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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第1844堀:新パーティー結成

新パーティー結成



Side:ユキ



「お、きたな」


執務室のドアがノックされてはいってくるのは海軍所属のヴィリアだ。

いや、今は新大陸南砦所属の調査隊第二中隊の隊長か。

大げさな肩書ではあるが、それだけ大きな仕事を任せてもよいとトーリはもちろん、俺たちもそう思っているし、今までの仕事ぶりに不満の声はどこからも出てこない。


つまりヴィリアはできる子なのだ。

本人は子ども扱いは嫌だろうが、どうしてもメンバーの中だと最年少組だしな。

今回のことも引き受けてくれたのは嬉しいが、ちゃんと俺も話を聞く必要があると思って呼び出させてもらった。


「はい。お待たせいたしました」

「いや、気にしなくていい。ニーナたちも参加を認めてくれたところでな」

「やはり、ニーナさんたちも北部に?」

「そう、流石に新大陸の情勢が読めなさすぎる」

「こっちとしても、総力戦になって北部がボロボロになるのは嫌だしな」

「ええ、無辜の民が巻き込まれるのは不本意です」


この3人も当初はどうしたものかと悩んでいたが、結局のところ無関係の人が戦火に巻き込まれるのを回避するのが目的だと聞いて頷いてくれた。

彼女たちも元々は良き未来のために戦っていたんだからな。

貴族の為ではなく、そこに生きる人のためにな。


「それで、ヴィリアがここに来たっていうことは、北部の調査に参加するってこと?」


ニーナたちはヴィリアがここに来た理由は知らなかったな。


「はい。そのつもりでこちらに来ました。多忙なみんなの中で私が一番最適なので」

「最適? どういうことだ? ヴィリアも仕事をしていただろう?」

「キシュア、その理由は俺から説明はさせてもらおう。まあ、難しいことはない。ヴィリアの容姿が今回の調査に最適だったって話だ」

「はぁ、ヴィリアの容姿? かわいいことか?」

「あはは、ありがとうございます。キシュアさん。キシュアさんもかわいいですよ」

「おう、私はちゃんとかわいいからな」


キシュアはヴィリアよりも身長が低く、傍から見ればニーナよりも年下に見えるんだよな。

だからこそ、今回の調査に最適なんだが。

と、説明をしないとな。


「かわいいのが調査に関係する。今回、ニーナたちに声をかけたのもそれが理由だ。下手に歴戦、ベテランの男だと怪しまれるんだ。最初はモーブたちとかを考えたんだが、それを理由にやめたんだよ」

「詳しい理由を伺っても?」

「ああ、詳しいというとあれだが、向こうは戦争を前提に動いているとなると、有力な戦力には目をつけているはずだ。それに元々クリアストリーム教会は魔物退治を生業、というかそれに心血注いでいる。冒険者たちにも優秀な者たちには声をかけているって話だ」


そこまで言ってわかったのだろう。

スィーアは納得した顔をして。


「なるほど。今更モーブさんたちのようなベテランが突如現れれば怪しまれるということですね?」

「そういうこと。そうなれば、必然的に南部からという話になるだろうし、動けないわけではないだろうが……」

「最初から目をつけられての行動となると動きにくいか。あるいは下手すると拘束されるな」

「まあ、モーブたちならそういうのを無理やり食い破るのもできるだろうが……」

「そうなれば、各国の調査どころじゃない。陽動隊としてならあり?」

「いや、どういう別動隊だよ。モーブに暴れられると冒険者たちが警戒されるだろうが」

「違う。中に入り込むという点では間違いではない。拘束されるにしても、それだけ敵の組織に近づくってことだし、どういう対応を取るかは気になる」


ニーナは普通にそういう。

なるほど、向こうの対応を見るというのは間違いではないが……。


「ユキ様、発言よろしいでしょうか?」


プロフがそこで発言許可を求めてきた。


「ああ、何か気になることがあったか?」

「はい。モーブ様たちを作戦にということですが、オーレリア港町の運営はどうするのでしょうか?」

「あ~、確かにな。モーブたちの参戦は構想段階で崩れたしな。後釜のことは考えていなかったな」

「それに、モーブ様たちはドッペルを好みません。彼らは必ず生身で赴くのが信条のはずです」

「そうだな」


モーブたちがドッペルという便利な分身を使うことはない。

どうしても自分とのブレがあるというのだ。

いや、それは事実だ。

自分の体ではなし、スペックは落ちるからな。

それを含めて操るのが前提なのだ。

とはいえ、それを強要することは出来ない。

というか、するつもりもない。

モーブたちのそのありようは俺としても好ましいからな。

タイゾウさんも意外なことにモーブたちとは仲がいい。

そういう気概は素晴らしいとな。

と、そこはいいとして、モーブたちが出るとオーレリア港町の統治の代わりを見つけないといけない。

出来ないことはないだろうが、モーブたちをそこまでして呼び出す必要性があるかって話になってくるが……。


「……無しだな。モーブたちはこのままオーレリア港町の運営だ」

「そう、ならいい」


ニーナは俺の決定に異を唱えることはなく納得する。


「なあ、それならベツ剣の他のメンバーに声をかけるのはいいか?」


今度はキシュアがそう提案をしてくる。

確かに、数が多い方がいいのは確かだが……。


「こっちとしては助かるが、そっちはいいのか? というか、半数はアンデッドと亜人だぞ?」

「いや、流石にカーヤたちは入れないさ。他のメンバーならレイラ、ネフェリ、ディフェスとか」

「まちなさい。レイラはともかく、ネフェリはフィオと別行動はしないわよ。あとディフェスは私たちの指揮官みたいなものだし、ノーブルの下請けみたいなものですし」

「まあ、そこは必要に応じてこちらから派遣してもらうように頼もう。とりあえず、今はヴィリアを含めて、ニーナ、キシュア、スィーアの4人で動いてくれるか? この4人なら新鋭の女性冒険者パーティーでいけるだろう」

「わかった。なるほど、男性が戦争でいなくなるから、ねらい目」

「そういうことだ。いきなりベテランの実力者よりも、若者たちがベテランがいなくなったことで注目を浴びるって言う流れだな」


ヴィリアを筆頭にニーナたち見た目が若いメンバーを集めたのもこれが理由だ。


「ちなみに、名前の中にアルフィンがいなかったのは……」

「いや、アルフィンは戦争、それも魔物退治となると動かないだろう。むしろ率先して魔物を保護しそうだ」


アルフィンはアルビノのベツ剣使いで、そして珍しい魔物使い、テイマーとしての才能がアスリン並みにある人物だ。

魔物を嫌悪している北部では逆に攻撃を受けかねない。


「ま、そうだよな」


キシュアも異論はないらしく頷く。

いや、これはアルフィンを参加させるというと、反対するつもりだったか?

今ではアルフィンは戦いの場ではなく、多くの人に囲まれて笑顔でお菓子を作っているのだ。

今更、巻き込む理由はないだろうってな。

俺もそれは同意だ。

まあ、致死量の菓子を提供するのはやめてほしいが。


「それで、お兄さま。具体的な作戦などはあるのでしょうか? 例えば出発地点とかは」

「そこに関してはまだだな。とりあえずギアダナ王国へ先行している諜報員がいるから、そこから情報を得てからだな。冒険者ギルドに登録するにしても、場所を選んだ方がいいだろうな」

「そこまでする必要があるのですね?」

「まあ、有名になると出身地を探されるだろうしな。そこをたどると怪しいとみられるかもな。だから、流れってことにしてもいいが……」

「流れは流れで今までの経歴を怪しまれるという話ですね」

「ああ、どこかで活動していたんだから目撃情報があるはずだしな。都合がいいのは、魔物に襲われて滅びた村とかが情報源としても少なくていいんだが……」


そこまで都合がいい場所があるかどうかって話にもなってくるからな。

ある程度妥協するしかないか?


「ま、そこは最悪、若気の至りで村を飛び出して語りたくないってことでいいんじゃないか?」

「まあ、あると言えばあることね」


俺の提案にキシュアとスィーアがそういってくれる。

うん、確かに若者が一旗揚げると言って村を出ることはよくあるし、その村の名前を口にしたくないというのも、経緯でよくある話だ。

とはいえ、名が売れてくるとそうもいかなくなるしな。

時間稼ぎと思っておこう。


「それで、装備に関しては? それぐらいは決められるでしょ?」

「そうだな。とはいえ、大したことじゃないぞ? ベツ剣はそのまま装備はできないぞ?」

「それはわかっている。元々これは人目を引くからしまっているし」


そういって雑にベツ剣、イフ大陸では伝説の聖剣と呼ばれてる武器を見せる。

これが普通の武器に見えるならいいが、そこは伝説の武器らしくコメットが装飾を施して目立っている。

あいつ、女性なだけあって、こういう装飾は得意なんだよな。


「普段使いの武器に関しても上等なものはやめておいた方がいいぞ。あくまでも新人って感じだからな。お前たちの通常武装は?」

「おう、一旦見せるか」


ということで、キシュアたちの武装を見せてもらうことになる。

とはいえ、流石は聖剣使いとしてはイフ大陸に名を残していた歴戦の猛者だけあって。


「無難な装備ではあるが、絶対新人の装備じゃないな」

「ですね。上等な物だというのは一目瞭然ですね」


俺の言葉にヴィリアも即座に同意してくれる。

何せ、武具はすべて相応、一般的な物ではあるが、新人が持つモノではなく、相応の値が張るモノでありちゃんと手入れしてあるので、見る人が見ればベテランのモノだとわかるだろう。


「そりゃな。自分たちが普段使いするんだし、雑に扱えるかよ」

「そこは流石にですね」

「当然。武具の整備をおろそかにすると自分が死ぬ」


言っていることはもっともだが、新人はそういうことに余裕が無いし、もっとぼろを持っているもんだ。


「わかっていると思うが、これは使えないぞ」

「わかってるって、新人がこんな上等な物もっているわけねえし、背景を疑われる。でも、そうなると何を使うかって話だが」

「ああ、そこは心配いらない。そろそろ……」


俺がそう言いかけた時、執務室の扉を開けて。


「はいはーい。ボロ武装を装った最強武具をおもとめですか~」

「「「……」」」


笑顔のナールジアさんがやってきて、全員の顔が引きつったのは間違いない。

やべえ、昔は装飾がない武具は作りたくないって感じだったが、最近はそういう隠れ武具にはまったのか?


自爆装置ついてないよな?



ヴィリア、ニーナ、キシュア、スィーアの4人パーティー。

全員剣士でバランスは傍から見えれば悪いが、サブでの魔術の才能もあるのでバランスは良い。

ちなみにヴィリアたちはサブ武器で弓や魔術も使えるので役割分担はできる。


あとは、ナールジアさんの武器が安全かどうか。

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― 新着の感想 ―
私感で感想 ナールジアさん?! 見た目を裏切る武器とか作りそうだよな? 錆だらけで刃も欠け落ちているのに、振れば衝撃波を飛ばしたり、当てれば高周波振動ブレードで難無く断ち割ったり。 ただの木刀かと思…
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