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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第1873堀:具体的な調査内容について

具体的な調査内容について



Side:ユキ



『さて、改めて今回の新大陸南部の状況と、これからの調査の予定をご説明させていただきます』


そう言ってチャエアが一礼をして、俺と視線が合う。

いや、厳密にはカメラに視線を向けているんだがな。


『ユキ様、クアル様、エリス様、ラッツ様、そちらに映像と音声は届いていますでしょうか?』

「ああ、こっちは問題ない」

『はい。こちらも問題ございません」

『大丈夫です。ラッツも聞こえるわよね?』

『はい~、エリスと一緒に見てますから問題ないですよ~』


どうやら、エリスとラッツは同席して、この話を聞いているようだ。

まあ、必要に応じて物資や資金の追加援助はしなくてはいけないし、本当に無駄がないかを確認する必要もあるからな。


『では、まず、新大陸南部の調査状況についてご説明させていただきます。まずはお手元の資料の3ページをご覧ください』


そう言われて事前に渡されている資料を見る。

よくある会議用の資料で、パソコンで作ってあり、今のウィードの会議では特に驚くべきことではない。

だが、これを一から作ったのがチャエアというのだから、びっくりだ。

どれだけ適応能力高いんだよと。

パソコンも資料作りだけではなく、ネットを通じた調べものなどはもちろん、電子ゲームもたしなむほどだ。

と、そこはいいとして資料には南大陸の全体が映っている写真が載っていて、その横に線画に起こした図形が載っている。

これは……。


『こちらの写真は、ルナ様が衛星軌道上から撮影したものです。そして、横にそれをもとに描き起こした南部の線画を用意いたしました』


ああ、やっぱりそうか。

ドローンでの上空映像は出来る限り撮影はしているが、それも全部じゃない。

ルナのこの映像もあるからな。

今は防衛ラインを中心に、魔物氾濫警戒でドローンを展開しているのがほとんどだ。

調査のためにドローンを飛ばしても場所が広大過ぎて管理する人が足りないってわけだ。

これも悩んだんだよな。

映像を撮るだけ撮って、とりあえず地図を埋めるとか。

とはいえ、調査済みになったわけではないし、変に魔物を刺激する可能性もあるから、迂闊にはできない。

空を飛ぶ魔物がいれば、こちらも迎撃をしないとまずいしな。

南砦の迎撃準備は何とかなるが、調査として派遣している部隊の撤退が間に合わないだろうってことで、ドローンの調査も進めてはいないんだよな。

と、そんなことを考えているうちに説明は続いていく。


『次のページに現在時点での調査範囲が赤、そして防衛ラインを青で表示させていただいております』


チャエアに言われて次のページをめくると、先のページにあった線の地図に赤いラインと青のラインが書き足されている。

もちろん、調査範囲の方が、防衛ラインより大きい。

この防衛ラインも突破されない防壁があるとかではなく、ここを超えたら迎撃をするというそういうラインで、最終防衛ラインは砦の10キロほど先となっている。

車を中心とした、高機動の展開が可能だからこそのやり方だな。

その分、兵士隊の負担が大きい。

あと、調査部隊もな。

緊急事態の際の撤退でどれだけ時間がかかるか……そういう問題もあるんだよな~。

で、話は続いていくが……。


『さて、調査範囲、そして防衛ラインを見てお分かりになると思いますが、調査範囲は新大陸南部、つまりオーエ王国がある森を境に、下、南部を指しますが、そこから半径400キロがいいところです。いえ、それだけでも膨大なのですが』


そう、チャエアの言う通り、いまだに俺たちが調査している範囲は400キロ圏内がいいところなのだ。

日本列島の長さがおよそ3000キロ。

その約10分の1程度。

少ないと思いがちだが、島国ではなく、400キロ全部ほぼ陸地だ。

河川は少ないからな、

それで、台地も存在していて、調べる人員も精々1000人前後。

これで、400キロの範囲をすぐに調べ終えられるわけがないのだ。


ちなみに地図で表記されている赤いラインは、南部の10分の1もない。

一体残りどれだけあるんだってレベルなんだよな……。


『この広大な土地の調査には人員はもちろん、物資や防衛ラインの形成もままならず、無作為に調査範囲を広げるのではなく、ある程度方針を決めて調査をするべきというのが、アスリン様、フィーリア様、そしてハヴィア様たちの共通の見解です』


その意見には大いに賛成だ。

どう見ても、全域を調べるという手段を取れるほど、人や機材が足りない。

いや、機材はどうにかなるが、扱う人がいなければ機材があっても仕方がないからな。

だからこそ、アスリンとフィーリアが出した計画書を見て許可をだしたわけだが。

こうして、細かく説明してもらうと、さらに納得できるよな。


『さて、そして、これからが、今後の予定となります。今回調査が鈍化したことにより、南部で警戒している魔物大氾濫、そして、その原因の調査、地域の資源の確認とやることが色々あるのですが、優先事項として、魔物の大氾濫とその原因の究明は今後の防衛費にもかかわることであり、優先して調査をするべきだと判断し、現在の調査範囲はそのままに、一部隊を派遣して、一点から調査を進めていこうという結論に達しました』


そういうと、大型モニターに表示されている資料と同じ写真地図と線画地図に中央から黄色いラインが現れる。

調査ライン、防衛ラインとは違い、線上で真下に伸びているだけで囲んではいない。


『こちらは、以前の計画でお話した、崖の内部を調査する場所です。この崖は確認している限り1000キロを超える長大なもので、幅は今のところ最大600メートル。台地のように、崖下でも何かしら特別な環境が生まれている可能性もございますので、調査の対象といたしました』


うん、妥当だ。

ただ南へ。

そうなると、何をどう目標にして南下していくのかという問題があったからな。


『それと並行し、東西のどちらかに海へ向けてのルートを開拓し、海からの新大陸へのアクセス、つまり航路を開拓することができれば、海産資源も得られ、北部への航路もできれば、内陸を進むよりも早く北部の国へと向かうことができるでしょう』


こっちもその通りだな。

ドレッサにも新大陸への航路開拓を頼んでドローンを飛ばしてもらっている。

経過報告は聞いているが、嵐などがあり、上空退避することも多々あり、あまり進んではいない。

というか、やっぱり海は広いな~という感じだな。

と、そこはいいとして、海、つまり海岸を確保できれば、ウィードの海軍を運用できる。

それは大きいので、この話も是非とも進めてほしいところだ。

で、このルートも東西にラインが出てくる。


『こちらについては、どちらを優先するべきかというのは、検討の余地があります。ユキ様の方から、ドレッサ様率いるウィード海軍が新大陸西海岸に向けてドローンを飛ばしているという話は聞きますが……』


そういって俺に視線が向く。

ドレッサは今回の会議には不参加だ。

ヴィリアが北部の調査部隊に引き抜かれているので、基本的にドレッサ、ヒイロと一緒に海軍を何とか指揮している状態だ。

海の安定、調査も仕事の内なので、重点的に新大陸のことに関わっている余力は殆どない。

無論、有事の際には最優先で動きはするが、現在はドローンによる航路観測ぐらいだ。

と、そこはいいとして……。


「そこに関してはドローンで海岸を確認したわけじゃない。どこが適しているかはわからない状態だ。東でも、西でもあまり変わらないだろう。とはいえ、結局のところ、どちらにも港があれば便利なのは間違いないので、どちらも優先度は同じだな」


そう、優劣は今のところはない。

ついでに、ドローンで航路が分かったとしても、航海するかどうかは別問題だ。

正直に言えば、ゲートで移動してから、新大陸南部の海岸に出向いた方が早いし安全だ。

航路を探しているのは、あくまでもゲートが使用不可になったときに備えてというやつだ。

なにせ、海にはリヴァイアサンとかいう腐った巨大魚がいるからな。

それとの遭遇戦を考えると、正直ドレッサが開拓する航路は微妙だ。

まあ、倒すというか、どうにかする予定はあるけどな。


『なるほど。ウィード、いえ、ロガリ大陸からの新大陸への航路開拓は、今回の調査に関してはそこまで影響はないと』

「ああ、そちらの都合で動いてくれ。海にはまだまだ知らない脅威があるからな。ドレッサたちはそっちを把握しつつというのがあるからな。新大陸の援護にというのは難しい。来るとするなら、ヴィリアやヒイロが別艦隊を率いてということになる」

『なるほど。かしこまりました。東西の状況を確認しつつ、海岸を押さえるように動きます』


こうして、南部の地図には左右と下に線が伸びる状況となった。

まあ、調べるにはこれ以上ないぐらい無難だよな。

東西南北を調べてから、怪しい方向へって感じだし。

今回の調査で魔物がどこからやってくるかが分からなくても、次の大氾濫が起これば、各ポイントから観測していれば、どの方角から発生したのかっていうのはさらに絞れる。

決して無駄ではない。


『では、お話はアスリン様、フィーリア様が指揮を捕られる、南下する崖の調査に関してです』


そこから、詳しい南下調査の内容について説明が始まる。


『基本的には計画でお話した通りです。一部隊だけを投入し、ゲートで部隊を入れ替えつつ調査をしつつ南下します。これを基本として、三部隊でローテーションをして負担を減らしながら進む予定です』


うん、そこは聞いていたな。


『具体的な編成は、ハヴィア、ワズフィ、ナイルアをリーダーとして、補佐に研究所の職員と護衛の兵士、そして、単体戦力として、デリーユ様、タイキ様、ホーリー殿を付けて一部隊6名での編成とします』


なるほどな。

まあ、妥当な編成だ。

アスリンとフィーリアは現場というよりは、指揮官で待機ってことになりそうだな。

とはいえ……。


「それだと、アスリンやフィーリアの現場での調査ができないのだがいいのか?」


元々は2人が現場を見ることによって得られることがあるのではというのが目的だった。

それが無いというのは違うというか、本末転倒のような気がするが……。


『そちらについても問題ありません。部隊交代の時に同道し、その場で調査をしてからその日のうちに戻る予定です。なので、その場での調査もこなせ、現場の確認もでき、なおかつ、この指令室での指揮も出来るでしょう』


なるほど、そういう方法か。

滞在時間で文句は出てきそうだが、危険なことをしない、というか出来ないって感じだし、セラリアたちも納得するだろう。


と、こんな感じで、説明は続いていくのであった。



アスリン、フィーリアはあくまでもトップということで、現地での活動時間は少なめ。

代わりにハヴィア、ワズフィ、ナイルアが赴くという感じになっています。

護衛にデリーユたちがいるので、そこまで問題はないだろうという判断ですね。


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