表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2191/2218

第1874堀:各将軍の動き

各将軍の動き



Side:スタシア



『……という感じで、南部の調査は再開というのは違いますが、奥に踏み入るようです』

「そうですか。南部の原因が分かれば北部に力をいれられますからね。事態が進むのは良いことです。オーエ王に良い土産話ができました」


私はそうジェシカに返事をする。

私はチャエア殿が説明する会議には参加してしませんでしたからね。

こうして説明してくれたジェシカには感謝です。


『やはり、北部は、いえ、北の町は忙しいですか?』

「前ほどではありませんが、やはり、森に入り込んだ魔物からの被害が多いですね。オーエに近い国々は魔物の被害を押さえるために、いつもより多くの軍を動かしているようで、その負担は決して軽くはないですね」

『……ああ、その手の情報は集まってきているのですね』

「ええ。とはいえ、北部連合、というかギアダナ王国連合軍を撃退出来たことによって、南の国々はまとまりつつあるようです。オーエに使者が相当数来訪しています』

『国々ですか。そういえばジェヤエス王国の使者がオーエを訪れていることに関しては?』

「そちらは、先日北の町を通って帰路につきました。物資も持って」

『無事に会議、話し合いはまとまったということですね?』

「ええ、北の国々とは真っ向から戦うつもりですね。とはいえ、ウィードがギアダナに侵入していることは伝えているので、備えつつも攻め寄せるなんて動きは見せていませんが」

『それが良いでしょう。やみくもに北の国に攻め寄せれば、それこそ南側の国が悪者にされるだけですからね』


ジェシカの言う通り、向こうはこちらの暴発を狙った感じが強い。

とはいえ、それで戦争が始まっても勝てる算段があるのかという疑問も残るのですが。

何せ、ギアダナ王国が賛同していないように、ほかの国々もいまだにクリアストリーム教会の動きに懐疑的な所も多々あるのでしょう。

その最たる理由として、連合軍がたったの二万だったということ。

あの数では全滅してこいという話ですしね。

いえ、侵攻に合わせて工作はしていたようですが、それでもという話です。

なので、現在は北の侵攻に備えて、連絡を密にしつつ、兵力の増強に努めるという方針になっています。


「ということで、眼前の危険はひとまず去ったと言っていいでしょう。とはいえ、先ほども話しましたが、多くの魔物が森に移動したようで、それが南の国々へ移動しているのは間違いありません」

『南部の方は魔物移動は途絶えているようですが、やはり相当数が北上したと考えていいのでしょうね』

「ええ。どこの国も魔物が南の森から出てきていると証言があります。つまり、大氾濫以上の魔物が北上したと言っていいでしょう」

『……ふむ。スタシアは魔物の数は大氾濫以上だと考えているのですね?』

「ええ。ジェシカもなのでしょう? というか、ユキ様たちも同じ見解でしょう」


そう、私たちが驚いているのは、魔物の数です。

当初は統率された魔物の群れ、大氾濫だと思っていたのですが、調べれば調べるほど、統率されたのではなく、何かに追われて、脅されて、まあ、原因はわかりませんが、ただ本能に従って北上してきたということ。

南の町では必死の攻防戦が続いていました。

その数は大氾濫と言っても間違いのない数。

ですが、指揮官はおらず。

そしてさらには森に侵入する魔物もいた模様。

それで、全体的に魔物が増えた報告が出るということは、大氾濫の総数は、いえ南部を襲った魔物の群れは膨大な数の魔物が移動したということを示します。

なにせ、そのまま森に隠れ住む魔物もいるでしょう。

そのすべてが素直に森を抜けて各国へと攻めかかるなどありえない。

まあ、絶対とは言いませんが、これで各国に圧力をかけるには微妙な結果ですしね。

と、そこはいいとして、ジェシカの返事はというと……。


『ですね。報告やユキたち、そしてスタシアたちから話を聞く限り、どう見ても大氾濫を超える数は北上してきていると判断します』

「情報だけを客観的に知っているジェシカからしてもそう判断するということはやはり間違いないでしょう。南部で何かが起こっているというのは間違いありません。そういう意味でも調査に進行が見られるのは良いことでしょう」

『ええ。同意です。とはいえ、そんな危険な場所にというのがセラリアやラビリスにはあるんでしょうね』

「ですね。私も当初計画を聞いたときは、止めるべきだと思ったのですが、アージュに相談して怒られてしまいまして」



『どこまでシスコンなのですか。あのお二人、下手すると、いえ、総合的に考えるとスタシアお姉さまより上でしょう。今までが過保護すぎたのです。経験を積む良い機会です。誰にでも初めてはあります。護衛もデリーユ様を始めとした超一流。心配する方が失礼ですわ』



「という感じでした」

『……ああ、まあ、その通りですね』

「ジェシカはそういう気持ちはなかったのですか? あの二人とは私よりも付き合いは長かったはずですが?」

『私の方は、マーリィ様という手のかかる馬鹿、いえ上官がおりまして、妹分である二人の成長は知っていますし、どちらかというと遅かったと思うぐらいです。年齢を考えればびっくりするほどの昇進ではありますが、あの二人の能力を考えれば当然かと。足りないのはアージュ殿の言う通り経験だったのですが、それが今回は埋まるかと思っています』

「なるほど」


確かにあの二人は実力は高いのですが、経験が限定的です。

まあ、それでもあの年と考えれば驚嘆するべき経験を積んでいるのですが、部隊指揮や全体指揮は簡単にできるものではありませんからね。

なにより……。


『アスリンとフィーリアがウィードで軍の指揮を執る際は、部下の魔物部隊は当然として、人の部隊もおだてますので、正直経験にはなりません。それに大奮起しますので』


恥ずかしながら、2人が指揮を執るとなると、部下たちは大いに頑張るのです。

びっくりするぐらいに任務を遂行するのです。

死兵となって目的を達成して、こちらを玉砕覚悟で吹き飛ばしてくるのです。


「びっくりですよね。私やジェシカがトータルでは負け越していますから……」


その結果、私やジェシカは対決の結果負け越しているのです。

なので、勝敗だけを見れば超優秀な指揮官ではあるのですが……。

余りにも皆が頑張りすぎるので、なんというか切羽詰まった時の判断の経験は不足しているのです。

いや、そのような事態は無い方がいいのですが、そういう経験がある方が安心できるのは事実です。

で、そういう問題が分かっているのであれば、私たちが教えてと思うのですが……。


『それに魔物の使い方、運用に関しては、私たちよりも圧倒的に上です』

「発想がぶっ飛んでいますからね~。大本はユキ様でしょうが……」


恥ずかしいことに、負け越している相手の言葉なんて説得力の軽い物はないでしょう。

いえ、2人なら相応に聞いてくれるでしょうが、その状況を作り出せない私たちが言うのはやはり重みにかけるというわけです。

なにより、ユキ様譲りの突飛な戦術でこちらを下しているので、下手な言葉は彼女たちの持ち味を殺しかねませんからね。


『悪いとは断じれませんからね。今回のことで経験を積んでもらえると安心できます』

「はい。彼女たちも間違いなくウィードの守り手ですからね」

『ええ。しかし、今回の調査で大本が見つかれば良いのですが……』

「トーリは何と言っているのですか?」


私がそう聞くと、不意にコール画面にトーリと出てくる。

なんというタイミング。


『仕事中ごめんね。ちょっと話がしたくてね』

「いいえ、ちょうどいタイミングでした」

『へ?』

『そうです。今回の南部調査再開についての話でして』

『ああ。何か気になることがあった?』

「ええ。ですが、その前にトーリの用事からお聞きしますよ。お話があるとか?」

『あ、うん。ほら、アスリンとフィーリアたちが砦入りしたでしょ?』

「しましたね」

『はい。しましたが?』

『砦の機能。つまり、設備をある程度動かしてみないかって話があるんだ』


砦の機能?


「防衛機能で動いてない物があるのでしょうか?」


砦の防衛は万全と聞いていましたが、何か稼働していない物があったでしょうか?

考えてみますが全然思い浮かびません。


『あ、防衛機能はちゃんと動いているよ。機能っていうのは、娯楽施設とかそういうの』

「ああ、なるほど」

『まだ、全部は動かしていないとは聞いていましたが、それは規模が大きすぎてと聞いていますが?』


ジェシカの言うように、砦の機能を全部動かすと、万規模の軍を満足させることができる予定だ。

それを動かしてみろというのは……。


『うん、だからある程度だよ』

『「ああ」』


そういうことですか。

新たに部隊が出入りするということで、砦の施設を体感してもらうというわけですね。


『砦が出来てからは忙しくて、殆ど動かしていなかったけど、今回アスリンとフィーリアが来ることだし、いい機会だから、ウィードの部隊をお客さんとして、南砦の公園や娯楽施設を稼働して、動きを見てみようかなって思ってたんだ。どうかな?』

「良い機会かと。私も行ってみたいですし」

『ですね。実際、現場を知らない外様だからこそわかる問題点などあるでしょうし、是非やるべきですね』


ジェシカの言う通りですね。

完璧というのはありません。

使ってみて、問題が出てくるものです。


『わかった。じゃあ、ユキさんに頼んでみるよ。スタシアの北の部隊も息抜きってことで案内するね。ジェシカもウィードの部隊動かせるかな?』

「ありがとうございます。皆喜ぶでしょう」

『うーん、ウィードの方は……何とかやりますよ』


ジェシカが預かっているウィードの軍は、ウィードだけではありませんからね。

総指揮官はセラリア様やユキ様ですが、ジェシカが基本的な全体指揮権をもっていて、別大陸にあるベータン、バイデ、シーサイフォなどの町の軍も管理している。

基本的には、各町での独自運用、つまりは指揮権はあるのですが、それでも大本はウィードということで管理をしているのです。

そこら辺も考えて南砦に送る部隊を決めるというのは、本当に大変なのです。


私の方からも、ユキ様たちに相談しておきましょう。

少しでもジェシカの仕事は減るようにと。



ジェシカ、スタシア、トーリの各責任者は特にアスリンたちの動きには疑問はないようです。

まあ、いい機会と思っている感じですね。

後は、原因が見つかると良いのですが……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
広過ぎる範囲の中から探すのですからまぁ簡単には見つからないでしょうね。………その対象が近付いて来てるとかでもない限り。以前ユキ達が夏休み休暇とってる合間にタイキ達がベツケン使い達を捕虜にした出来事は滅…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ