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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第1882堀:冒険者ギルドの後処理と今後の対応

冒険者ギルドの後処理と今後の対応



Side:ミリー



「はぁ……疲れた」


私は思わず、天井を見上げながらそんな声を漏らすと……。


「お疲れ様」

「お疲れですね~」


そんなことを言いながら、エリスとラッツがやってくる。


「やっほ~、二人とも。いつの間に入ってきたの」


会議室には私一人だけだったのに、気が付けば二人が入ってきている。


「ミリー、天井見たまま寝ていたわよ」

「ですよ~。ほら、飲み物です」

「そうだったの……。ありがとう」


そんな醜態をさらしていたとは。

寝ていたなんて。

もらったお茶を飲む。


「にが……でも、これぐらいがいいわね。ユキさんの前じゃなくてよかったわ」


濃いお茶のおかげで意識がはっきりしてくる。

本当に会議中に意識を失うようなことがなくてよかったわ。


「しかし、夜は寝ているんでしょ? それで今これってどれだけ忙しいのよ?」

「あのウーサノとアーエの件がそんなに問題なんですか~?」

「まあ、全部が全部それが原因とは言わないけれど、大きな問題点ではあるわね」


本当にあの一件での問題は後始末を含めても色々大変。


「結局、スアナの町の調査は引き続きってことになったのよね?」

「ええ。今日の会議で報告書は出すけれど、2人ならいいか。結局のところスアナの町のギルドの動きについてはあくまでも領主の依頼での魔物確保をしていただけだし、処罰はなし」

「それは、そうよね。あくまでも仕事をしていただけだし」


そう、あくまでもギルドは罪には問えない。

領主が巧妙にやっていたってだけだしね。


「事件は表ざたになっていませんからね。って、魔物を確保していた村が焼けた件はどうなったんですか?」

「それが面白くないっていうか、面倒っていうか、キシュアたちが魔物を仕留めて焼き払ってくれたんだけど、その原因は何なのかって話になっているのよ」

「当然ですね」


ラッツの言う通り、当然ではあるんだけど……。


「村の関係者が行方不明ってことになっているのよね」

「「はぁ!?」」


私の発言に声を上げる2人。

いや、それは当然よね。

何せ、あの村にいた人たちは村人ではなく、ただの雇われ。

ユキさん風に言えば会社員。


「まってください。あの村にいた連中は関係者でしょう? それを解放したということですか? 村で魔物を飼育していた証人ですよね?」

「ですよね~。それが行方不明ってどういうことですか?」

「ああ、言葉が悪かったわね。ウィシーって覚えている? キシュアたちと一緒に仕事をしていた人」

「覚えているわ。冒険者ギルドの執行者よね?」

「そう。たった4人で村に駐在していた連中を全て捕縛出来ていたわけじゃないのよ。というか、あの時にいなければ捕まえようがない」

「「ああ」」


私の説明ですぐに納得してくれた。

何せ、村を襲撃したのは夜。

当日現場にいた連中はともかく、その場にいない連中をしょっ引くことはできなかった。

それだけの話。


「急ぎすぎたってこと?」

「そうともいえるけど、時間を掛ければ全員捕まえられたかっていうと……」

「微妙ですね。領主が噛んでいるし、冒険者ギルドが今回の犯行っていうとあれですが、村を焼き払ったというのは秘密ですからね。根こそぎ関係者を確保するっていうのは無理があるでしょう」


ラッツの言う通り、現状冒険者ギルドは表向き何も知らないってことになっているのよね。


「今回は敵の財布を削る方向になったからね。ウィシーやグランドマスターからも、下手に領主を詰められないって言ってたからね」

「まあ、あくまでも魔物研究のためってことで押し切られるものね」

「暴走しなければって言葉がつきますけど。数が過剰ってことで押せなかったんですか?」

「数の過剰かどうかなんて、国ごとで規定も違うし、今まで管理されていたって実績があるのよ。外からどういっても……」

「今、管理できているという証拠があるわけですね~。下手に認可されてしまえばなおのこと動けなくなりますし」

「それを考えると、キシュアたちの作戦が妥当ね」


そう、国が公に認めれば、なおのこと動けなくなる。

とはいえ、それを使った暴走は行えないけど、それをまたどこかに移送して、何かを企む可能性は非常に高い。

そうなると、エリスの言う通りキシュアたちの作戦が一番無難だったのよね。


「それで、関係者が行方不明っていうのは、やっぱり?」

「ええ、ウィシーから捕まえた連中から口を割らせ、向かったんだけど行方不明。事件のことはまだ広がっていない時だったから……」

「定時連絡をする人物が知って上に連絡、そして拘束? あるいは殺害ってところですか?」

「そうね。まあ、関係者全員ってわけでもないんだけれど」

「そりゃそうでしょ~。どれだけを関係者とするかわかりませんが、村を全部魔物の繁殖というか保管場所にしておけば関係者なんて山ほどですし~」


ラッツのいう通り。

今回のことは規模が大きすぎるから関係者は山ほど。

そして責任者というのは最後には領主に行きつくんだろうけど、そこまでに至るまで、どれだけ人がいるか。

そこをちゃんと押さえなければ、トカゲのしっぽ切りで終わってしまう。

そういう意味でも村と魔物を焼き払ったのは間違いじゃない。

拠点と魔物、両方を失えば簡単に補えない。

それまでにつぎ込んだ分も喪失。

その間に情報を集めるっていうのは間違いないわ。


「話は分かったけれど、それでなんでミリーがそんなにいそがしいわけ?」

「確かに、もうウーサノとアーエは手出しがほぼできない感じですよね。冒険者ギルドが主導で、別にミリーが口をだすというか、手伝う所ってあるのでしょうか?」

「まあ普通ならそうなんだけど、今回、スアナの町からの、まあ具体的にはアルカさんからの支援要請はなぜかウィードに届いているのよ。いえ、グランドマスターがいるからというのはわかっているけれど……」

「ああ、それでウィードに疑いがかかりかねないと」

「まあ、言いがかりと言えば言いがかりですけど、実際に私たちも動いていますからね~。事実、新大陸に関わる行方不明事件は私たちががっつりかかわっていますし」


そう、何にも手を出していなければ放っておいても、探られても問題があることはなかった。

いえ、ばらされるとまずい情報っていうのはあるけれど、別にウーサノやアーエに関係することではないし、大国を敵に回す内容。

でも、今回は勝手に国に侵入して、色々やっていたからね。

下手をしなくても、色々不味いのよね。


「だから、ウィードの冒険者ギルドは仕事をしていて、何も手を出していないってことにしないといけないって判断になったのよ」

「あ~。忙しくて手を出している暇はなかったと?」

「なんか、無理がありません? ミリーが忙しいかどうかなんて、冒険者ギルド本部の動きには関係ないでしょう?」

「それでもよ。あくまでもウィードは忙しかったってスタンスは必要なの。これから、果ての村の人たち受け入れ作戦もあるんだし、カモフラージュが必要なのよ」


そう、ついでというとあれだけど、誘拐事件にかかわったあの村の人たちの移送というか、逃亡を手助けすることにもなっている。

あそこに置いておけば、ウーサノが新大陸と関わりを持つ可能性もゼロじゃない。

そうなれば、本当に大混乱になりかねない。

そういうことを阻止するためでもあるのよね。


「なるほど~。そうなると、ミリーの仕事はその移住の仕事ですか?」

「そう。あくまでもウィードは手出しはできないし、冒険者ギルドがやったってことにしないといけない。もちろん、ばれるのは避けたいから秘密裏には動くけど」

「村の人たちの安全の為とはいえ、勝手に国民を攫うような行為ですからね」

「そう。だからそれは絶対にばれちゃいけない。なのでそれに関することを色々やっているのよ。ウィードが裏で手引きをするけれど、冒険者を派遣したのは冒険者ギルドだしね」

「ああ、手引きをしていると思われてしかたがないですからね。だから、仕事をしているふり……ってわけでもないんでしょう?」

「そりゃね。意味のない書類仕事をするぐらいなら、意味のある書類仕事をするわ。それと並行して、ウーサノのこともやっているから二倍近いのよ」

「……話はわかったけれど、そこまでくたくたになるなら調整は必要なんじゃない?」

「ですね~。下手に疲れてミスをするようなことになれば本末転倒だとは思いますが?」


うん、二人の言う通り。

無茶なスケジューリングではあるのよね。

普通に残業でもいいんじゃないかってことなんだけど、残業は別の仕事をしているんじゃないかってことにもなるし、あくまでもウィードの冒険者ギルド内の仕事を定時で終えて家に帰っているってことにして置いた方がいいって判断になったのよね。

それに……。


「もう大体終わっているから、今日、ユキさんやセラリアと話して認可が取れればいいのよ」

「あ、そこまで行ってたのね」

「それならその忙しさは今日までってことですか?」

「ええ、無茶な仕事は今日までね。ま、今までも忙しいのは間違いないけれど」

「それはね。そういえば、新大陸のことは聞いてるの?」

「そこはあまり、なんかヴィリアたちがクリアストリーム教会に踏み込んだって話は聞いたけれど、そのあとどうなったのかは全然」


そう返事をすると、ドアが開いて。


「その話を今からする予定なんだよ」

「あ、ユキさん」


噂をすれば影というか、本人がすぐにやってきた。

まあ、会議っていうと早急なのはそれよね。


「お兄さんお待ちしてましたよ~。何かおかし食べます?」

「何か飲みますか?」


ラッツとエリスも同じように声をかけて、お世話をしようとするんだけど……。


「いえ、奥様たちはそのままで。私たちにお任せください」


オレリアが前にすっと出てきて、ホービスとヤユイが即座に動く。

プロフは荷物をもって準備を始めている。

で、リーアはというと、こっちを見て苦笑いしながら。


「みんな優秀でしょ?」

「そうね。頼もしいのだけれど、匙加減が難しいわね」

「ええ、オレリアたちの頑張りはわかりますけど、これだとユキさんに飛びつけないですね」

「ですね~。甘えたいというか夫婦のスキンシップをどうとるべきか」

「そこらへんはな。オレリアたちがそれだけ優秀になってくれたってことだしな。どう思うプロフ?」

「難しいですね。奥様たちがユキ様と触れ合いたいのは分かりますが、私たちも身の回りのお世話は当然のことですし……なにか合図のようなものがあれば……」


合図か。

別に珍しくもないけど、オレリアたちとはそういう所は話してなかったわね。

今まではそこら辺の余裕がなかったから、よし、会議ついでにそのことも話してみましょうか。



ウーサノのスアナの町、そして魔物を飼っていた村に関してはあくまでのノータッチになるわけですが、裏では物凄く面倒なことをやっている模様。

そして、ユキとの触れ合いルールの制定をオレリアたちのお世話関連も含めて考える必要あり。

それだけ、オレリアたちが使えるようになったということですけどね。



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― 新着の感想 ―
やっぱり政治ってモノ凄く面倒ですね。事実と真意を漏れなくそして正しく汲み取らなきゃならず、その上で今出来る最善策を打たねばならないが………大局を見据えた策でもなければならない。めんどくさ過ぎます
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