもないか」

「そうよ。セラリアに報告。ルルアとリュシがいるってことは、患者のことってわかるけど、ミコスはなんで? 逆に私からしたらミコスがいるのが不思議だわ」

「なにを~。ミコスちゃんも仕事をしているんだからね~。ほらこれ」


そういってミコスは先ほど見せていたカタログを二人に渡します。


「ああ、そういえば各国用のカタログを頼まれていたわね」

「そっか、これがあったわね。これ、持って行っていいの? お母さまやエノル大司教が欲しいって言ってたし」

「あ、ごめん。まだ最終チェックが終わっていないからまだ」


セラリアの認可がなければ各国には出せませんからね。


「そこまで時間はかからないわよ。私が許可をだして、修正をして生産だから、およそ一週間ってところかしら?」

「大きな問題がなければそれぐらいで行けるかな~?」

「そう、それなら姫様にはそう伝えておくわ」

「私もハイレ教会に言っておくわ」


出来栄えを見るに大きな修正はないのでしょう。

私もサンプルに欲しいぐらいですから。

ああ、そういえば病院用のカタログの更新を頼んでみるのもいいかもしれません。

あれは、各国用であり、施設用ではありませんからね。


「それで、ミコスが来た理由は分かったけれど、エノラは?」

「ああ、ルルアとリュシは患者のことのようだけれど、私はその奪還に関わった兵士の話」

「「「……」」」


エノラは簡単に言いますが、あの惨状を見て、話を持ってきたということは、精神的に問題があったということ。

ミコスはその意味が分かっていないようで、きょとんとしている。


「エノラ、動けなくなったというか、部隊を外した方がいい人員がいるってこと?」

「カウンセリングがいりますか?」


セラリアと私がすぐに言葉を続ける。

この手の問題を抱えた兵士は早急に対応をしなければ、現場で致命的な失敗が起こる可能性があります。

リュシもわかっているようで、私の視線を受けてすぐに頷きます。


「そうね。ルルアがいるのはありがたいわね。とはいえ、私の判断としてはそこまで気にしていないのよ。大丈夫だとは思うけれど、その相談ってところかしら。はい、これ」


どうやら、緊急というわけではなく、セラリアに相談しに来たということですか。

とはいえ、気になるので、セラリアに渡された書類を一緒に見ます。

セラリアも私が一緒に見る方がいいと思っているようで、机に書類を広げて見やすくしてくれます。

それに目を通していくと……。


「なるほど、確かに微妙な所ね」

「……そうですね」

「でしょ」


私たちの言葉にエノラがそう答える。

カグラとミコスは専門外のことなので、どうしたものかという感じで……。


「えーっと、私たち邪魔じゃないかしら?」

「だね。席外そうか?」


そう言ってきます。


「別に邪魔じゃないわよ。それにカグラやミコスも関係のあることだし聞いておきなさい」

「そうですね。二人も無関係ではないですし」

「ま、そうね。カグラには話したけど、ミコスも聞いておいて損はないでしょ」

「はい?」


ミコスはこちらの話が分かっておらず首をかしげます。

なので、書類の内容を説明します。


「ああ、兵士の精神負担ね~。まあ、わかるよ~」

「あら、ミコスもわかるの?」

「いや、ミコスちゃんだって、カグラと一緒にあのバイデの防衛には参加していたんだし、戦場には二度と出たくないって学友はそれなりにいたし」

「まあね。あれは大変だったわ」


ミコスもカグラも旦那様をさらったとき、切羽詰まった状況でしたからね。

正規兵はさっさと突撃してほぼ戦死。

残ったのはバイデの領主のキャサリンさんの私兵と、キャリー姫の鼓舞を受けた学徒兵だけ。

それでよく持っていたと思います。

その極限の中で精神が崩れしまう学生がいても何も不思議ではありません。


その中で旦那様を呼び寄せたことは、ある意味助かったことでしょう。

何せ、意味が分からない形で戦場で主権を奪われたんですからね。

と、そこはいいとして……。


「本当に微妙ですね。戦意が向上しているですか。まあ、よくあることではありますが……」

「そうね。悪者をぶっ飛ばして、被害者をみて怒りを募らせるというのは普通の事なのよね。とはいえ、それで理性を吹き飛ばしているとは……」


流石にそこまで兵士も単調ではないはずです。

何せ、ウィードではその手の挑発行為に対する我慢も訓練の一つですから。

集団行動という意味をしっかりと教えてありますし、組織として、命令を遵守するという大事さはわかっているのです。


「エノラ、改めて聞くけど、問題はないと思っているのね?」

「ええ。ただ、あそこまで凄惨な現場を見たという事実はあるからね。そこは判断を仰ごうかと思っているわけ」


なるほど。

確かに医療班であれば、酷い怪我などはよく見る立場です。

ですが、だからこそ、その傷がどうやってつけられた傷かがわかるわけです。

何をもって、何を目的として、その傷が出来たのかと……。

医療という人を癒す術を持っているからこそ、その意図がわかってしまう。

その分の怒りは並大抵ではないはずです。

そこを含めて、エノラは問題がないと思っているわけですか。


「私としては、エノラの判断を信じたい。部下たちも日が経っているし、安定しているものと判断もできる。ルルアはどう思う?」

「そうですね。確かにセラリアの言う通り、日数が経ってから、落ち着くこともあるとは思いますが……。カグラ、ミコス、リュシ。どうです? 忘れるというと違うかもしれませんが、記憶は薄れますか?」


そこで、凄惨な現場を生き抜いている、あるいは被害者である3人に問いかけます。


「……正直に言うと、忘れる、記憶が薄れるのは事実だと思う。でも、思い出すというのはあるわ。私もね。バイデの防衛戦で死んだ正規兵たちとか、教会地下での凄惨な現場とか」

「そうだね~。夢に見るときはあるかな~。とはいえ、一応こうして発狂せずにはいるよ~。あとは個人の資質だとは思うから~」

「はい。私もカグラ様やミコス様の仰る通りかと。あの時のことは決して忘れません。それで怒りがこみ上げることもあります。それでも私がこうしているのはユキ様やみんなのおかげというのがあります。それを思い出して暴走はしないように努めています。ですから資質だとは思うのですが、皆さまが信じたのなら、いえ、それが大事だと思います」


なるほど、リュシがいう言葉が事実かもしれません。

まずは私たちが信じることが大事だと。

セラリアもそこを感じ取ったようで。


「そうね。特に目立った問題はないとエノラが判断している。そうなると、後は私たちの心配のしすぎか。兵たちを信用しなくては器が疑われるわね」

「まあ、旦那様なら別に何も言わないと思いますが。用心に用心を重ねたと言って」

「ええ、夫ならそう言うわ。でも、それで遅滞させて困るのは私たちではないわ。いまだ捕まっているかもしれない亜人たち。そうね、エノラ?」

「そうよ。怒りはある。でも、我を失えば、被害は民衆に向く。それがあるから理性は失わないって本人たちも言っている」

「ああ、本人たちも問題は把握しているのですね」

「なにせ、私たちの部下は医者としての資格もあるから、その手の精神的なことも知っているわ」


言われてみれば当然ですね。

カウンセリングが出来るかはわかりませんが、精神的な病というのは勉強しているはずです。

その判断方法も知っていて当然です。

まあ、自己診断は危ういですが、それもしっかりしているでしょう。


「ならなおの事問題ないわね。自分たちで対応もしているならそれでいいわ」

「はい。そうですね」

「私もそう思います。助けるって目的があるなら、無茶をするとは思えません」


リュシも含めて納得をして、エノラの話はそのままの編成で行くということになりました。

それで、すべてのお話が終わったかと思ったのですが……。


「あ、そうそう、セラリア、あとルルアもいいかしら?」

「なに?」

「なんでしょうか?」


エノラが解散前に私とセラリアに声をかけてきました。


「別件と言えば別件であり、雑談と言えば雑談なんだけど、相談事。聞いてくれるかしら?」

「ちょっと」

「いいから」


なぜか、話しかけてきたエノラではなく横にいるカグラが止めています。

ふむ、何か聞きにくいことなのでしょうか?


「ん? 別にいいわよ」

「はい。大丈夫ですよ」


大仕事中ならともかく、大体の話は終わりましたし、ここで雑談交じりに相談を受けるのは何も問題はありません。


「で、なに?」

「まあ、さっきの様子で分かったとは思うけど、カグラとそっちのミコスがちょっとキャリーから色々言われているのよ」

「色々ってお仕事でしょうか?」

「まぁ、お仕事と言えばお仕事なんだけど、プライベートと言えばプライベートなのよね」


ん? どういう意味でしょうか?

セラリアは分かるのかと思って視線を向けると。


「……ああ、なるほど」


どうやら分かったようです。


「セラリア、教えていただいても?」

「まあ、あまり面白くはないけれど、キャリー姫としては、待望よね~。ルルアもわかるでしょ。子供よ子供」

「……ああ」


答えを言われてようやく納得が言った。

確かに、子供を早くと言われても、流石に……。


「えーと、つまりカグラ様、ミコス様はキャリー姫様に早く子供を作れと?」

「その通り。で、間違ってないわよね?」


セラリアが確認を取ると、カグラとミコスがばつが悪そうな顔で頷く。

確かに、これは仕事と言えば仕事ですが、プライベートと言えばプライベートですね。

とはいえ……催促したからと言って……。


「よし、ちょっと話し合いましょう。これ、下手するとかなりまずいわ。フォローするにもちゃんと把握しないと」

「その通りですね」


簡単に解決できる話ではありませんので、ちょっとしっかり話し合いましょう。





子供問題。

これ、簡単にかたずけてはいけません。

しっかり話して対策建てるのは大事。

家庭崩壊の一歩かもしれません。

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