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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第1881堀:南部調査隊出発直前会議

南部調査隊出発直前会議



Side:フィーリア



「じゃ、気を付けて行ってくるのですよ」


フィーリアがそういうと、第一陣、というと大げさですけど、それでも先行調査という形で出発する第一部隊の皆は元気に返事をするのです。


「任せておいてよ」


そういうのはワズフィ。

アスリンやハヴィアと同じ魔物研究者で、腕っぷしも相応にあるのです。


「そうそう、鉱石のことはそこまで詳しくはないけど、僕もほかの分野ではフィーリアたちには負けていないからね」


エージル姉様がそうドンと胸を叩きます。

台地の研究で忙しいはずなのですが、崖下の環境も気になるということで付いてくることになったのです。

まあ、有識者が増えるのはありがたいですし、指揮官としてはとても優秀なのです。

気になるところは研究が優先で周りが見えなくなるところなのですが……。


「ま、二人は任せておけばよい。妾がいざという時は殴ってでも連れもどすからのう」


そして、一番信頼できるデリーユ姉様。

この第一部隊の戦闘要員なのです。

間違いなく、最強なのです。

戦いならまず判断を間違えることはないのです。

エージル姉様も一緒ですから、指揮も問題ないので、こういう編成になったのです。


で、3人の状態というか、意気込みを確認したところで……。


「じゃ、改めて状況を説明するね」


アスリンが作戦の概要を説明し始めるのです。


「当初の予定通り、ワズフィお姉ちゃんたち第一部隊は崖下の始まりがあるところにゲートがあるから、そこから崖下へ降下して、そのまま南下を始めます」


そう、意外とハードなのが、最初は崖を自力で降りるのです。

もちろん一応ドローンによる先行調査はしているので、降りる場所も確認しているのですから、ある程度安全は確保しているのですが……。


「崖を降りる際には細心の注意を。魔物の出現は今のところ確認されていませんが、いつ不意打ちがくるとも限りません。ドローンに反応しないだけで、人が行けば反応する可能性は大いにあります」


今までは機械のみの侵入しか行っていないから、人が行くことによる環境変化が何を引き起こすのかわかっていないのです。

まあ、魔物でも出てくればどこから出てくるのかっていうのがわかるのですから、フィーリアたちにとってはありがたいことですが。


「基本的には崖下の状況を記録、調査しながらそのまま崖下を南下、北部や東西へのルートを見つけても記録のみにとどめてください。まずは南の調査が先です」


うん、これは前もって決めていたことなのです。

気の向くままにふらふら調査をしていては全然南部の調査は進まないのです。

いや、結局のところ詳しい調査をしないといけないのですが、フィーリアたちが最優先するべきは……。


「今回の南下調査の目的は、あくまでも魔物の大氾濫の理由を調べるためなのです。環境や資源の調査はもちろん大事ですが、そこを忘れないでください」


そう、魔物が北上してきた原因を調べるためなのです。

今のままでは防衛に膨大な戦力と物資をつかっていて、これ以上の調査拡大が難しくなったのが、調査停滞の原因なのです。

まあ、調査をする人員が足りないというのも事実なのですが、それでも防衛のための戦力をラインに張り付かせる必要が無くなれば、それだけでかなり楽になるのです。

防衛場所が絞れればそれだけ効率化できるのです。


「制限時間は作戦開始より8時間とします。休憩を入れて8時間です。なので実働は約6時間と考えてください」

「え、休憩2時間もあるの?」


アスリンの説明に驚いているのはワズフィなのです。

まあ、普通は1時間ぐらいなのですから、驚いて当然なのですが……。


「まとめてじゃないよ? 途中で小休止とかもあるだろうし、それを含めて大体6時間かなって話。各々が勝手に休憩を取ると全然進まないだろうし、そこは意見をまとめて休憩時間をとってください」


そう、オフィス、つまり生活空間が用意された場所ではなく、自然の中なので、トイレをするにも簡単にはいかないのです。

もちろん、食事や休憩についてもなのです。

各々が適当にというわけにはいかないのです。


「ああ、なるほど。確かにそれだと2時間ぐらいはいるか」

「もちろん、あくまでも目安です。エージルお姉ちゃんやデリーユお姉ちゃんから見て休憩が必要だと思えば十分に休んでね」

「わかったよ。そこらへんは任せてくれ」

「うむ。みんなの体力や体調については十分に配慮しよう」


ワズフィはともかく、エージル姉様とデリーユ姉様ならこういう管理はちゃんとするので安心なのです。


「調査速度は基本的に歩くぐらいの速度だから、6時間で20キロの予定です」

「徒歩で調査をしながらだとそれでも速いぐらいだね」

「うん。何か興味が引かれるものがあれば調べてください。大氾濫の原因が大きな目的ではあるけれど、南下のルートの調査の手を抜いてってわけでもないからね。地道に調べて行ってください」


流石に駆け抜けると、その手の調査は本当の余程目につかない限りは詳しく調べたりはできないのです。

なので、南下は徒歩である程度観察しながらというのが大事なのです。

一応ドローンを使った記録も同時に行うのですが、それでも現場に研究者がいるというメリットを有効活用しなければ意味がないのです。

それだけなら、ただ単に軍の中でも足の速い連中を進ませればいいだけなのですから。


「僕やワズフィとしては嬉しい限りだけど、護衛のデリーユは暇になるかもね」

「ふむ、確かに研究云々はわからぬからな。ま、未知の場所を冒険すると思えば問題ない。あるいは本でも持って行って読んでおるさ」

「うん、娯楽関連は一応仮拠点用のコンテナハウスにも置いているけど、自分が楽しい物が一番だから、そういうモノは個人で持って行っていいです」


その通りなのです。

こちらで色々用意はしているけど、この手のストレス解消の方法は人によって全然違うのです。

まあ、これは以前から伝えてはいたんですが。


「そこは大丈夫。色々もってきているから。それで、改めて確認するけど、今話題に出たコンテナハウスを仮設拠点として進んでいくんだよね?」

「そうなのです。コンテナハウスを置いてそこで宿泊、休憩をしつつ、どんどん南下していくのです。コンテナハウスは移動時には回収して、その場には定点監視のドローンを置いていくのです」


それで、通過地点の監視はできるのです。

理想を言えばゲートを置いて防衛もできればいいのですが、そんなに戦力がないからこそ、こんな手法を取っているのです。


「フィーリアちゃんの言う通りです。あと、コンテナハウスの中にゲートも併設しているので、それを回収して展開する作業もあるので、注意してください。今のところ、問題が出たことはないですけど、いつ不具合が出るかは予想できないです」


そうなのです。

今回の調査の要である、ゲートでの瞬間移動による、部隊のローテーション探索なのですが、そのゲートはコンテナに置くことによって現地で何度も出したり廃棄したりしなくてよくなっているのですが……。

その分、耐久性が気になるところなのです。

なにせ、コンテナを出し入れするのですし、置く場所によってはコンテナ自体が傾くこともあるのです。

その際に壊れたり、座標が正確に検出されなくて、動作しなかったりというのが考えられるのです。


「まあ、そこは把握しているから大丈夫さ。何せ、空母の方にはどちらもゲートを設置して動いているし、心配はしていないけどね」

「じゃな。とはいえ、考慮して置けという話じゃろう」


デリーユ姉様の言う通りなのです。

エージル姉様の言う通り、ウィードが所有している空母ルナ、および空母リリーシュは、移動する要塞とでもいうべき存在なので、なんとかしてゲートをくっつけることに成功しているのです。

海上でかなり揺れる場所で設置に成功している実績があるので、コンテナでも問題はないと判断しているし、実際使えるのですが、この新大陸の南部でちゃんと動くかはわからないので、注意が必要なのです。


「動かないってことも起こりえるから、そこは注意してね」

「了解。その時はエージルさんやデリーユさんを頼るよ」

「任せてくれっていいたいけど、基本的には即座に撤退が好ましいね」

「うむ。その場で解決できるものではないからのう。時間をかければ動くのであれば問題ないが、空母などでも動いていたものが動かないとなると余程じゃからな」


うん、デリーユ姉様の言う通り、その時は範囲的に魔力が通っていないとか、そういう環境の可能性が高いのです。

流石に、空気中の魔力をどうにかすることは難しいのです。

ハイデン地方ではルナ姉様の魔力や魔物の魔力が集結するのを阻害する結界が張られて、ルナ姉様に関するゲートも含めて膨大なDPが必要になったのですが、魔力自体はあったので、動作不良は無かったのです。

イフ大陸も亜人さんたちが生まれにくくなった環境だったとは言え、ゲート自体の稼働には問題がなかったのです。


「そういえば、ユキ様はイフ大陸でDPの消費量が上がったとかいってたね」


そういったのはナイルアなのです。


「あったね。というかハイデン地方もハイレンお姉ちゃんの結界で物凄い倍率になってたけど」


なっていたのです。イフ大陸はせいぜい5倍から3倍程度だったのですが、ハイデン地方は20倍とかいうびっくり効率だったのです。


「ならダンジョンシステムで常時確認してみるのもいいかもです」

「確かにそうだね。今更ながら気が付いたよ。そういえば、南部の砦はもちろん北部もDPの消費量が変わったって報告は聞いたことはなかったけど?」

「うむ。妾も覚えがないのう。アスリンとフィーリアも今気が付いた感じじゃが?」

「うん。私たちもDPの消費量に変化はないって話だった」

「そうなのです。だから、失念していたのです。魔力異常が大きい場合はDPの消費量が変化するのです。エージル姉様、デリーユ姉様、その確認をお願いするのです」

「わかったよ」

「うむ。そこは確実に行おう」


そんな感じで、少々変更はありつつも調査を開始するのでした。



南部の調査はちゃんと準備を整えて望むようです。

とはいえ、崖下の探索は時間がかかると思われます。

何か発見があるといいのですが。

それはそれとして崖下の世界っていうのも楽しみですよね。

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