表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2193/2218

第1876堀:腕の立つ冒険者はもっと先へ

腕の立つ冒険者はもっと先へ



Side:ユキ



『いや、君たちはCランクになってもらう』


そんな言葉がモニターから聞こえてくる。

現在、俺は執務室でニーナたちの活動を確認しながら書類仕事中だ。

ちなみに、オレリアとホービスはお店準備の関係で部屋にはおらず、サポートはリーアとプロフ、ヤユイ、そしてリュシとなっている。


「えーと、Cランクってどんなのでしたっけ?」


そう聞いてくるのはリーアだ。


「俺もうろ覚えだが、こっちの冒険者ギルドで言う所の3か4じゃないか? 盗賊討伐できるかどうかってやつ」

「あ~。それぐらいのランクでしたっけ、盗賊討伐って」

「意外と人の相手は苦手だっていうやつはいるからな」


冒険者というか、人が人を殺すっていうのは、兵士でも無理な奴がいる。

というかPTSD、心的外傷後ストレス症。

つまりトラウマになって日常生活に支障が出るレベルの問題になることもある。

現代においてもかなりの問題になっている。


だからこそ、この異世界においてもそこが基準で分けられることも多い。

それだけ人を殺すというのはやはり心身に大きな影響があることなのだろう。


『Dを飛ばして、Cランクになった理由をお聞きしても?』


ヴィリアが詳しく説明を求める。

まあ、当然だな。

ヴィリアたちなら平気であっても、普通は無理が過ぎる内容だ。

腕自慢の馬鹿なら喜ぶことだろうが、慎重な人からすれば、難易度の高い仕事に巻き込まれる可能性が高くなるわけだ。

しかも経験を詰まずにだ。


『Dランクは基本的にゴブリンやウルフの群れ、そしてオークの単体討伐となっているが、そのいずれも君たちは既にクリアしている』

『ああ、確かにウルフとかゴブリンの群れはやったな。オークの単体はやってないが』

『オークに関しては、ギルドの試験でオーク以上のランクBの冒険者をぶっ飛ばしているから問題ないと判断している』


ああ、なるほど。

腕っぷしに関しては上位冒険者が腕試しをしていて問題がないと踏んでいるのか。

間違いではないが……。


『お話は分かりましたが、性急が過ぎるのでは? まだ3日でEからCなど珍しすぎるのでは?』


スィーアの言う通り、どこの成功者の駆けあがりだよって感じだな。

注目を浴びるというのは、俺たちにとっても悪い話ではないが、あまりにも裏があると思われるような動きは、逆に動きを制限され問題となる。

それをわかっていないとは思わないが、意図は何がある?


『珍しいがないことじゃない。なにせ、腕の立つ奴は意外と出るからな。まあ、Cランクまでという意味でもある』

『それはどういうことでしょうか?』

『簡単だBランクは対人戦が求められる。盗賊討伐はBランクからだ』

『意外と、高ランクなのですね?』


スィーアの言葉に俺も同意だ。

もっと、ランクが低いかと思っていた。

具体的にはCランクからかと。

リーアともそういう話をしたしな。


『ああ、勘違いしないでほしいが、Cランクでも盗賊の討伐の仕事はある。Bランクの盗賊討伐は50人以上の大規模ってやつだ。指揮もできるというのが条件になるわけだ』

『そういうことか。なら指揮ができるっていえばいいだろう?』

『冒険者で指揮って言われてピンとくる奴は少ない。できて自分の部隊……じゃないなパーティーリーダーだと勘違いするやつもいる。まあ、立派な指揮ではあるが、ちょっと違うからな』


なるほどな。

全体指揮ができるやつをBランクと定義しているわけか。

納得はできるが……。


『それだと、かなりBランクは珍しいのでは? そんなに全体指揮ができる人材がいるとは……』


ヴィリアがそう漏らしたように、そんな稀有な人材はまずいない。

国が求めてやまないからな。


『だから、探すために、Bランクというボーダーを設けているわけだ。大規模盗賊に限らず、強い魔物はこうした全体指揮で追い詰めることも多々あるからな。冒険者ギルドとしても、これは意味があるわけだ』


ああ、こちらの冒険者ギルドは高難易度、ああ、えーと、ゲーム的ではなく、危険度が高い魔物は冒険者を集めて数で叩くって方法を取るわけか。


『まてまて、腕が覚束ない連中を強い魔物に当てるとか、正気か?』


その言葉にキシュアがびっくりしたように声を上げる。

まあ確かに、びっくりではあるが……。


『正気だ。強力な魔物がいるところに強い冒険者がいるとは限らないからな。その場合、数を集めて対応するしかない。まあ、強力な魔物に限らず、数を頼りにする魔物もいる。それをまとめる才能を求めるのは何も間違いではない』

『……そういうことか』

『君たちはドドーナ大司教の秘蔵っ子らしいからな。個人の戦闘能力は高いのだろう。実際Bランクの冒険者を圧倒していたし、遠慮もない。盗賊相手に後れを取るとは思わない。強い魔物相手にも、パーティー単位で戦えばと思うのだろうが、普通はそうはいかない。そのような強者はいて欲しい時に必ずしも居合わせない。だから数を頼るしかない』


うん、ギルド長の言っていることは事実だ。

ウィードではその強者をある程度、生産することが可能だが、それでも数には限りがある。

実際、人手が足りなくて、新大陸の北部、南部での行動に問題が出ているからな。

数はとは、多ければ多いほど出来ることが増えるのは正しい。事実だ。

とはいえ、戦うとなると犠牲も出てくるだろうが、それを言っては何も守れない。


『話はわかったけど。そんなに強力な魔物が出てきてるの? ギアダナ王都ではそういう話は聞かないけど?』


納得はしつつ、ニーナが口を開く。

確かにギアダナ王都のギルドではよくてゴブリンの群れが一番の脅威だった。


『ああ、ギアダナ王都近辺では強力な魔物はいない。というか、ギアダナ王国はそこまで強力な魔物はいない。ドドーナ大司教がいることからわかると思うが、クリア教会はクリアストリーム教会の元となったところだ。その本拠地があるということは……』

『強力な魔物は退治されていると?』

『その通りだ。ドドーナ大司教も元々はクリア教会の凄腕騎士だった。元は冒険者でな。私も彼に色々教わったものだし、強力な魔物が出た時は真っ先に頼る存在だった』


ああ、なるほど。

ドドーナ大司教がいるクリア教会の本部があるってことは、ギアダナ王国はそれだけ戦力が集結していたってことだから……。


『元々はそれだけ魔物の脅威があったのですか?』

『ああ、王国の近くには大きな森があるだろう? 名前をギアダナ大森林と言って、そこには強力な魔物が多くいてどの国も手つかずという状態で、森から出てきたのを何とか数に任せて退治していたわけだ。だが、それでも完全にとはいかない。ギアダナ王国は魔物の脅威と常に戦っていたわけだ。それが落ちついたのが30年ほど前だ。大規模な討伐作戦が組まれ、ドラゴンが20匹以上出てきて、それを超える強力な個体も出たと聞いている』

『聞いている? 正体はなんなのですか?』

『そこは聞いていない。当時は新人の冒険者で森の討伐に参加しただけだしな。そこで、ペトラ清司教とも一緒に戦った』


お、ペトラ清司教。

クリアストリーム教会のトップだ。

看板には良いという話だったが……。


『ペトラ清司教というと、クリアストリーム教会の?』

『ああ、彼女も俺と同じ新人ではあったが、ドドーナ大司教の弟子という扱いでな、森の奥に踏み込んで討伐に一役買ったという話だった。今の状況を見れば実力はあったということだろう』


どうやら、このギルド長、噂のペトラ清司教のことを見たことがあるようだ。


『まあ、そこはいいとして、その戦いの末、ギアダナ大森林は解放されたわけだ。おかげでここ30年近くはギアダナ王国は魔物の出現率が少ない土地として平和だ。まあ、おかげでクリア教会は影響力を失っていったようだが』


まあ、本部が安全な国にあるというのは、クリア教会の教義とは違うだろうしな。

ペトラ清司教が北部に行ってからパワーバランスが崩れたってことか?

それでも本部を移せばいいだけだろうとは思うけどな。

言うのは簡単ってやつか?


『と、話はそれたが、ギアダナ王国には強い魔物はいないが、ほかには魔物がいるって話だ。だからランクをCにして向かう方が良いってことだな。別にほかにもいないわけじゃない。まあ、向こうでみっともない真似をすれば、こちらのギルドが甘かったとか、そういう風に言われるが、そんなことはないだろう?』

『ああ、別の国に移動しろってわけか。そのための箔付けってわけか』

『そういうことだ。そしてドドーナ大司教の教え子って話はするからな。名前負けするような連中には勧められんが、君たちは違うだろう?』

『そうだな。まあ、実力はあると思っている』


キシュアの言う通り、実力は俺もあると思っている。

とはいえ、世の中ぶっ飛んだのはどこかしらいるからな。

油断はしてはいけない。


『それでいい。負けないなどと言い張れる奴は油断しているという感じだしな。で、君たちが向かってほしいのはギアダナ王国よりも北部にあるイアナ王国だ』

『イアナ王国か。聞いたことはないけど、どんな国か聞いていいか?』

『ああ、イアナ王国はギアダナ王国より北部にあるだけあって、気温が低い。夜は冷えるだろうから、ちゃんと毛布は持っていくことをお勧めする。下手すると凍死だな。そして、わかっていると思うが魔物の被害が大きい。だから、腕の立つ冒険者が欲しいという話だ』

『つまりは、お願いがあって私たちに向かってほしいと?』

『そうだ。ギアダナ王国は基本的に安定してるからな。ここで育った冒険者は外にでるのがほとんどだ。まあ、戻ってきて教官みたいなことをする連中はいるがな』


なるほど、ギアダナ王国の冒険者は初心者の地域って感じになるわけか。

それである程度実績を積めば、ギルド側からの提案で外国へと向かうと。


『私たちを送るってことは相応に面倒だって思った方がいいんだな?』

『ああ、Cランクだからこそやれる場所だな。Eランクだとキツイ場所が多々ある。詳しいことは私よりもドドーナ大司教に色々聞いた方がいいだろう。明後日には出国許可証も用意できるから取りに来てくれ』


ということで、話は終わったが……。


『ユキ、話は聞いていたな。イアナ王国の情報そっちで得られるか?』

「わかった。ギアダナ王やダエダ宰相に話を聞いてみよう。そっちはドドーナ大司教に報告と情報を」

『ああ、任せておけ。とはいえ、思ったよりも早く出ていくことになったな』

「そこら辺も調べる。問題ないとは思うが、周りは警戒しておけ」

『『『了解』』』


さてさて、ヴィリアたちの活動も成果が出てきたと思いたいが、後はシアナ男爵たちの動きも気になるところだな。



RPGでよくある初心者の町や国ってことですね。

そこである程度実力を得たら次の国へってやつです。


そして、本来は分からない国とか組織のトップの意図が次の回にあるわけです。

普通は分からないところ書くっていうのが雪だるまの趣味でございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
私感で感想 深読み? パーティーを部隊と言いかけたのは伏線かな? 冒険者上がりではなく、例えば軍隊崩れのような外様なのかなと。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ